お笑いコンビ・トンツカタンの森本晋太郎さんがTV LIFEで連載中のコラム「トンツカタン・森本晋太郎のネクストブレイク紀行」。「今年売れる」と言われ続ける中での出来事や本音が綴られた“飛躍を夢見る芸人の備忘録”をwebでも公開します。今回は、J-WAVEでラジオ出演した話。(TVLIFE 2025年3月26日発売号より転載)
六本木ヒルズにて全身タイツで恩返し
先日、J-WAVEで放送している帯番組『GURU GURU!』の火曜日を担当しているダウ90000の回にゲスト出演させていただいた。J-WAVEは僕にとってひときわ思い入れのあるラジオ局で、呼んでいただける度に「どれだけ成長した自分を見せられるか」という思いで臨んでいる。
というのも、僕は2019年から1年半J-WAVEで現在も放送しているこれまた帯番組の『STEP ONE』という番組で毎週月曜から木曜までリポーターとして都内の様々な場所へロケに行かせていただいていたのである。当時ライブ以外の仕事がほとんどなかった僕にとって毎日のようにロケへ出向いて企業で働く方と絡むというのは生活が一変するくらいの出来事だった。同行するのはディレクターひとりのみで、ロケ先でかけられる第一声のほとんどが「こんな少人数でやってるんですか?」だった。もちろん大変なことも多かったけど、その分絆が深まるのも早かったと思うし、おかげでとんでもない量の経験を積むことができた。そんな背景から、その後J-WAVEに出させてもらう時はロケじゃなくとも当時の自分に思いを馳せてしまうのである。
そんな中、『GURU GURU!』の本番数日前にとあるLINEが届いた。懐かしい名前だった。
「ご無沙汰しております!今度のダウ90000のグルグル、僕がディレクターやってます!とても楽しみにしてます!」
ついにあのロケぶりにご一緒することができたのだ。僕の成長した姿を直接見せるチャンスが突然転がり込んできた。もちろん今でも未熟なのには変わりないが、あの頃に比べればラジオのスキルは絶対に上がっているはず。今回の放送を盛り上げることが恩返しの第一歩だ。
いつになく意気込んで当日楽屋に入ると、テーブルの上に違和感のある光景が広がっていた。ピコピコハンマー、おもしろメガネ、巨大アゴマスクなどなど、およそ六本木ヒルズにスタジオを構えるJ-WAVEとは思えないラインナップが並んでいる。聞くところによると今回は『真面目すぎることを辞めよう』というテーマでお送りするらしく、放送中に僕の真面目なイメージを払拭するためのグッズとのこと。
結果的に放送が終わる頃にはADさんが午前中に自宅のベランダで染めたグラデーションの全身タイツを身に纏い、アヒルの被り物をして「僕は真面目を辞めません」と宣言していた。
チラっとブースの外を見ると、ディレクターさんが手を叩いて笑ってくれていた。思ってた形とはまるで違うけれど、これもまた成長した姿のひとつなのかもしれない。
森本晋太郎
●もりもと・しんたろう…1990年1月9日生まれ、東京都出身。お笑いトリオ「トンツカタン」のツッコミ担当。プロダクション人力舎のお笑い養成所・スクールJCA21期を経て、現在はテレビやラジオで活躍中。趣味でもあるツッコミに特化したYouTubeチャンネル「タイマン森本」も好評。