Travis Japanの七五三掛龍也と吉沢閑也がW主演を務めるミュージカル『ダブリンの鐘つきカビ人間』の公開ゲネプロ及び初日前会見が、7月2日に開催された。
ユーモアと切なさと残酷さが混じり合ったダークファンタジーを得意とする後藤ひろひとが手掛けてきた作品の中でも、特に大きな笑いと恐怖と感動で観客の心を揺さぶり、その世界に引き込んで怒とうのクライマックスへと誘う『ダブリンの鐘つきカビ人間』。
2002年、2005年、2015年と上演を重ね、観客を魅了してきた本作を、ミュージカル『チャーリーとチョコレート工場』、ハイパープロジェクション演劇『ハイキュー!!』シリーズ、PARCO PRODUCE『粛々と運針』など幅広く演出を手掛け、世界的に注目を集めるウォーリー木下による脚色・演出、ケルト音楽にも造詣が深く、リリカルな楽曲を手掛けている中村大史による音楽で、初めてミュージカル作品として上演する。
物語の世界の住人で、街ではやった奇妙な病に冒されて心と体の美醜が入れ替わり、心は美しいが誰も近づきたがらないほど醜い容姿となってしまった「カビ人間」役を七五三掛龍也、ある山中で霧のために立ち往生し、一夜の宿を求めた洋館で老人が語る昔話に心を奪われるうち、物語の世界に迷い込んだ「聡」役を吉澤閑也が演じる。
そんな本作の公開ゲネプロ及び初日前会見が7月2日に開催され、七五三掛と吉澤、伊原六花、加藤梨里香、松尾貴史、中村梅雀らが登壇。主演を務める七五三掛は、当初の心境について「お話を頂いて脚本を読んだ時に、楽しさと怖さという2つのドキドキを感じました。また、“カビ人間”を演じさせていただくに当たり、今までに挑戦したことのない役柄で、ビジュアルも含めて初めてだったので、どう演じたらいいか、すごく考えながら稽古していて。ここまでピュアで心が真っすぐな役は初めてで、自分の中で新しい扉が開いた感じがしました」と。
続けて「カビ人間は真っすぐすぎて空回りすることもあり、そういった部分では共感できる部分がたくさんあります」と語りつつ、独創的なビジュアルにも言及し「顔は“カビメーク”をしていて、メークさんにもやってもらっているのですが、(緑の)小さな粒を1つずつ自分でも付けています。なので、メークには1時間20分くらいかかっていて…」とそのこだわりも明かした。
本作が芝居初挑戦となる吉澤は「お話を頂いた時は『僕でいいんですか?』とまずマネージャーさんに聞いたくらい、本当に驚きました。お芝居が初めてなのでせりふの覚え方も分からず、キャストの皆さんやウォーリーさんにアドバイスを頂きながら稽古に臨んでいて…。吸収することばかりで、本当に刺激的で、毎日が過ぎるのが早かったです」と振り返った。
七五三掛と吉澤は同じグループで活動しており、仲がいいことでも知られているが、七五三掛は「普段僕らは“しめしず”と言われているのですが、この舞台ではグループで見せている“しめしず”とはまた違った“しめしず”になってくるのかな」と。「新たな“しめしず”が見られると思います」と笑顔でアピールした。
稽古中のコミュニケーションについて問われると、吉澤は「今回しめ(七五三掛)とは別のシーンが多いのもあってそこまで話していないのですが、話しかけないと集中しすぎている時があって。しめから話しかけてこない上、話しかけても全然返答がない時があるんです。それをみんなで崩しにいっていたのですが、なかなかそれにも気づかなくて…(笑)ちょっとよそいきの顔で稽古してるなと感じて、メンバーとしてその緊張を崩せたらと思いながら稽古していました」と明かした。
なお、本作では七五三掛による華麗なハット使いも見どころのひとつだが、七五三掛は「カビ人間の唯一の友達がハットなのですが、ハットの先生が来てくださり、結構難易度の高い技を教わって。カビ人間が日常的にハットと過ごしているように見えるまで、2週間ちょっとかかりましたね。家でもハットを回す練習を1日50回やると決めて取り組み、徐々にできるようになっていって。なので、稽古前にハットを触ったり、練習していると、自然とカビ人間のスイッチが入るような。僕にとってすごく大切なアイテムです」と思いを明かした。
一方、自身が演じる聡について「性格も見た目もほぼ閑也」と語る吉澤は「聡と僕自身が近い分、どう聡にしていくというかっていうのが難しくて。稽古中にウォーリーさんから『閑也が出てるぞ』と言われることもあって、それを薄めて聡にしていくのがすごく大変でした。ただ、1つひとつの動きやしぐさだったりに理由を付けていく、というのは同時にお芝居の楽しいところだなと感じて…」と初挑戦への充実感を浮かべた。
最後は「本当にすごくいい作品です。毎回稽古中に泣きそうになるぐらい感動するシーンも、そして楽しく面白いシーンもあります。舞台はあまり見ないよって方でものめり込める作品だと思うので、ぜひ楽しんでいただけたらなと思います」と吉澤。
七五三掛も「この作品は、普段自分たちが生活している世界とは全く違う異世界に連れて行ってくれる作品です。ケルト音楽とともに、この『ダブリンの鐘つきカビ人間』の魅力にどっぷり浸かっていただけたらいいなと思っています」と呼び掛け、会見を締めくくった。
作品情報
ミュージカル『ダブリンの鐘つきカビ人間』
2024年7月3日(水)~10日(水)東京国際フォーラム ホールC
2024年7月20日(土)~ 29日(月)COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール
作:後藤ひろひと
脚色・演出:ウォーリー木下
音楽/音楽監督:中村大史
【出演】
七五三掛龍也、吉澤閑也、伊原六花、加藤梨里香
入野自由、コング桑田、小松利昌、竹内將人
安田カナ、安福毅、Ema、工藤広夢、半山ゆきの
松尾貴史、中村梅雀
演奏:中村大史、奥貫史子、石崎元弥
企画・製作:パルコ/キューブ
公式HP:https://stage.parco.jp/program/dublin2024