永瀬廉を主演に迎え、江國香織の伝説の恋愛小説「東京タワー」を日本で初めて連続ドラマ化した、オシドラサタデー『東京タワー』。永瀬演じる21歳の青年・小島透と、20歳以上年の離れた人妻・浅野詩史(板谷由夏)、そして透と同じく21歳の大原耕二(松田元太)と主婦の川野喜美子(MEGUMI)の許されない愛を美しく描き出してきた。
そんな本作がいよいよ6月15日(土)に最終回1時間SP(午後11時~深夜0時)を迎えるに当たり、永瀬さんと松田さんにインタビューを敢行。印象に残っているシーンやメンバーからの反響をはじめ、本作の撮影を経ての思いや得たもの、クライマックスの見どころなどを聞きました。
◆まず、後半戦の撮影において苦労したシーンはありますか?
永瀬:7話で耕二のやっていたことが全部バレて、女性陣3人(喜美子、比奈、由利)と対峙したシーンですかね。耕二としても、自分が詰められないっていうのがつらいよな。
松田:確かに。
永瀬:透としてはただその場にいただけなんですけど、段取りとか、現場に入った時からもう空気感がすごい重たくて。
松田:言ってたよね。「空気重くない?」って。
永瀬:うん。なので、僕はすぐ出ちゃったんですけど(笑)、みんなの話を聞いていただけの透でもそれだけ苦しかったから、耕二やお三方はもっと大変だったのだろうなと思います。
松田:透とのシーンも含めて楽なシーンはなかったのですが、そういう空気感や難しさも含めて楽しめましたし、毎回自分の中で課題を見つけながら演じることができたのかなと。なので、これといったシーンはなく、本当に全部が楽しくて難しかったです。
◆特に印象的なシーンなどは?
松田:これも1つには絞れないですね。耕二の「ここ」っていうのが個人的にはなくて…。というのも、全部が『東京タワー』という作品、全部で1個の作品という考えが個人的にすごく強いんです。「これ」というものを挙げられずめちゃめちゃ申し訳ないのですが、本当に全部が1個というか。なので全部好きなのですが、 強いて言うなら透とのシーンは特に楽しくて、僕と廉の関係性があった上でできたのかなと思っています。
永瀬:あるじゃん。
松田:先に言ってって感じだよね(笑)。
永瀬:ほんまそう(笑)。
◆毎話トレンド上位を席巻してきましたが、周囲からの反響はいかがですか?
永瀬:同世代の友だちをはじめ、おじちゃん、おばちゃん…と本当に幅広い層の方から感想を伝えてもらっていて、いろいろな方々の目に触れているのだなと。この『東京タワー』という作品が、たくさんの方の元に届いているのだなと実感できていてうれしいです。内容的に話す上でフックになるような作品だったりもするので、そういう意味でも感想をお聞きする機会は多かったですね。
◆中でも思い出深い感想を挙げていただくと?
永瀬:僕の友だちにすごく謎の考察をしていた人がいて。
松田:めっちゃいい友達じゃん。
永瀬:1話を観て、「詩史さんの旦那さんが透の実の父とみた」みたいな。「いや、そんなややこしい話ちゃうわ」って返事したんですけど、「詩史さんが透の母親への復讐で息子にも手を出してしまうドラマ」みたいなことを言い始めたので既読無視しました(笑)。
松田:返してあげなよ!(笑)
永瀬:正すのも…もう「観てみて」って感じで(笑)。 そういう独特な感想もあったりしたので面白かったです。
松田:僕もメンバーでいうと、ちゃか(宮近海斗)がずっと1話からリアルタイムで観てくれていて。先日コンサートで新潟に行った日がちょうど4話の放送日だったのですが、ちゃかとまちゅ(松倉海斗)としめ(七五三掛龍也)が僕の部屋に来て、一緒に4話を観たんです。ちゃかはずっと観てくれているので、「耕二はこういう感じなの」とか「今こういう感情なんだよ」という感じで解説しながら観てくれたのですが、まちゅはその時点でまだ1話しか観てなかったみたいで、喜美子さんと耕二の大人なシーンになるとずっと「あ!」って(笑)。中学生と観ているような感じでうるさかったですね(笑)。でも、メンバーが真剣に観てくれるうれしさもありましたし、他の番組の共演者の方やスタッフさん、それこそ若槻(千夏)さんもドハマリしてくださっているみたいで。
永瀬:若槻さんって、若槻千夏さん?
松田:そう。若槻さんが『東京タワー』の大ファンで、「これを機に松田君はバラエティに出演するの辞めた方がいいよ。もう役者だけしてった方がいい」みたいなことをしっかり言っていただいて(笑)。これからの未来をきちんと考えないとな…と思うきっかけにもなったので、あらためて『東京タワー』という作品はすごいなと思います(笑)。
◆松田さんはメンバーと一緒に見るに当たって、気恥ずかしさなどは感じた?
松田:いや、なかったですね。むしろまちゅが大人なシーンに興奮しているのを見て、そう思うんだーって(笑)。僕自身としてはそういう感覚ではなく、美しさを意識しながら演じていて、そういう気持ちがなかったので。
◆永瀬さんも以前「(髙橋)海人に見せます」ということをおっしゃっていましたが、それは実現しましたか?
永瀬:はい。1話は観てくれたのですが、なんて言ってたかな…。たぶん「面白かった」とか、そういう当たり障りのないことだったと思います(笑)。
◆永瀬さんと松田さんは撮影の合間などどのようなお話をされていたのでしょうか。
永瀬:2人でいるときはいろいろしゃべったよね。
松田:それこそ廉、ラジオで言ってくれてたじゃん。あの、庭、裏庭、なんだっけ…
永瀬:庭には二羽ニワトリがいる?
松田:庭には二羽ニワトリがいる?(笑)
(記者から「庭ラジ(King & Prince永瀬廉のRadio GARDEN)?」と問われて)
松田:そう、それです。一緒にご飯行ったじゃん?
永瀬:行った行った。その話したわ。
松田:一緒に撮影していた日があって、現場がちょっと早めに終わったので「2人でご飯行こう」って言って。それで2話を一緒に観ながら…。
永瀬:2話? 3話じゃない?
松田:3話か。バーのカウンターで飲みながら一緒に観たんだよね。(3話で)バーで透が詩史さんの手をパッと握って止めるシーンがあるのですが、僕らもバーにいたのもあってなんだか詩史さんになった気分になってきて(笑)。この空気で恋に落ちたんだな…みたいな。勝手に詩史さんに感情移入しながら一緒に飲んだ記憶があります。(笑)
永瀬、あの時、話し方もゆっくりだったよね(笑)。本当に詩史さんな感じで。
松田:ゆっくりだったね。透を好きになっちゃいました。
永瀬:メイクラブだったね(笑)。
◆現場で会話をする機会も多かった?
松田:結構しゃべってたよね。
永瀬:しゃべってたけど、深い話ではなく他愛もない会話で。なんか学校の…これ使えないか。いや、一応言ってみるか(笑)。学校の銅像がちょっとアレな感じで…とか、そういう中学生のような会話をずっとしてました。
松田:そう。人にはあまり言えないような。
永瀬:そうですね。媒体を通すと言えなくなるといいますか(笑)。直接ファンの方に話すのは全然いけるんですけど、媒体を通しちゃうと…っていう話ばかりしてました。基本的に会話のレベルは低いです(笑)。
松田:でも、それが楽しいんだよね。
永瀬:うん。現場では楽しく過ごすというのをモットーにやっていました。
◆本作の会見時、永瀬さんは松田さんの“ビジネス天然”疑惑を暴きたいとも言っていましたが、その真相はいかがでしたか?
永瀬:360度どこから見てもバカでした(笑)。
松田:おーい!
永瀬:365日24時間年中無休でバカでした。正月休みとかもなく。
松田:無休?(笑)
永瀬:無休。不眠不休でおバカでした(笑)。
松田:でも、本当にずっと楽しくいられたなって。廉が全部突っ込んでくれるし、逆に急にボケ始めるときもあったので、そういうときは僕が頭良くなった気分で…。
永瀬:え? 全然対応してくれなかったじゃん。
松田:いや、ちょっと待ってよ。
永瀬:本当にしてくれなかったよ。僕が求めていたワードとか、こういう雰囲気で突っ込んでほしいっていう感じでは一切来てくれなかったです。
松田:ストイックすぎるって!
永瀬:なんならボケに気づいてくれないときもあったし…。でも、ひとまず25年間生粋のバカだったんだなというのが分かりました(笑)。
◆逆に、松田さんは永瀬さんにおバカな部分を感じる瞬間はあったのでしょうか。
松田:もちろん廉は僕と比べたら頭はいいんですけど、「廉もおバカだな」と思う瞬間はありましたね。
永瀬:それはバカになってただけ。
松田:そういうこと?
永瀬:そうそう。元太のレベルに合わせていかないと進まないから、会話が。
松田:えっ! 優しさ? それともおバカがうつった?
永瀬:そうだなぁ…お芝居している感じというか。バカを演じてる感覚だったね。
松田:ホントに!? だとしたらめっちゃうまかった!(笑)
◆お2人がそれぞれお芝居を通じて刺激を受けた部分は?
松田:廉は座長として、お芝居に対する熱はもちろん、いつも自分のシーンが終わるとすぐにモニターチェックをして、「どう表現したらいいですか」みたいなことを監督と話し合っていて。それで監督からの意見を聞いて、もう1回撮るときにはそれをきちんと実演するような、そういう向き合い方が本当にストイックだなと思いました。でも、休みのときはほわんとしていてギャップもあるんですけど、そういうオンとオフの切り替えもいいなって。また、1個1個全てを100%以上のパワーで演じていたのがすごい。透も好きですが、永瀬廉という人も僕はすごくリスペクトしていて、すてきだなと恋しちゃいました(笑)。
永瀬:元太の演じる耕二はリアルで、「こういう大学生いるよな」って思えて。すごく魅力的で、元太にしかできない耕二をやってくれた気がするんです。耕二と透の対比といいますか、耕二がこういう感じだからこそ透がよく見えたり、逆に透がこういう感じだから耕二がよく見えたり…と、そういう相乗効果というのは近くでお芝居していたり、オンエアを観ていても感じていました。
◆それぞれが本作の撮影を経て感じている思い、得たものは?
永瀬:僕は、なかなか経験できる役ではないのですごくありがたかったです。お話を頂いた時は本当にうれしくて、自分が思ってもいないようなことって起きるんだなと、このお仕事をしていくことがより楽しみになりました。本当にたくさんの方々に観ていただけて、身近なところで反響を感じられたというのもあるのですが、いろんな意味でモチベーションを与えてくれた作品だったなと思います。
松田:僕もほぼ一緒なのですが…(笑)。いろいろ考えさせられるストーリーでもありましたし、耕二を以前演じていた(松本)潤君とはまた違う“令和耕二”を演じたい、自分にしかできない耕二を演じたいと思い気合を入れて臨みました。そこで廉と共演できたことはもちろん、MEGUMIさんや板谷さん、たくさんの方と出会えましたし、今後も成長していきたい、こういうことをしていきたいと思うことが毎日たくさんあって。お芝居の楽しさもあらためて知れましたし、今後もTravis Japan(いい発音で)にお土産を持って帰れる松田でいたいなと強く思いました。
◆最後に、いよいよ迎える最終回の見どころを教えてください。
永瀬:それぞれが転機を迎える中で関係性がどう変わっていくのか、というところで8話が終わりましたが、最終話では透からの申し出に対して詩史さんがどう返事をするのか、というところですね。耕二は?
松田:耕二はMEGUMIさん…いや、喜美子さん!(笑)喜美子さんに対する好意がどんどん本気になり、思いを直接伝え、それを受けた喜美子さんがそれをどう揉み砕いて…いや、かみ砕いていくのかというところかなと。もうハラハラドキドキが詰まりに詰まっています。
永瀬:これまで透と耕二は本当にいろいろなことを経験して、いろいろな気持ちをもらって、いろいろな感情になって、その上でそれぞれの気持ちを伝えて。それに詩史さんと喜美子さんがどう応えて、透と耕二がどう向き合うのかというところまで最終回では描かれるので、最終的に2人がこの恋を通じてどう成長したかのかというのを見届けていただきたいなと思います。
PROFILE
永瀬廉
●ながせ・れん…1999年1月23日生まれ。東京都出身。O型。King & Princeのメンバー。近作はドラマ『厨房のありす』、映画「法廷遊戯」など。映画「余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。」がNetflixにて今年配信。
松田元太
●まつだ・げんた…1999年4月19日生まれ。埼玉県出身。O型。Travis Japanのメンバー。近作はドラマ『ゼイチョー〜「払えない」にはワケがある〜』『結婚予定日』など。『ぽかぽか』月曜レギュラーとして出演中。
番組情報
オシドラサタデー『東京タワー』最終回1時間SP
テレビ朝日系
2024年6月15日(土)午後11時~深夜0時
原作:江國香織「東京タワー」(マガジンハウス刊、新潮文庫刊)
脚本:大北はるか
音楽:近谷直之
監督:久万真路、松本喜代美、畑山創
ゼネラルプロデューサー:中川慎子(テレビ朝日)
プロデューサー:残間理央(テレビ朝日)、島本講太(ストームレーベルズ)、岡美鶴(アズバーズ)
制作協力:アズバーズ
制作著作:テレビ朝日、ストームレーベルズ
番組公式HP:https://www.tv-asahi.co.jp/tokyotower/
●text/片岡聡恵