Dream Amiさんのソロ3rdシングル「Lovefool-好きだって言って-」が10月19日(水)にリリース。スウェーデンのバンド・カーディガンズの名曲をカバーした表題曲を含む収録3曲には、いずれもAmiさんの“チャレンジ”が感じられる。今作がどのように生み出されたのか、Amiさんが語ってくれました。
どの曲をカバーさせていただくときも“原曲を壊しすぎない”ように
◆Amiさんが「Lovefool」をカバーされると聞いたとき、ぴったりだなと思いまして。
自分で言うのもなんですけど、私もそう思いました(笑)。この曲をカバーすることになったのは、自分発信ではなくて、制作スタッフさんから「これがいいんじゃない?」っていう提案をいただいたんです。もちろん、いろんなところで流れている曲なので知ってはいたんですけど、ちゃんとフルで聞いたのはそのときが初めてで、自分がこれをカバーしたらどうなるんだろうっていう期待感を持てましたし、自分だったらこう歌いたいっていうイメージが瞬時に沸いたので、そういう意味では自分に合う曲なんじゃないかなと。
◆1996年のヒットナンバーですけど、今聞いても全く色あせない魅力がありますよね。
バンドサウンドも好きで魅力的なんですけど、何よりもやっぱりボーカルのちょっと気だるい感じというか、アンニュイな感じというか、雰囲気がすごくいいんですよね。だから、今回のカバーでもそこは残したいなと思って。
◆やはり、原曲のイメージを大事にしようと?
基本的にどの曲をカバーさせていただくときでも、「原曲を壊しすぎない」という意識は持ってやっているんですけど、特に今回はアレンジも原曲に寄せて作っていただいているので、自分の世界にさせすぎず、かといって真似にもならないよう、バランスには気をつけました。いろいろと試行錯誤する中で、自然と今までにない歌い方ができたんじゃないかと思います。聞いてくださった方からもたくさん「いいね!」と言っていただいて、その感想が一番うれしいです!
◆日本語詞がついたことで、特に若い世代の女性には恋に悩むこの曲の内容がより刺さるかもしれませんね。
私自身が英語の発音が苦手というのもあるんですけど(笑)、やっぱり私の音楽を聞いてくださる方って中学生とか高校生とか、若い世代の方が多いので、そういう人たちにもなじみやすく、一緒に歌えるような曲にできたらいいなと思って、日本語詞をつけることになりました。
◆前作「トライ・エヴリシング」に引き続き、田辺秀伸監督が手がけられたMVは、家にあるさまざまなものが“fool(故障)”しているという不思議な世界観がポップなカラーで彩られていて、とてもユニークな映像に仕上がっていますね。
撮影自体は、結構スムーズに終わりました。E-girlsのMVは、大人数のグループですし、ダンスもあって同じ動きをカメラの角度を変えて何度も繰り返し撮るので、どうしても時間がかかるんですけど、それに比べたらサクっと終わりました。1カットだけだったり、一発OKも多くて逆に心配になるくらい(笑)。でも、そこは信頼の置ける田辺監督なので、すべて委ねさせてもらって。和気あいあいとした現場で、最後まで楽しかったです。
◆Amiさん自身も故障してしまったかのような無気力で無表情なシーンがありますが、田辺監督からはどんな指示があったんでしょうか?
“恋に溺れておかしくなってしまう”というのがコンセプトで、田辺さんからは「ここはこういうシーンだから、こういう顔して」みたいに、ドラマや映画のような演技指導がありました(笑)。真顔のシーンは、感情がどこかにいってしまった状態をイメージしながらやっています。ほかにも「瞬きしないで」とか「人間っぽさをなくして、人形になった気分で」という指示もあり、それを忠実に表現できるよう頑張りました。
◆お気に入りのシーンはありますか?
どれもお気に入りなんですけど、2番のサビに入る直前に電話しながら一気にテンションが上がっちゃうようなシーンがあって、そこはやっていて楽しかったです。あそこをきっかけにハッピーになっていくストーリーなので、このMVには欠かせないシーンでもあると思います。
◆ちなみに、Amiさん自身は恋するとどうなりますか?
まさにこの「Lovefool」の歌詞みたいになっちゃいますね。この歌詞は本当に自分っぽくて、だからこそ自分に合う曲だなとも思ったんです。私も好きな人ができると、周りが見えなくなるほど相手に一直線。何をしていてもずっとその人のことを考えちゃって、もう四六時中「好き!好き!」って感じ。結構、恋愛体質だと思います(笑)。
◆好きな人に対して自分からアピールするほうですか?
アピールしますね。告白も自分からしちゃいます。今までがだいたいそうでした。そういう意味では、肉食系かもしれないです(笑)。
◆初恋の思い出はありますか?
どれを初恋と言っていいのか分からないんですけど、本当の本当の初恋は小学校3年生のとき。相手はカッコよくて人気のある、同じクラスの男の子でした。でも、当時は積極的になれなかったんです。自分に自信なんて1ミリもなくて、絶対に私のことなんて好きなわけがない、好きになることもないと思って、本人にはもちろん、仲のいい友達にさえ言えなくて。
◆その男の子はAmiさんの思いには気づいていなかったんですか?
全然気づいてないと思います。それにその男の子は違う女の子と両想いだったんし…。だから余計に言えませんでした。でも、その男の子とたま~にちょっと話すだけでも、私はもうずっとドキドキしてて…。これいまだに誰にもしゃべったことがないんですよ。当時の友達に「Amiの好きだった人、誰なの?」って聞かれても、絶対秘密。切ない初恋の思い出です(笑)。
自分も失恋したことがあるので、“ああ、分かるわ、この感じ…”と
◆2曲目の「じゃあね」はそのタイトルどおり別れの歌ですけど、今までAmiさんにはこういう楽曲ってあまりなかったですよね?
そうですね。E-girlsやDreamには失恋ソングや切ない曲もなくはないんですけど、自分がそれを歌うことはあまりなくて、ずっと憧れがあったんです。それで今回、曲を作るに当たって私のほうから「こういう感じの歌詞を書いてほしいです」とリクエストをさせていただきました。でもまさか、ここまで切ない曲になるとは(笑)。
◆でも、憧れが実現したわけですね!?
初めて挑戦するタイプの曲で、ちゃんとこの世界観を伝えられるか不安もあったんですけど、自分の新しい一面を引き出してもらえたと思います。やっぱり、切ない曲っていいですよね。
◆分かります。この「じゃあね」もすごくしみる一曲です。歌うときに意識したことはありますか?
自分も失恋したことがあるので、“ああ、分かるわ、この感じ…”と、どこか自分と重ね合わせる部分はありました。あと、これは自分の癖というか特徴でもあるんですけど、ついつい明るく歌いがちで、悲しい曲もそう聞こえないことがあるので、そうならないように意識しました。録った歌を聞いては「もっと抑えなきゃだめだ」と、何回も歌い直してイメージに近づけていきました。この切なさを歌でどう表現すればいいかと、結構苦労しながらレコーディングしました。
◆そして3曲目の「JUMP!」では、作詞に初挑戦されていますね。
まさかこれをカップリングに入れてもらえるとは思ってもいませんでした。というのも、まずはチャレンジしてみて、そこから作詞について学んでいこうという段階で書いたものなんです。もともと曲はできていて、キャッチーだし、さわやかなメロディも気に入っていて、そこからインスピレーションをもらって書き始めたんです。
◆このシングルに入れるつもりで作詞したわけではなかったんですね。
そうだったんですよ。最初は、自分の中で作詞に対して勝手に壁を作っていたんです。単純に難しそうっていうのもありますし、伝えたいことをうまくメロディにはめながら完結させなきゃいけないわけで、その部分でも全然自信がなくて。何より、自分の心の中を見られるようで恥ずかしいなと(笑)。でも、いざやってみると楽しくて、歌詞もうまくメロディにはまって、これだったら自分の思いがちゃんと伝わるかもっていう瞬間の連続で出来上がっていきました。正直なところ、今回は本当に第一段階としてのものなので大目に見ていただきたい…というところもあるんですけど(笑)、これからもっともっといろんな人の気持ちを代弁できたり、いろんな人に何か感じてもらえる詞を書けるようになれたらなと思います。
◆そこまで煮詰まるようなこともなく、すんなり書けました?
Aメロ、Bメロはすぐ書けたんですけど、サビはすごく時間がかかりました。一番いい歌詞を持ってこなきゃとか、一番伝えたいことを書きたいんだけど、どう書くのがいいんだろうとか、サビに対するプレッシャーが大きくて。本当にこれでいいのかなって何度も悩みながらしぼり出しました。
◆Amiさんらしいポジティブなメッセージソングに仕上がっていますが、普段言えないことも歌詞だから書ける、という部分もあったんじゃないですか?
そうですね。この曲は、友人や周りの人たちに向けて書いた部分もあるんです。例えば何かに悩んでいる友達がいて、自分に思うところがあったとしても、その人の気持ちを思うと口にするのは違うのかなって引っ込めることってあるじゃないですか。そういう普段なら引っ込めることを歌詞にしたんです。だから、歌詞としては結構強いことを言ってるんですけど、それは歌詞だからこそ書けたんだと思います。
◆友人や周りの人たちだけでなく、自分自身に向けて書かれているようにも思えたんですが、いかがですか?
それはあります。何かスタートするのに決して遅いことはないと思うんです。スタートはいつでも切れるんだから、自分の心にうそをつかず、正直に、やりたいことをやって輝いてほしいなって。それは自分に対しても言えることだし、今までだってそう思ってやってきましたから。
◆タイトルの「JUMP!」にも、そういう思いが込められているんでしょうか?
飛び出していく、ステップアップしていく、というようなイメージでつけました。最後の最後までなかなか決まらなかったんですけど、周りのスタッフさんからの「これがいいんじゃない?」という意見もあって、「JUMP!」でいこうと。
◆Amiさんのそのポジティブさはどこから来るんでしょう?
自分がポジティブなのは、ネガティブの反動なのかもしれませんね。もともと自分は暗いし、どちらかというとネガティブなんです。それを隠すためにポジティブでいようとしたり、あえてポジティブな言葉を思い浮かべて自分に言い聞かせることもあります。でも、そんな自分が今あるのも、これまでいろんな人にいろんな言葉をいただいたおかげ。その中でたくさんのポジティブを分けていただきました。とても感謝しています。
◆「JUMP!」には“きっと見上げればほら青空”という歌詞がありますが、ソロアーティストとしてのAmiさんの目の前には今、青空が見えてますか?
どうなんでしょう…。見えるようでありたいですね。たとえ今は見えてなかったとしても、見えるようになると信じたい。「言霊」という言葉がありますけど、それってすごく大切なことだと思うんですよ。嫌なことは内に秘めて、いいことだけを発信し続けていれば、きっと青空が見えるようになるって、私は信じています。
■PROFILE
Dream Ami…1988年5月11日生まれ。大阪府出身。2002年7月にdream(現Dream)に加入。2011年12月よりE-girlsのメンバーとしても活動をスタートし、歌だけでなくバラエティでも活躍。2015年7月に「ドレスを脱いだシンデレラ」でソロデビューを果たし、今年4月にリリースした2ndシングル「トライ・エヴリシング」は、ディズニー映画「ズートピア」の日本版主題歌として大きな話題を集めた。現在放送中の『Good Time Music』(TBS)ではMCを担当している。
■リリース情報
「Lovefool -好きだって言って-」
10月19日(水)発売
1800円+税(CD+DVD)
Disc1:CD
1.「Lovefool -好きだって言って-」
2.「じゃあね」
3.「JUMP!」
4.「Lovefool -好きだって言って-」(Instrumental)
Disc2:DVD
1.「Lovefool -好きだって言って-」(Video Clip)
1200円+税(CD)
1.「Lovefool-好きだって言って-」
2.「じゃあね」
3.「JUMP!」
4.「Lovefool-好きだって言って-」(Instrumental)
5.「じゃあね」(Instrumental)
6.「JUMP!」(Instrumental)
「Lovefool-好きだって言って-」が、9月30日(金)より、音楽配信サービス「AWA」で独占先行配信中。
詳細はAWAオフィシャルサイトをチェック!
http://awa.fm/
●撮影/中村圭吾 取材/甲斐 武