國村隼がナ・ホンジン監督を激賞「才能が人の形をしている」

映画
2017年01月26日

映画『哭声/コクソン』プレミア上映 3月11日公開の映画『哭声/コクソン』のプレミア上映が行われ、5年3か月振りに来日したナ・ホンジン監督と本作に出演した國村隼がティーチインイベントを行った。

 本作は、『チェイサー』『哀しき獣』のナ・ホンジン監督の最新作。平和な田舎の村で多発する凄惨な事件が多発。警察官のジョングは、得体のしれないよそ者に疑いを向ける。そんなある日、娘に犯人たちと同じ湿疹があることに気づいたジョングは、彼女を救うために祈祷師イルグァンを呼ぶが、そのよそ者のことを「あいつは人間じゃないぞ。悪霊だ」と言い放つ――。

 超満員の観客から大きな拍手で迎えられた國村とナ・ホンジン監督は、それぞれ「皆さんは日本で一番最初にこの映画をご覧になってくれた方々です。うれしくてうれしくて1人ひとりにハグしたい気分です。今日は本当にありがとうございます」(國村)、「長い上映だったと思いますが、この時間まで待っていてくださってありがとうございます。シナリオから6年ぐらいかけて作った映画で、今日という日を迎えられてうれしく思います。Q&Aでもベストを尽くして頑張ります」(ナ・ホンジン監督)とあいさつし、ティーチインがスタート。

 ナ・ホンジン監督は「前の2作品とは違って、自分らしく自由に作りたいと思った作品で、自分のありのままに作った映画です」と語り、國村を起用した理由として、「シナリオが出来上がり、日本人俳優が必要ということになって、國村さんと同じぐらいの年の俳優をたくさん調べました。中でも國村さんのことは以前から作品を通じて知っていて、ずっと尊敬していた存在なんですが、いろんな作品を観ているうちに特徴があることに気付いたんです。カットごとに完成された演技をしているのが印象的でした。『哭声/コクソン』の中で、“よそ者”という役柄は、この人ってどういう存在なの?と疑問を投げかけるとても重要な役どころで、その役をやり遂げられるのは國村さんしかいないと確信を持って日本に来てオファーをさせていただきました」と語った。

 オファーを受けた際、監督のことを全く知らなかったという國村は、過去の2作品と本作の脚本を読み、「とんでもない才能だなと思いました」と。その上で、「実際撮影に臨んでみると、最初に思っていた以上でに、ナ・ホンジンていう人は、才能が人の形をしているんだるな思いました。基本的なイメージから撮影していくにつれて新たなビジョンがどんどん出てきて、そのイメージをもっともっともっと…とテイクを重ねていく。それを現場で真の当たりにして、“やっぱりすごい”と思いました」と振り返った。

 國村が演じる“よそ者”は劇中、数々の壮絶すぎる言動を見せる。年上の人を重んじる文化がある韓国において、目上(國村)の人に撮影で無理をさせるのは大変だったのではないかという質問に、監督は「本当に申し訳なかったですが、シナリオがそう出来上がったからどうしようもなかったんです。その代わり、撮影以外のところ以外でのフォローに最善を尽くしたつもりです。撮影を通して、國村さんからはいろいろなことを学び、さらに尊敬し、大好きになりました。お詫びと感謝の気持ちをこの場であらためて述べたいと思います」と。それに対して國村は、「台本に書かれていたから撮影が大変なことはあらかじめ分かっていました。でも、他の人がこの役をやっているのを見たくなかったから。自分からこの世界に飛び込んでいったから、ひどいことをされている自覚はなかったです」と語った。

 ティーチインでは、“よそ者”というキャラクターの解釈や、本作に祈祷師役で出演する韓国の大スター、ファン・ジョンミンらキャストについてなどさまざまな質問が寄せられ、2人は和気あいあいと応じた。

 最後に國村が「最初に聞こうと思っていたんですが、映画はどうでした?」と観客に問いかけると、大きな拍手が沸き起こった。続けて「今までこんな映画はありませんでした。カテゴライズできないエンターテイメントで、新しい映画の楽しみ方の1つになるんじゃないかと思います。それを体験させてみたい!という人がいればぜひその人を誘って一緒に映画を観に来てください」と。ナ・ホンジン監督は、「監督ナ・ホンジンの全てを賭け、注ぎ込んだ映画で未練はありません。どんな評価を受けようがその全てを受け止める所存です。こんな人間が6年の全てをかけて作った映画なので、友達にそのことを伝えてください。長い時間ありがとうございました」と締めくくった。

<ストーリー>
平和な田舎の村に、得体の知れないよそ者がやってくる。彼がいつ、そしてなぜこの村に来たのかを誰も知らない。この男についての謎めいた噂が広がるにつれて、村人が自身の家族を残虐に殺す事件が多発していく。そして必ず殺人を犯した村人は、濁った眼に湿疹で爛れた肌をして、言葉を発することもできない状態で現場にいるのだ。事件を担当する村の警官ジョングは、ある日自分の娘に、殺人犯たちと同じ湿疹があることに気付く。ジョングが娘を救うためによそ者を追い詰めていくが、そのことで村は混乱の渦となっていき、誰も想像できない結末へと走り出す――。

「哭声/コクソン」
2017年3月11日、シネマート新宿ほかにて公開
監督:ナ・ホンジン
出演:クァク・ドウォン、ファン・ジョンミン、國村隼、チョン・ウヒ

公式サイト:http://kokuson.com/

配給:クロックワークス

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