お笑いコンビ・トンツカタンの森本晋太郎さんがTV LIFEで連載中のコラム「トンツカタン・森本晋太郎のネクストブレイク紀行」。「今年売れる」と言われ続ける中での出来事や本音が綴られた“飛躍を夢見る芸人の備忘録”をwebでも公開します。今回は、M-1グランプリ決勝戦で令和ロマンが放ったあのフレーズの“その後”の話。(TVLIFE 2025年1月29日発売号より転載)
やって大後悔のパターンもあるんだ
1月9日に35歳の誕生日を迎えた。30代も後半に差しかかり、いよいよ40歳という数字が現実味を帯びてきた。来たる不惑に備えて今から極力何事にも惑わされず、地に足ついた大人になることを目指していきたいと思う。しかしそんな決意も束の間、あまりにも恥ずかしい出来事が起きた。
前回のコラムでM-1グランプリ決勝戦で令和ロマンが僕の座右の銘である「やらない後悔より、やって大成功」を使っていたことについて書かせてもらったのだが、それをTVLIFEさんに提出した数日後にくるまからこのようなLINEが届いた。
「すみません!『やらない後悔よりやって大成功』マジで知らなかったです!笑」
そう、あれは僕の座右の銘とは一切関係なくくるまがタイムスリップコントに移行するための導入ボケとしてオリジナルで考えたものだったのだ。どうやら僕が生配信でその件についてうれしそうに話しているのを見て、先輩が勝手に浮かれている姿がいたたまれなくなって連絡をくれたのだろう。歴史的偉業を成し遂げたふたりに迷惑をかけてしまい申し訳ない気持ちでいっぱいだ。しかもそうなってくると僕がXで
やらない後悔より、やって大成功
#M-1グランプリ
とポストしたことで「令和ロマンは森本の座右の銘を使ったんだ」と勘違いさせてしまった人たちからの熱いリプライや引用にもまとめて申し訳なく思うし、僕が無関係だと発覚した今このポストを見返すと「ただ後輩の言葉に感銘を受けたヤツ」みたいになっており、恥の連鎖がとどまることを知らない。当時は座右の銘だからこのポストをしたということを知らない人から「自分は関わってないのにM-1チャンピオンのネタを利用してダサい」といった類のアンチコメントが書かれ、しばらくしたら消されていたということがあったのだが、結果的にその人が合っていたことになる。あの時あなたがもっと強い意志でアンチしてくれたら最低限の恥ずかしさで抑えられたかもしれないのに。
しかもくるまは生配信しか把握していないだろうけど、僕はこれをライブやラジオで意気揚々と話し、挙げ句の果てにはTVLIFEでコラムとしてしたためてすらいる。彼の知らないところで僕ははしゃぎまくっていたのである。35歳にもなってティンカーベルから粉を振りかけられたんじゃないかと思うほど足が地から離れすぎている。
どうやらあの時僕が感じていた「ワクワク」は、「惑惑」だったらしい。大人になるってこんなに難しいんだ。
森本晋太郎
●もりもと・しんたろう…1990年1月9日生まれ、東京都出身。お笑いトリオ「トンツカタン」のツッコミ担当。プロダクション人力舎のお笑い養成所・スクールJCA21期を経て、現在はテレビやラジオで活躍中。趣味でもあるツッコミに特化したYouTubeチャンネル「タイマン森本」も好評。