「映画けいおん!」「映画 聲の形」の山田尚子監督によるオリジナル長編アニメーション映画「きみの色」(2023年秋公開)の制作が発表され、スーパーティザーPVと山田監督、脚本・吉田玲子からコメントも到着した。
ささいな日常を瑞々しく鮮やかに描く稀有な映像センスと、小さな心の揺れ動きさえ表現していく繊細な演出で全世界から脚光を浴びるアニメーション監督・山田尚子。「きみの色」のテーマは、そんな山田監督が最も得意とする「思春期の青春」。少女たちそれぞれが向き合う自立、葛藤、恋の模様が、まるで絵画のような美しい映像で描かれていく。
脚本はスタジオジブリや、京都アニメーションの数々の大ヒット作品を手掛け、山田監督とは『けいおん!』シリーズ以降、幾度となくタッグを組む吉田玲子。音楽は「映画 聲の形」「リズと青い鳥」、TVアニメ『チェンソーマン』のサウンドトラックを担当する作曲家・牛尾憲輔。
企画・プロデュースは「君の名は。」「天気の子」「すずめの戸締まり」など、新海誠作品を手掛けたSTORY inc.が担当。また、山田監督と共に伝統美と最先端の演出を組み合わせたTVアニメ『平家物語』を生み出したサイエンスSARUが制作・プロデュースを担う。
制作にあたり、「人の外側と内側、そこから生みだされるそれぞれのかたちを描いてみたいというところから始まった」と明かす山田監督。吉田は「“色が見える女の子”というのは山田監督のアイデアで、すごく映像的で面白いなと感じました。繊細な心模様と、そこに寄り添うような監督の演出を今回もとても楽しみにしています」と本作に期待を寄せている。山田と吉田のコメント全文は下記に掲載。
映画「きみの色」スーパーティザーPV
https://youtu.be/QH5UYj5JVfU
監督・山田尚子 コメント
人の外側と内側、そこから生み出されるそれぞれの形を描いてみたいというところから「きみの色」は始まりました。人はきっと、そのとき向いている方向に進んでいくわけで、それが前であっても後ろであってもどちらでも成り立っていくと思うのですが、できれば前に進んでいきたい。音楽を通じてお互いに共鳴していく主人公たちの、やわらかく力強い足取りを描いていきたいと思っています。
吉田さんの書かれる彼らの物語はとても優しく、そしてとてもチャーミングです。悩んだり、何かを変えようとするときに起こる摩擦は、これからを切り開いていくためのとても大切な成長痛であって、その痛みがそれぞれの人が放つ色になっていくのかなと思うのです。たくさんの色が出会って、混ざり合った先にはどんな色の世界が待っているのでしょう。絵具を混ぜるパレットのような、または光を集めて分散させるプリズムのような、そんな物語を描いていきたいと思っております。
よろしくお願いいたします。
脚本・吉田玲子 コメント
「きみの色」は、山田監督の「こういうことやりたいなぁ、こういう子たちを描きたいなぁ」というメモをいただいて、そこから脚本を作り始めました。“色が見える女の子”というのは山田監督のアイデアで、すごく映像的で面白いなと感じました。山田監督の作品は、登場人物たちがおずおずと手と伸ばし扉を開いていくような感じがあって、今回もその感覚を大切にしました。そこにある世界と、自分。そこにある現実と、自分。触れると痛いような傷ついてしまうようなものの中で、楽しさや愛しさや生命力を見出していくことを意識しながら書きました。繊細な心模様と、そこに寄り添うような監督の演出を今回もとても楽しみにしています。
「きみの色」はある意味、原点に戻ったようでもあり、今までの集大成的な面もありながら、さらに新しく踏み出していけるような作品になるのではないかと思っています。光の当たり方によって、濃く見えたり、淡く見えたりはしますが、誰もが自分の“色”を持っていると思います。見てくださった方が、それぞれの“色”をいとおしく思えるような映画になっていると、うれしいです。
STORY
わたしには、人の心が「色」で見える
長崎市内のミッション・スクールに通う高校生の少女・トツ子は、人の感情が「色」として見える。
うれしい色、悲しい色、穏やかな色、おびえている色…。
友達や家族の「色」を暗くしないため、気を遣い、空気を読み、その場を取り繕うようなウソをついてしまう。
そんなトツ子は、街の片隅にある古書店で出会ったとても美しい色を放つ美少女と、音楽好きの少年とバンドを組むことになる。
繊細すぎる3人が集まり、青春を奏で始める――
作品情報
「きみの色」
2023年秋公開
監督:山田尚子「映画 聲の形」「リズと青い鳥」『けいおん!』『平家物語』
脚本:吉田玲子「猫の恩返し」『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』『若おかみは小学生!』
音楽:牛尾憲輔「映画 聲の形」『チェンソーマン』
企画・プロデュース:STORY inc.「君の名は。」「天気の子」「すずめの戸締まり」
制作・プロデュース:サイエンスSARU「夜は短し歩けよ乙女」「映像研には手を出すな!」『平家物語』
製作:「きみの色」製作委員会
©2023「きみの色」製作委員会