モデル、女優、キャスターと幅広く活躍する古畑星夏さんが、騙し合いのデスゲームを描いた人気シリーズ第5弾「人狼ゲーム ラヴァーズ」(1月28日(土)公開)で映画初主演。体当たりの演技で本作に挑んだ古畑さんが、撮影秘話を語ります。
泣いちゃいけないのに、自然と涙があふれてきました
◆桜庭ななみさんや土屋太鳳さんなど若手人気女優陣が主演を飾ってきた「人狼ゲーム」シリーズですが、本作の主演が決まったときはいかがでしたか?
これまで主演を務めてこられた方は素晴らしい方ばかりで、自分が主演と聞いて不安になったりもしました。でも、キャストのみんなと一緒だったので心強かったですし、そこまで大きなプレッシャーを感じることなく撮影に臨めました。
◆村人に紛れた人狼を探す騙し合いの心理ゲーム「人狼ゲーム」が作品のベースになっていますが、ゲームはご存知でしたか?
はい。でも、実際にプレーしたことはなかったので、顔合わせの日にキャストみんなでやったのが初です。村人なのに発言を疑われたり、逆に村人だと思っていた人が人狼だったりして、すごく人間不信になりました(笑)。
◆本作は今までのシリーズと違い、ゲーム参加者全員が「人狼ゲーム経験者」という設定です。
最初は人狼ゲームが2回目だということをバレないように振る舞うんですが、ふたを開けてみればみんな2回目で。ここまで勝ち上がってこられたということは、みんな相当強いということですから、彼らをいかに騙せるか、信じさせるか、がポイントですよね。そういった心理戦が難しかったです。
◆主人公の蘭子という人物をどう捉えていますか?
蘭子はあまり人に弱みを見せず、「家族や父の借金のためにゲームに勝たなきゃいけない」という強い意志を持っている子なので、そういう部分は自分でも出していこうと思いました。命を懸けるぐらい家族思いである点や、つらいことに目を背けず戦う強さはカッコいいと思います。人物像は一度紙に書いて、それを綾部(真弥)監督に見せたりして固めていきました。
◆紙に書くという作業は毎回なさっているんですか?
そうですね。まずは特徴をぶわーっとたくさん書いていって、そこから枝分かれさせていったり。それを監督に見せて答え合わせしているんです。明確にしたほうが自分も安心してお芝居ができるので、お芝居の現場ではいつもそうしています。
◆あまり感情を表に出さない蘭子ですが、物語後半では涙を流したりするなど、蘭子の中の弱さも描かれていきます。そういった繊細な演技に難しさはありましたか?
涙のシーンも、ほかのシーンと同じで基本的にはその場の雰囲気に任せて演じていました。ただ、蘭子が感情を出してから迎えた投票(※)シーンはすごくつらかったですね。特に、最後の投票シーンでは、泣いちゃいけないのに自然と涙があふれてきてしまって。でも、監督からは「ここは泣いちゃだめ。蘭子として強く生きなきゃ」と指示があったので、出てくる感情を抑え込む演技はものすごく大変でした。
※参加者全員が集まり、人狼だと思う人を話し合って決定すること。最多数を集めた人が処刑される。投票は毎晩1回行われる。
クランクアップでは“もう人を殺さなくていい”という解放感がありました
◆―人狼の役職を持つ蘭子は村人を殺さなければいけないわけですが、殺人シーンなどを演じられるときに、しんどさはありませんでしたか?
「今日も人を殺しに行くのか、嫌だな」「投票の部屋に入りたくないな」と思うこともありました。でも、キャスト同士が本当に仲良かったので、うまくオンとオフの切り替えができていたと思います。また、日を追うごとにそれぞれの演技のクオリティーが増していったので、そういう姿を見ながらお互い高め合えたんじゃないかなと。撮影はつらかったですが、全体的にはチームワークのいい、楽しい現場でした。
◆劇中とは打って変わって、現場はすごく明るい雰囲気だったんですね。
初めから仲がよかったですね。顔合わせ初日に大勢でご飯に行きましたし、LINEグループもあって何だか学校のような感じで。「人狼ゲーム」のキャストとは作品が終わっても交流がありますし、毎日会ってるんじゃないかって子もいるぐらいで(笑)。本当にいいチームに出会えたと思います。
◆取っ組み合ったりビンタしたり、男女問わず格闘するシーンが多かったですが、そのときの現場はどういった雰囲気でしたか?
虎之介役の池田(純矢)さんと取っ組み合いになるシーンがあるんですが、池田さんが本当に気を使ってくださって。本気でぶつかるところは本気で来てくれたので、自分もやりやすかったです。本当に周りに助けられました。
◆蘭子と一香(佐生雪)の、女同士の激しいけんかもありました。
雪ちゃんとは普通に仲がいいので、髪をつかんだりつかまれたりして取っ組み合うシーンは悲しくて、シーンが終わってから2人で泣きながら抱き合っていましたね。「ごめんね、つらかったよね」と言いながら。本当につらかったので、「早くカットかけてくれ」と心の中でずっと思っていました(笑)。
◆そういったつらいシーンがたくさんあったわけですが、クランクアップの瞬間はいかがでしたか?
「やっとこのつらい状況から抜け出せる! ゆっくり寝られる!」みたいな(笑)。もう人を殺さなくていいという解放感がすごくありました。実は、劇中の施設とホテルが同じ場所なんですよ。殺し合いのシーンを撮っている場所に泊まるということが本当に怖かったです。
◆合宿のような感じだったんですね。
そうですね。一週間ぐらいで一気に撮影したのですが、逆にそのぐらい詰まっていた方が精神的にやりやすかったのかもしれないですね。
◆家に帰ってからはよく寝られましたか?
ぐっすり寝ました。翌日の16時ぐらいまで寝ていましたから(笑)。
モデルも女優もキャスターも…全部頑張りたい!
◆本作で女優として成長を実感されたりしましたか?
今までは“ザ・女子高生”というか、明るくキャピキャピした役が多かったんですが、今回は作品がシリアスですし、蘭子は芯のある強い子。こういう役は初めてで、人を殺すまでのテンションに持っていくために殻を破ったりしたので、自分の新しい一面を出せたんじゃないかなと。蘭子と一緒に成長できた気がします。
◆2016年を振り返っての感想と、2017年の目標を教えてください。
2016年はキャスターもやって、バラエティにも出演させていただいて、モデルとしては今までと違った表情に挑戦したり、女優としてはシリアスなものにもいっぱいチャレンジできたり、あっという間の一年でした。いいことも悪いこともいっぱいあったので、それを糧に2017年は自分の強みをもっと伸ばしていけたらいいなと思います。
◆どんなことに挑戦したいですか?
小さいころから女性が戦う映画を見ることが好きだったので、「人狼ゲーム」でそれが少し叶ったと思います。今後はアクションもやっていきたいですし、コメディも大好きなので、演技の幅をどんどん広げていけたらいいなと思います。
◆今年は演技を頑張っていきたいということですか?
モデルも女優もキャスターもバラエティも全部できたらいいなと思います。せっかくいろいろチャレンジした2016年だったので、それをもっと伸ばしていきたいです。
◆最後に、公開を楽しみにしている人にメッセージをお願いします。
今までの「人狼ゲーム」と違って、登場人物1人ひとりが濃く描かれています。運営側の正体が分かったり、いい意味で期待を裏切る場面は見どころ。ゲームに懸けるみんなの熱い思いがダイレクトに伝わるんじゃないかと思います。体も張りましたし、面白い作品だと思うので、ぜひご覧ください。
■PROFILE
古畑星夏
●ふるはた・せいか…1996年7月8日生まれ。東京都出身。
雑誌「セブンティーン」の専属モデルのほか女優としても活躍し、『きょうは会社休みます。』(14年 日本テレビ)、『ふれなばおちん』(16年 BSプレミアム)などに出演。『Going!Sports&News』(日本テレビ 毎週(土)(日)後11・55)では、日曜のお天気キャスターを務めている。2017年は初主演作「人狼ゲーム ラヴァーズ」(1月28日(土)公開)を皮切りに、映画「咲-Saki-」(2月3日(金)公開)、映画「一週間フレンズ。」(2月18日(土)公開)と出演映画の公開が続く。
公式Twitter https://twitter.com/lespros_seika
公式Instagram https://www.instagram.com/starandsummer
■作品情報
映画「人狼ゲーム ラヴァーズ」
2017年1月28日(土)より、新宿武蔵野館ほか公開
<STORY>
ある日、見知らぬ場所で目を覚ました高野蘭子(古畑)。拉致監禁された高校生たちに殺し合いをさせ、生き残った者に1億円が与えられる「人狼ゲーム」に参加させられていた蘭子は、家族を借金から救うためにゲームの勝利をめざす。しかし、今回の参加者は、全員が人狼ゲームを勝ち上がった経験者。新しく追加された役職「キューピッド」「恋人」のルールで状況が混迷する中、蘭子は「人狼」に加え「恋人」の役職を得る。
出演:古畑星夏、佐生雪、平田雄也、溝口恵、前田航基、森高愛、春川芽生、安藤瑠一、鈴木知尋、中村萌、池田純矢
監督:綾部真弥
脚本:川上亮、綾部真弥
原作:川上亮「人狼ゲーム LOVERS」(竹書房刊)
企画・配給:AMGエンタテインメント
©2017「人狼ゲーム ラヴァーズ」製作委員会
●photo/中村圭吾 text/金沢優里