小芝風花&笠松将が再びバディ結成!『事件は、その周りで起きている』の裏側語る

特集・インタビュー
6時間前
『事件は、その周りで起きている』
(左から)笠松将、小芝風花

コント番組『LIFE!』(NHK総合)のスタッフが制作を手掛ける『事件は、その周りで起きている』。とある地方の小さな警察署・新月署を舞台に、刑事モノだが事件を一切解決しない、事件の周りで起きる“小事件”にスポットを当てた新感覚の1話15分のコメディードラマを4夜連続で送る。

前作から約2年ぶりとなる放送を前に、主人公・真野一花役の小芝風花さん、真野のバディ・宇田川和人役を演じる笠松将さんにインタビュー。それぞれの役どころや同シリーズの見どころを語ってもらった。

◆2年ぶりに続編をやると聞いた時の心境は?

小芝:うれしかったです! 続きを見たいと思ってくださった視聴者さんがいて、制作の方が動いてくださって実現した続編なので。私自身、テンポが良くて面白い作品だと思っていましたし、また真野を演じられるのがすごく楽しみでした。

笠松:僕も光栄だなと思いました。しかも、また同じメンバーで集まれたのもうれしかったです。

◆前シリーズを経て、今回感じた変化は?

小芝:基本的には変わっていないのかなと。やはり事件といった事件は起きず(笑)、警察監修の方が来てくださっていることに申し訳なさを感じます…。どの事件も真野たちの周りで起きている小さいことから派生していて、いい意味でくだらない、そのテイストのままですね。

笠松:そう? 僕個人としてはスケールが大きくなったなと思ったんだけど…。捉え方の違いかな。それに今シリーズではゲストの方の出演もありますから、そういう意味では変化していると思います。

小芝:スケール大きくなってました!?(笑) 変わっていないような気が…。

笠松:めちゃめちゃ大きくなってるよ。見たことがない部屋ができていたし。

小芝:確かに、見る人によって変わるかもしれないですね(笑)。でも、ゲストの方が来てくださったという意味では新しい風が吹いたかなと。クセの強さもすごくて(笑)、皆さんにも楽しんでいただけると思います。

『事件は、その周りで起きている』
小芝風花

◆今シリーズの撮影を終えたということで、あらためて感じたこの作品の魅力は?

小芝:まずは、自分の中の正義を曲げられず優しいうそもつけない真野、とにかく合理的なことが好きで無駄が嫌いな宇田川…など、それぞれのキャラクターがハッキリしているところ。それに加えて、やはり掛け合いのテンポやせりふのワードセンスが最高で、撮影しながら隠れてニヤニヤしていました(笑)。あと、先程も変化の話が出ましたが、全く変わらないのもこの作品の魅力だと思うんです。成長物語ではなく、真野たちの日常の延長線上が写し出されているといいますか。この先また続編をやらせていただいたとしても、きっと変わらないと思います(笑)。

笠松:このドラマは『LIFE!』スタッフが手掛けているのもあり、基本的には同様に一発撮りなのですが、それがいい緊張感を生んでいるのと、それぞれの個性がめちゃめちゃ出るなと。誠心誠意その一回に出すしかない、っていうのがいいふうに作用しているし、面白いところでもあると思います。

小芝:あと、空き時間も楽しいんですよ(笑)。先日も番組PRを撮影したのですが、その時に用意されていた足ツボマットをみんなでやってみたり…(笑)。わりと年齢もバラバラなのですが、いつも和気あいあいとやっていて。撮影の時の緊張感もいい刺激になっていて、チームとして一丸となれている感じがあります。

笠松:あと、僕としては監督の情熱もすごく大きいと思っています。シチュエーションコメディーをドラマでやるというのは企画として結構難しいと思うのですが、監督は“このドラマをやれることが本当に幸せで、今後も続けていきたい”と熱い思いをお持ちで。乗っかる価値がある、それに乗っかりたいと思えるんです。ちなみに、僕はこの現場の中で監督が一番面白いと思っています(笑)。

◆コメディー作品への挑戦に対し、どのようなことを感じていますか?

小芝:ときどき「コメディー合ってる」とか「面白い」と言っていただくことがあるのですが、この作品のキャストも含めて皆さん面白い方々ばかりで、実は私はそのお芝居を受けてリアクションしているだけなんです(笑)。そう言っていただけるのはうれしいのですが、あくまで面白いのは周りの方々という認識ですね。

笠松:いやいや、もう小芝さんはコメディエンヌの名を欲しいままにしていますから。僕はあまりコメディーの経験がないので、いつも勉強させていただいています。

小芝:やめてもらっていいですか?(笑)

笠松:あと、小芝さんはいい意味でスイッチのオンオフが分かりやすい方だなと。「ここからいくよ!」とエンジンをかける瞬間が見えるというか。いつもリバプールでいう遠藤航選手のような役割をしてくれて、すごいなと思っています。

小芝:どういうこと…?(笑)

笠松:小芝さんが自然とみんなのスイッチを入れてくれるので、もう僕たちはそれに乗っかるだけっていう。ドラマの中ではみんなに振り回されていますが、現場ではみんなの中心を支えてくれる心強い存在です。

『事件は、その周りで起きている』
(左から)笠松将、小芝風花


◆コメディー作品に対して感じているのは難しさ? 楽しさ?

笠松:僕は難しさです。もちろんこのシリーズは長く続けていきたいのですが、他の作品でコメディーいかがですかと言われたら少し考えてしまうかも…(笑)。そして、以前小芝さんとも話していたのですが、芸人さんって「笑わせてやる!」とホームラン宣言した上で実際にホームランを打つじゃないですか。それって本当にすごいことなんだな、とあらためて感じることができました。

小芝:私はコントと言われると一気にハードルが上がって緊張してしまうので、この作品は“コメディー作品でありドラマ”だと思うようにしていました。コメディーと聞くだけで芸人さんのように面白いことをしなきゃ…とプレッシャーを感じてしまうので、“あくまでこれはドラマで、役者として演じているんだから”と言い聞かせながらやっていて。その分、役に誠実に向き合いドラマを作っていけた感覚があります。

笠松:こんなこと言って、小芝さん本当はコメディー得意なんですけどね。

小芝:やめてもらっていいですか?(笑) でも、それこそ笠松さん演じる宇田川はすごく変わり者で独特なキャラクターなのですが、笠松さんはそれを前面に出さず、間の取り方やニュアンスを毎回少しずつ調整することで空気を崩したり、違う方向へもっていくんです。そして、その作業を楽しんでいるようにも見えて。私はいつもそれを受けてリアクションしているだけで、笠松さんや北村(有起哉)さんがこの作品の空気感を作ってくださったと思っています。

笠松:…もう終わりで大丈夫? オーケストラの演奏聞いてるかと思うくらい気持ち良かった~(笑)。

『事件は、その周りで起きている』
笠松将

◆お互いが演じるキャラクターのいいなと思うところは?

笠松:元気で前向きなところ。ひたむきで、感情を顔全部使って表現するようなところも魅力的ですよね。でも、そういう役を演じるのって結構難しいと思っていて、小芝さんだからできるんじゃないかなと。演じる人によっては“やってる”感が出てしまうところを、小芝さんは素直に楽しませてくれるんです。小芝さんも“やってる”のかもしれないですけど、もうだまされていてもいいかなと。そう思えるくらいには、僕だけでなく現場みんな小芝さんに転がされています(笑)。

小芝:うーん…。宇田川さん、かわいいところあります?

笠松:かわいいところしかないでしょう。

小芝:そうですね(笑)。かわいいとはちょっと違うかもしれないんですけど、宇田川さんの賢いはずなのにときどき抜けている感じが好きです。ふと「この人何言ってるんだ?」となるところが。すごくきっちりしているはずなのに、ちょっとずれている…その抜け感がいいなと思います。

笠松:つまりはファッショニスタってことだね!

◆今回、それぞれのキャラクターで特に注目してほしいポイントは?

笠松:それはもう全体の掛け合いですよね。畳み掛けるせりふの応酬で、決して笑いなしでは見られないドラマになっています。

小芝:そういうことではない気もするのですが…以下同文です(笑)。個人的には今シリーズの中で一番の長回しのシーンを先日撮影したのですが、せりふが台本4ページ分ぐらいあって…。めちゃめちゃ緊張したのですが、一発撮りというのもあり、“もう2度と同じお芝居は帰ってこない”と思いながら臨みました。そういう生っぽさを皆さんにもぜひ楽しんでいただきたいです。

笠松:あと宇田川はですね、実は真っすぐ立っていないんです。基本的にいつも背中が曲がっているのですが、実は僕自身もそうで、これはもう生まれた瞬間から宇田川の役作りをしていたのかなと(笑)。なので、他の作品では大体姿勢を矯正しているのですが、宇田川は曲がったままでいるのが省エネ=合理的なのでもうそのまま。ぜひそのシーンも探し出してみてください(笑)。

『事件は、その周りで起きている』
(左から)笠松将、小芝風花

◆最後に、お2人が“解決したい”悩みを教えてください!

小芝:睡眠の質です。眠りが浅くて、夢が終わるたびに起きちゃうんです。なので、夢を見ずにぐっすり寝られる方法を見つけたいですね。

笠松:僕は“指揮官”なのですが、周りのみんなとの呼吸をしっかり合わせられるようになりたいです。みんなの意見をきちんと聞き、仲間と遠くへ行きたいです!

小芝:空き時間に「MBTI診断」をみんなでやっていて…。笠松さん、はじめは“指揮官”というワードを聞いて喜んでいたのですが、いろいろ調べていたら“嫌われるMBTI”の上位に入っていたので凹んでいるようです(笑)。

PROFILE

●こしば・ふうか…1997年4月16日生まれ。大阪府出身。A型。近作はドラマ『あきない世傳 金と銀』『大奥』『GO HOME~警視庁身元不明人相談室~』など。2025年大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』への出演を控える。

●かさまつ・しょう…1992年11月4日生まれ。愛知県出身。B型。近作は連続テレビ小説『らんまん』、ドラマ『シッコウ!!~犬と私と執行官~』『ポケットに冒険をつめこんで』『TOKYO VICE』『降り積もれ孤独な死よ』などがある。

『事件は、その周りで起きている』
(左から)笠松将、小芝風花

番組情報

夜ドラ『事件は、その周りで起きている シリーズ2』
NHK総合
2024年9月30日(月)~10月3日(木)午後10・45~11・00

●photo/徳永徹