佐野晶哉(Aぇ! group)が主演を務めるドラマL『離婚後夜』(ABCテレビ 毎週日曜 深夜0時10分~/テレビ朝日 毎週土曜 深夜2時30分~)で香帆を演じている久保田紗友のインタビューコメントが到着した。相手を優先してしまうあまり、自分を愛せない香帆の内に秘めた思いは本作のラストピースともいえる重要ポイントとなる。そんな香帆の内なる変化を繊細に演じてきた久保田の香帆との意外な共通点とは。
*あいら*(taskey STUDIO)が原作を手掛けた本作は、連載時から注目を集め、2023年6月からシーズン2もスタートするなど、多くのファンを魅了し続けている作品だ。2度目のウエディングドレスを着るヒロインの鮮烈シーンからスタートするWEBTOONでは、ヒロイン・香帆が超モラハラ夫に尽くし続けながらも離婚を決意し、行きつけのカフェで出会った店員と恋に落ちていく溺愛シンデレラストーリー。ドラマでは、佐野演じる大学生・伊織を主人公に、離婚直後の香帆とのピュアな純愛ラブストーリーを描いていく。
香帆は、物静かで本音をなかなか表に出さないヒロイン像。
「地味で弱そうでいて、だけど内に秘めた信念は強くて…。最初に台本を読ませていただいたときは、こういうヒロインの在り方って珍しいなと思っていました。原作では香帆が主人公ですが、明るさや前向きな一面も、根拠のない自信もないんですよね。だけど、香帆がポジティブさを持ち合わせていないっていう部分から、物語が始まるというところが私にとっては斬新で、魅力的だなと感じました」
地味な見た目で物静かな香帆。しかし、真也(長谷川慎)との離婚、そして伊織との出会いをきっかけに、その心象の変化とともに服装やメークも徐々に変わっていく繊細な役どころだ。
「何よりも、衣装や眼鏡、メークの力もですし、監督お三方の演出の力があってこそだと思っています。実際にお芝居をしてみたときに、台本では感じ取れなかった心が動く瞬間も多くありました。私は台本に描かれている言葉の先に、何が待っているのかを考えて演じさせていただいただけましたし、キャストやスタッフの皆さん、いろんな力が合わさって作品に結実したとあらためて感じています」
伊織と香帆、真也と香帆の言葉を発していない時間には、思わず息がつまるような感覚も。本作では、そんな登場人物の心象を投影したような映像にも目が留まる。
「今回は、ほぼ映画しか撮影されたことのない監督お三方が、初の連続ドラマを手掛けられていて、私にとっては撮影スタイルも印象的でした。相手の目を意識的に見ながらせりふを発したり、逆に引き画だけで撮影したり…。あえて行間をカットせずに長回しで時間ごとその空間を映像に収めるような感覚もあって、視聴者目線だと“相手がどういう反応をしているのか見たいけど見られない”というような焦らされる感じや、物語のイメージが掻き立てられる感覚がこの作品にはあるのかなって思っています」
と同時に、回を追うごとに香帆の内面がグラデーションのように変化していくさまも。
「すごく気弱そうで地味だった香帆が、実は自分の信念を曲げずに、心の中に秘めているものがある強さを徐々に引き出していくといいますか…香帆は真也と出会ってからの10年のあいだ、ずっと抑え続けていた感情が積み上げられていたと思うんです」
劇中では、執筆を始めながらも、小説に自分自身を投影してしまう香帆が文章を一気に消す描写(第4話)など、香帆の過去と決別する“思い”や内に秘めた“強さ”をリアルに感じるシーンも多い。
「香帆の持っているアンバランス感や違和感みたいなものは、私自身が惹きつけられる要素になっていたりもするんです。どんな人にも多面性があるので、役を演じる時に“パズルのピースにはなりたくない”という思いは常に持っています。キャラクターを一般的な概念で作り上げるのではなくて、リアリティのある部分を追求して演じました」
実は、彼女自身のターニングポイントには、香帆との共通点があるという。
「子供のころはすごくシャイだったのですが、表現をすることに対してひそかに憧れを持っていたんです。学芸会で劇をしたときは、本当は自分で演じたいけど、恥ずかしくて前に出られないタイプで…全員の立ち位置やせりふを覚えて、せりふを忘れた子にそっと教えるような子でしたね(笑)。小学生になって“表現をしたい”という夢を初めて母親に打ち明けたことを機に、芸事につながるようなダンスを習わせてもらったんです。あの母に打ち明けた瞬間が、今振り返ると私の原点だったと思います」
その後、久保田は高校入学を機に生まれ育った北海道から上京する。
「上京も大きなターニングポイントでした。高校ではこれまでとは全く違った環境になって、いろんな場所から東京に集まってきた人たちもいて。自分がこれまで抱えてきた悩みなんてたいしたことないんだなって思えたり、私と同じ境遇の人もいるんだなっていうことを知れたり。上京したことで強くなれたと思えた部分もありましたが、“私なんか…”って思っちゃう“香帆モード”も自分の中にずっとあったんです。つい最近になって、ポジティブに考えられるようになったなって思えるようになりました」
香帆モードを脱した今、俳優という仕事の印象については…。
「大変な職業に就いてしまったな、と思う瞬間もたくさんありますが(笑)、私自身が突き詰めることができることってお芝居しかないと思っているんです。オーディション会場へ行くと、同世代の役者さんたちがいて、そのお芝居を見ていると刺激を受けますし、自分も演じたいという思いをすごく掻き立てられるんです。そのたびに私はお芝居が好きなんだなと実感しますし、演じることが自分自身の経験として蓄積されていく面白さも感じられるようになりました。演じている瞬間って、つらいことや苦しいことを忘れられるんです。私にとって演じることは、人生の支えになっているんだなと今すごく感じています」
今では自身と切っても切り離せない存在となった俳優という仕事。オン・オフの切り替えにはある存在が。
「北海道へ帰省するというのも切り替えになるのですが、4年前にワンちゃん(名:おかか/メス)を保護してからは、彼女が至福の時間を与えてくれています。ワンちゃんって、察してくれる力がすごいんです。気持ちが落ち込んでいる時に帰宅すると、おかかがすっとそばに来てくれて励ましてくれて…これは他の何ものにも代えられない癒やしの力だなって(笑顔)」
惹かれる部分と、自身と重なり合う部分も感じながら演じた香帆を通して、『離婚後夜』はどう映ったのだろうか。
「私自身、想像していた以上に見え方が広がった作品だと感じています。ラストまでのストーリーはもちろんですが、映像の質感、間の取り方…。視聴者の皆さんがイメージする以上に深く考えていただけるような作品になっていたらうれしいです」
撮影/今城秀和
スタイリスト/小川未久
ヘアメイク/ナライユミ
衣装協力/iRENE、LE CIEL BLEU、IF8
番組情報
『離婚後夜』
ABCテレビ(関西)
毎週日曜 深夜0時10分~
テレビ朝日(関東)
毎週土曜 深夜2時30分~
※放送終了後、TVerで見逃し配信あり
番組公式HP:https://www.asahi.co.jp/rikonkoya/
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