NHKパリオリンピック2024アスリートナビゲーターに就任した内村航平さんが、7月2日に行われた取材会に出席した。
内村さんは2008年の北京大会から4大会連続で出場し、メダル7個(金3・銀4)を獲得した体操界のレジェンド。今回ナビゲーターを任された気持ちについて、「自分が出場しないオリンピックを見るのが2004年のアテネ大会以来20年ぶりということで、ものすごく不思議な気持ちです。アテネ大会を見て、いつか自分もその舞台に出たいと思い、夢の舞台として憧れを持っていたのですが、まさか4大会も出られるとは思っていませんでした。そして今回は伝えるという役割でまたオリンピックに携われるということで、自分の人生においてオリンピックは切っても切れない縁があるなと感じています」と語った。
日本のエース・橋本大輝選手をはじめとしたパリ大会の体操男子日本代表については、「団体も個人も金か銀です。3位はたぶんないと思っています。そして金か銀かは、やっぱり着地だと思います。着地を止めないと、パリのアウェーの中で日本の色に染められないので。種目別に関しても、橋本は鉄棒で連覇が懸かっていますし、その可能性はかなり高いと思っています。ライバルは、僕が現役時代からそうですが中国。2大会連続で銅メダルだったので、そろそろ本気で金を取りにくると思いますし、メンバーもかなり強い選手が入っているので、その当たりも楽しみです」と。
女子については「全員初出場で、若い選手も入ってきています。僕も北京大会で初めて出場したときに最年少で入って、勢いだけでやっていましたが、それが周りの先輩たちにいい影響が出たんじゃないかなと思います。そんな勢いを見せてほしいですし、夢の舞台をしっかりと楽しんでほしい気持ちが大きいです」と期待を込めた。
注目競技を聞かれると、「柔道、体操、水泳は大会の前半に行われるので、その頑張りが後半の競技にも影響が出てくると思います。選手村では、メダルを獲得すると入り口のところに、顔写真が貼られていくんです。毎日それを見て、勇気や元気をもらったりするので、前半の競技は注目したいです。特に体操ですね(笑)」と語った。
これまでオリンピックで7個のメダルを獲得した内村さん。その強さの秘訣については、「自分がスポーツを始めた原点といいますか、何のためにやっているのかみたいなところが自分の心の支えになるし、奮い立たせてくれるものなのかなと思います。僕は、親に勧められたわけでもなく、自分が好きで3歳から体操を始めたのですが、それに対して責任を持たなきゃいけないなと。なんで体操をやっているのか、結構自分に問いかけたりしていました。けがや不調も全て言い訳になってしまうんですよね。選ばれなかった選手に対しても申し訳ないですし。僕は九州出身で、頑固で自分の言ったことを曲げないっていう部分がもともとあって。アスリートは負けず嫌いの人が多いと思いますし、その気持ちをそのままぶつけるのも大事だと思います」と明かした。
アテネ大会を見てオリンピックを目指した内村さん。最後に、今回のパリ大会を見てオリンピックを目指す未来のアスリートに向けて、「今スポーツをやっている子供たちは、プロフェッショナルな人たちを見て必ずすごいなと思うと思うので、どうやったらああなれるのかなって考えてほしいですし、まだ何もスポーツをやっていない子供たちは、何でもいいので興味を持ってもらえれば。そして、それに対して自分もできるかなっていうふうに考える作業をしてほしいです。僕自身もアテネ大会を見て、日本の体操でも世界一になれるんだって思って、じゃあ自分も代表になれたら世界一になれると不思議と変な自信が湧いてきたんです。本当に見るだけでも勇気や感動をもらえるので、まずは見てほしいです」とメッセージを送った。
パリオリンピック2024は、7月26日(金)に開幕。開会式・閉会式をはじめ、さまざまな競技をNHKで放送予定。