『デジモンアドベンチャー』テレビ放送開始から15周年を記念して、シリーズ最新作であり、初代『デジモンアドベンチャー』の続編となる新シリーズ『デジモンアドベンチャー tri.』(全6章)の第3章「告白」が9月24日(土)より劇場上映。第3章で物語の中心となる泉光子郎役の田村睦心さん、テントモン役の櫻井孝宏さん、高石タケル役の榎木淳弥さん、パタモン役の松本美和さんにインタビュー。作品への想いや見どころを語ってもらいました。
――久しぶりに『デジモン』を演じると決まったときの感想を教えてください。
櫻井:まさか再びやるとは思ってなかったので、正直驚きました。しかも劇場版で6章まであると。すごく大きなプロジェクトですよね。ゲームなどの収録は何年かに1度あったんですけど、それも3年、4年に1回とかオリンピックみたいなタイミングしかなかったので。
とまどいはなかったんですけど、ちょっと照れはありました。テントモンは他ではなかなかやれる機会のないタイプのキャラクターですし、新しいキャストの中には「子供のころ見てました」っていう人が何人かいて。なんか気恥ずかしいというか。ちょっとそういう年月を感じましたね。
――演じるテントモンは櫻井さんのイメージとはちょっと離れた、面白い関西弁のキャラクターですが…
櫻井:僕の中身はどっちかというとそういうキャラなので(笑)。とっつきやすいキャラクターですね。「デジモンアドベンチャー」は初レギュラーでもあり、好きな作品なので、やっぱりうれしかったですね。
――すんなりと役に戻れましたか?
櫻井:その点の苦労はなかったですね。
――パタモンを演じる松本さんはいかがでしたか?
松本:私、日常がこういう声をしてるので(笑)、役に関してもすんなり入れました。
榎木:日常がパタモン(笑)。
松本:日常がパタモンなので、今パタモンになったという感覚もあまりなく、自然にアフレコできました。へへっ(笑)。
「子供のときに見てました」っていうのは言われることが多かったので、ああそうなんだなって思いつつ、リアルに見てた人が役者になる感覚のほうがすごい不思議だなって。
――パートナーの“選ばれし子どもたち”のお2人は役が決まったときの感想はいかがでしたか?
榎木:当時「デジモンアドベンチャー」が放送していたとき、ちょうど登場人物の太一たちと同い年だったんです。まさかそのアニメの声を自分が演じることになるとは思っていなかったので、すごく感慨深かったです。
――榎木さん、田村さんは当時『デジモン』はご覧になっていたんですか?
榎木:放送の次の日は学校で「デジモンどうだった?」っていう話になっていましたね。その時のことを考えると不思議だなって思います。
田村:私も子供のときに見ていました。クラスでアニメの話をしたり、ゲームも「デジモンバトル」とかで遊んでいたので、オーディションがあるって聞いたときに、「うわ!いいな!」って思ったんです。でも、よくよく考えてみたら割と男子のキャラクターは多いけど高校生になっちゃうし、女性のキャラクターは少ないし、あんまり女性の役をやったことないし…。これは出たいけど無理かもって思ってたところに、「光子郎の役で受けてみませんか?」っていうお話をいただいて。実際に決まったときはうれしかったですね。
――プレッシャーはありませんでしたか?
榎木:やっぱりキャストが変わるっていうことで、もともとのファンの方からしたら前シリーズのイメージがあると思うので、そこに新しく加わるっていうのは不安はありました。
田村:私も当時見ていたので、光子郎ならこの声だという印象は強くありますし、楽しみにしてくれている人たちが「変わるのか…」って思っている感じもなんとなく分かるので、大丈夫かなってすごくドキドキしましたね。特に第1章はすごい緊張しましたね。
榎木:うん。僕も緊張しました。
田村:物まねになっちゃいそうで、でもならないように気をつけなきゃって。(榎木に)ね?
榎木:そこは意識しましたね。
――パートナー同士での最初の収録のときはいかがでしたか?
田村:「テントモンがいる!」って思いました(笑)。
櫻井:なんでいま笑った?
全員:爆笑
田村:櫻井さんとは別の現場でもお会いしていて。
櫻井:けっこう共演すること多いんだよね。
田村:そうなんです。だから改めて緊張、っていうのはなかったんですが、実際アフレコになって、櫻井さんがテントモンのせりふをしゃべったときに「やっぱテントモンだったんだ!」と(笑)。私、テントモンが好きなので、かわいい!って思いました。櫻井さんのこういう声のイメージってあんまり聞かないですし。
櫻井:これでしかやったことない。
田村:そうですよね。だから余計にうれしいのとびっくりしたのとでいろいろ感動しましたね。
榎木:僕たちは第2章まで別々に録っていたので、3章から本格的に松本さんと合流して一緒に録らせてもらったんです。1章のときは出来上がりを見て、タケルとパタモンが話してるシーンを見て「あぁ、俺パタモンと話してる!」って(笑)。そういうミーハーな感動がありましたね。
松本:(榎木くんとは)去年のデジモンフェスのときに初めてお会いしたんですよね。それまでは別々に録っていたので。そのときに「ねえタケル!」ってステージ上で呼びかけたあとに「あー、タケルって言っちゃった!どうしよう!」ってなんだか急に照れてしまいました(笑)。「急に振っちゃった!」ってワタワタしちゃった。
――久しぶりにアフレコする中で当時を思い出すことや懐かしさを感じることはありますか?
櫻井:最初に続編をやると聞いたとき、選ばれし子どもたちとかキャストをどうするのかなっていうのは最初に思いました。そもそもどういうストーリーになるのか、テントモンが出てくるのか?とか。デジモンのキャストも、人によっては別のことをされていたり、それぞれの道を歩んでいたので、集まるのかな?って思っていたら、集まるもんだなって(笑)。
松本:ねえ。集まっちゃった!(笑)。
全員:爆笑
櫻井:すごいなって思いました。それはそういうふうに頑張ってくださった方がいるからこそですよね。女性が多い現場で、当時から女性が絶大な力を持っていて(笑)。
全員:爆笑
櫻井:初めはちょっと人見知りじゃないですけど、懐かしさもあって。感覚を取り戻さなきゃいけないんですけど、僕は場の雰囲気をじっくり味わっていましたね。でも楽しいですね。よみがえるものもあるし、新しいキャストの人たちが加わった新鮮味もあって。
ちょっとノスタルジックな気持ちにもなりました。(松本に)当時みんなで撮った写真覚えてますか?和田(光司)さんもいらして。
松本:歌の収録のときのやつ?エンディング曲をキャストみんなで歌って。
櫻井:そう!それです。その写真が出てきて。それを見て懐かしいなって。
田村:物で残ってるっていいですね。
櫻井:けっこうインパクトあるよね。すっかり忘れてたから、出てきて「わぁ」って。
田村:いいですね。
榎木:うん。
松本:じゃあ15年後にまたやりましょう(笑)。
全員:爆笑
――物まねにならないように、とおっしゃっていましたが、前に演じた方を意識しながら成長した姿を演じるとなると難しいと思うんですが…
田村:光子郎の場合、けっこう難しいことを説明するセリフが多いので、ちゃんと中身を理解した上で、自分の中で落とし込んで…っていうのは当たり前のことだと思うんですけど(笑)、よりしっかりしないと何を言っているのか全然分かんなくなっちゃうようなセリフが多いんです。
人との会話だったらその中で理解できることもあると思うんですが、割と1人でしゃべって整理してるシーンが多いので。
櫻井:1章のときに、河原でみんなが集まっているのに、裏でずっと1人で話してるシーンは切なかったね(笑)。
全員:爆笑
櫻井:誰も聞いてねーって(笑)。
田村:聞いてるのテントモンだけでしたもんね(笑)。
櫻井:あれは1人で黙々とお芝居している田村さんが印象的でした(笑)。
田村:桜井さんが後ろに立って一緒にいるような感じで聞いてくださっていて、「心強い」って思いながらアフレコした思い出があります。
――第3章は物語が大きな展開を見せますが、台本を読んだときの感想を教えてください。
田村:つらい…。
榎木:何が起こったか分からなかったですね。なんだこれは?って。あまりにも想像していない展開だったので。
本当に絵を見るまで何が起こったか分からなかったんですが、そんなことやっちゃうんだって思いました。
――櫻井さんはいかがですか?
櫻井:(思わせぶりに)いや…まさか…あんなことになるとは…
全員:爆笑
松本:でもそうなるよね。2章の上映中に3章の予告映像を見て、パタモンがくるっと振り返って「さよなら…タケル」って。もうそれだけでだめで(笑)。
それで台本を読む前から「エーン、またタケルに迷惑をかけちゃう…」って泣いてたんです。洗濯物を干しながら(笑)。
全員:爆笑
松本:ご近所中に「あの人ヘンだわ」って思われてるだろうなって思いながら(笑)。それで台本を読んだら、「あー…やっぱり迷惑かけてるじゃん…」って。だいぶしんどかったですね。
櫻井:パタモンは純粋なんですよね。それこそ天使になっちゃうようなキャラクターだから。
――第3章のポスターではテントモンの究極体も見られますが、櫻井さんは究極体との演じ分けはどのように意識されましたか?
櫻井:カブテリモン以降はそんなに変えてないんです。元をたどれば、10数年前にやっていた当時に、テントモンからカブテリモンに進化するっていう、あそこで全力だったんです。それ以上の進化に対してどうするかって全く考えてなくて。フルパワーでやっちゃってたんです(笑)。もっと大きい声を出すとか根性とかしかなくて。
ただ、今になって思うのはマインドなのかなと。小手先の声でどうこうっていうよりは、気持ちでやっています。
――田村さん、榎木さんは成長した選ばれし子どもたちを演じるにあたって、キャラクターづくりなどはどのようにされましたか?
田村:台本を読みながらどうしようかなってずっと考えてたんですけど、光子郎は変わってないかなって(笑)。オフィスを持って会社をやっているという点では、もっとすごいやつになっちゃいましたが。
榎木:確かに。変わってないですね(笑)。
田村:パワーアップしてるけど、基本は変わってないのかなって思って演じています。
――なるほど。確かに光子郎だけでなく、タケルたちもそれぞれの本質は変わっていないですね。デジモンたちは相変わらずの無垢さが魅力的ですよね。
櫻井:もうちょっとパタモンは賢くなってもいいですよね(笑)。
全員:爆笑
松本:どうしちゃったんだろう…おかしいなあ(笑)。何か吸収して少しは成長しているはずなのに。そのまま来ちゃったね。何年間か空白期間がある(笑)。
田村:変わらないデジモンと、本質は変わってないって言っても選ばれし子どもたちは体も大きくなって立場も変わっていたりして、その感じがまたいいんですよね。
――今年、2回目の「デジモンフェス」が開催されましたが、実際にファンを前にしていかがでしたか?
榎木:こんなに熱量が高いイベントってないなって思いました。皆さんすごく楽しそうにしていたり、泣きながら一緒に歌ったりとか。デジモンに対する愛がすごいなって感じると共に、気が引き締まりますね。これはしっかりやらないとって。
田村:新キャストの私たちにもすごく優しく厳しく、期待を寄せてくれている感じがして。一緒に盛り上がっていくというか。1回目も2回目も泣きそうになってました。
櫻井:ステージから見ていると、外国の方もいて。アジアの方も欧米の方もいたんですけど、その姿を見た時に、この作品は垣根がないんだろうなって。何か言うとぜんぶイェーイ!みたいなパーティーピーポーみたいな人もいましたよね(笑)。すごくハッピーな気持ちになりました。
松本:私、(2章に登場する)大江戸温泉物語にこっそり行ったときに、ファンの方に声バレしたり顔バレしたりしてサインを書いたことがあるんですけど、台湾の方だったと思います。なんで日本に?って聞いたら2章の先行上映でいらっしゃっていて、劇場上映が始まったらまた来ますっておっしゃっていて。今回のイベントも会場にいらっしゃっていました(笑)。
田村:手を挙げてた方ですよね。
松本:その方々がいらっしゃったのでびっくりしました。
――3章まできて、パートナーの絆は深まりましたか?
田村:深まってますよね?(チラッ)
櫻井:深まってます!ズブズブの間柄です!(笑)
榎木:それはそれで語弊が…
松本:なんでも勢いで言えばいいってもんじゃない(笑)。
櫻井:怒られた(笑)。
――全6章の半分の3章まできましたが、この先の展開は?
櫻井:先が読めないんですよね、正直。かつ、何が最後に待っているのかまったく…。
――3章は重いストーリーになりましたが、演じる中でつらいところはありましたか?
田村:涙をこらえるのが大変です。
榎木:演じていて泣いちゃいますよね。
田村:特に私は本当にすぐ泣く派なので(笑)。泣いても声が変わらなければいいのかもしれないですが、声まで変わっちゃってズビズビになっちゃうので、アフレコ中は気を付けようと。あと光子郎は男の子ですから、あんまり泣くのも違うかなって。そこは踏ん張って。
――田村さんは少年の役が多いですが、今回は高校生役ですね。
田村:アニメで高校生くらいの男子はあまりないですね。高校生だし、声変わりしますもんね。よくぞ選んでくださったなと(笑)。
――男子を演じる難しさはありますか?
田村:女性をやることのほうが少ないので、女性のほうが難しいです。女子の気持ちが分からない(笑)。
全員:爆笑
田村:怖いですよね(笑)。徐々に男寄りになっていく…。そのうちヒゲとか生えてきたりして(笑)。ヒゲ生えてたらこっそり教えてください。
全員:爆笑
――それでは最後に、これから第3章を見るファンに向けてメッセージをお願いします。
田村:つらいことも多くて、みんな頑張って何とかしようともがき苦しんでいるんですが、第3章は見てもらわないといけない章だと思うんです。絶対に見てほしいと思います。これを見逃したら大変です!ですよね?
櫻井:田村さんの言うとおり!
榎木:3章は『デジモンtri.』において大きく話が動く章で、デジモンと選ばれし子どもたちにはつらいことが待っているんですけど、3章を見た後にすぐに4章が気になるような、誰も想像しないような内容になっていますので、ぜひ期待してください。
松本:デジモンとパートナーとのあり方とか、パートナー同士の個性が出ている作品になっているので、そこをしっかり感じていただけるといいなあと思っています。
櫻井:ちょうど全6章の真ん中で、2章から見ていると雲行きがあやしいのは察していただけると思います。とある悲しい出来事が起きるんですが、そこに至るプロセスがすごくナイーブで。純粋に楽しむっていうよりは向き合ってもらうような見方になってしまうと思いますが、最後のシーンまでしっかり見てもらえたらいいなと思います。
作品情報
『デジモンアドベンチャー tri. 第3章「告白」』
3週間限定劇場上映/劇場限定版Blu-ray先行発売/先行有料配信
2016年9月24日(土) 同時スタート!
一般販売版Blu-ray&DVD 2016年11月2日(水)発売!
<ストーリー>
メイクーモンが突如異変を起こし、レオモンを消滅させてゆがみの向こう側へその姿を消したことで、動揺を隠せない太一たち。
「メイクーモンが感染したんだとしたら、原因を探りたい。
何か兆候はなかったのか?感染したのはいったいいつなのか?」
想像を超えた状況に直面しながらも、何か対策を取れないかと苦闘する光子郎。
しかし有効な手立てもなく、なんとか情報を得ようと芽心を問い詰めてしまう。
「思い出して下さい。感染の理由を突き止めるには情報が必要です」
うなだれ、何も答えることが出来ない芽心―
感染を防ぐために光子郎のオフィスに隔離されていたアグモンたちだったが、パタモンに感染の兆候が見え始める…
時を同じくしてアグモンたちは、ヒカリに宿った声を通してデジタルワールドに関する重大な秘密を告げられる。
「時が…迫る…」
そして再び姿を現したメイクーモンとの戦いの中で、その「時」は訪れるのだった。
明かされた秘密に苦悩する太一たち。
それぞれの想いが交錯する中、彼らはある決意をする…
「いつかなんて待ってたら、あっという間に大人になっちまうよな」
今、再び 冒険が進化する―
<CAST>
八神太一:花江 夏樹 アグモン:坂本 千夏
武之内空:三森 すずこ ピヨモン:重松 花鳥
石田ヤマト:細谷 佳正 ガブモン:山口 眞弓
泉光子郎:田村 睦心 テントモン:櫻井 孝宏
太刀川ミミ:吉田 仁美 パルモン:山田 きのこ
高石タケル:榎木 淳弥 パタモン:松本 美和
城戸丈:池田 純矢 ゴマモン:竹内 順子
八神ヒカリ:M・A・O テイルモン:徳光 由禾
望月芽心:荒川 美穂 メイクーモン:森下 由樹子
西島大吾:浪川 大輔
姫川マキ:甲斐田 裕子 ほか
<STAFF>
監督:元永慶太郎
公式サイト(http://digimon-adventure.net/)
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