6月23日(日)放送の大河ドラマ『いだてん』(NHK総合ほか)、第24回「種まく人」の試写会が行われ、主演の中村勘九郎、阿部サダヲが登壇した。
第23回「大地」では、四三(中村勘九郎)やシマ(杉咲花)の提案で、富江(黒島結菜)が父の大作(板尾創路)と駆けっこで競走。鍛えた女性は男に勝てると証明。治五郎(役所広司)はスポーツが育ってきた日本でオリンピックを開催できるよう神宮外苑競技場の完成を急ぐ。方や、孝蔵(森山未來)とおりん(夏帆)夫婦は、貧乏と夫の酒浸りの生活のせいで破局寸前に。そんな折、関東大震災が発生したところで幕を閉じた。
第24回「種まく人」では、関東大震災により、東京は壊滅状態になり、治五郎は神宮外苑競技場を避難所にすることを提案。四三は心配する熊本のスヤ(綾瀬はるか)や幾江(大竹しのぶ)の元にもわずかな時間だけ帰省。援助物資として食料を譲り受ける中、神宮で復興運動会を開催し、スポーツで人々を元気づけられないかと思いつく。
この第24回で、勘九郎演じる金栗四三のパートが終結を迎える。ここまで1年近く撮影してきた勘九郎は「24回までを撮ったわけですけど、本当にさまざまな出会いが金栗さんとしての僕を強くしてくれたと思います。宮藤(官九郎)さんのすごい面白い本をどう形にするかというのをスタッフ陣、キャスト陣と悩みながら、嘉納先生のせりふじゃないですけど、『楽しいの、楽しくないの』っていうのが、みんなの頭の中、心の中にあって、楽しいのを作っていこうっていう気持ちで、スタッフの皆さんに手伝ってもらいながら、ものすごい技術、セット、そして、ストックホルムへ行ったロケと。本当に役者人生の中でも、この先も経験できるかできないかっていうことを1年間でやらせてもらって、宝物になりました」と振り返った。
さらに、ここまで金栗四三を演じて「金栗さんとしては、熊本の田舎から東京に出てきて、知らないマラソンと出会い、まだスポーツという言葉が日本人になじみのない時に初めてストックホルムのオリンピックを体験して、挫折をして立ち直ってを繰り返してきました。僕はメンタル的にあまり強くないですけども、金栗さんがすごく強い人なので、そのメンタルに引っ張られて撮影ができたと思っています。そして、登場してくる嘉納先生、妻のスヤさん、播磨屋さん、高師の先生、仲間たちが支えてくれました」と語った。
第23、24回で描かれる関東大震災については、「本当に何を憎めばいいというか、何に怒りをぶつけていいか分からないもの。僕も3・11の時に九州で舞台をしていたんですけど、芝居をしていて、本当に今やっていていいのかなと思いました。でも、出演者とかみんなで話し合って、僕たちには芝居しかない。おこがましいですけど、芝居で元気になってというか、力になれば、全力で伝わればいいなっていうのを信じてやっていたのが、金栗さんにとっては走ること。そして、スポーツの力で、日本が立ち直っていく回になったと思います」と。
また、第24回の最後には、復興運動会が開催。「懐かしいというか、おなじみの人たちも出てきて、お祭りのような感じで24回の最初と最後では全然違う感情で終われて、すごく楽しかったです。孝蔵さんとこれまでずっと一緒にいましたけども、ひと言もしゃべるところがなくて。演出の一木(正恵)さんと相談して、2人で会話するところを作っていただきました」と撮影の裏話も飛び出した。
ここまで、勘九郎がひとしきり話すと、阿部が驚きの表情で「1年間、大河の主役として撮影を続けてきたっていうのもあるんでしょうけど、結構長くしゃべるんですね(笑)。思い出がいっぱいありますもんね」とツッコみ、会場から笑いが起こった。
第24回の撮影を振り返り、勘九郎は「震災の撮影が始まる前に、キャストみんなで集まって、どういうことだったか、知られざる話を聞きました。あまり揺れなかったところから、浅草、大塚の播磨屋に行った時の変わりようっていうのはやっぱりショックでしたね。特に、靴をはいたまま上に上がらなきゃいけない時が、すごく嫌でした。当たり前のように靴を脱いで、当たり前のように生活をしていた場所が足の踏み場がなくて、靴を履いてなければけがをしちゃうからと、靴のまま上がった時は、何とも言えない気持ちになった。そして、浅草も孝蔵さんの語りにもあるように、大変な被害に遭われて、どうしたらいいのか分からなかったです。あとは、余震が多かったのでその恐怖と闘いながらっていうのを、撮影では揺れないから、自分たちのイマジネーションでやるしかないんですけど、それをエキストラの皆さんと助監督の方々と話し合ってみんなで作り上げていきました」と、震災シーンについて触れた。
また、復興運動会で役所広司演じる嘉納と、岩松了演じる岸が競った“孫探し”という種目にも触れ、「ああいうのがあったんですね、知らなかったです。放送では一瞬なんですが、結構長いこと撮っていたので、ノーカットで見たいなって気持ちがあります。岸先生も嘉納先生も勝とうとして真剣にやってたんですが、本当に面白かった」とリクエストする場面も。
ここまで突き進んできた勘九郎に阿部も「選手を引退して指導者になってからの金栗さんもすごく良くて。23回、24回とか、感動して泣いているシーンとかも結構あったし、とてもよかった。でも、今後も出てこないわけじゃないんでね。金栗さん、ここで終わりじゃなく、まだ見せ場がいっぱいあるんですけど、ここまですごくよかったなと思ってます」と労った。
6月30日(日)からは、いよいよ阿部演じる田畑政治が主人公の第二部がスタートする。
NHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』
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