脚本/監督・三谷幸喜×主演・香取慎吾で送るドラマシリーズ『誰かが、見ている』が2020年秋にAmazon Prime Videoでプライム会員向けに独占配信されることが決定した。
今作はPrime Videoのプライム会員向けサービスが日本で開始して5周年を迎えることを記念し、Amazonが企画から参加して制作する日本オリジナルドラマシリーズの第一弾。
2004年の大河ドラマ『新選組!』をはじめ、2018年に上演された舞台「日本の歴史」などさまざまな場面でタッグを組んできた三谷&香取。今作では、同じ舞台と主要キャストで繰り広げるシチュエーションコメディ=“シットコム”に、2002年にフジテレビ系で放送された『HR』以来で再挑戦する。
2019年12月半ば、リハーサルを終え観客を入れての本番収録を前に、三谷&香取がインタビューに応じた。
三谷:今回香取さんが演じているのは、なかなか社会と適合できないタイプの役で。わりとリアルではない世界の香取慎吾をやってもらいたいなと思ったので、コスチュームもいろいろ試行錯誤しました。今一緒に写真を撮ったらなんか“ゆるキャラ”と一緒にいるような気分になりました(笑)。僕の作品の香取さんは、ニュートラルで、周りに振り回される役が多かったんですが、今回僕は初めて彼の方がトラブルメーカーみたいな、ちょっとチャレンジをしました。
香取:演じてみてすごく楽しいんですが、本当に今三谷さんがおっしゃったように自分に一番問題が起きる人間で、それで中心にいるというのは初めてで。最初はちょっと難しかったです。
三谷:難しかったんですか?悩んだ感じが伝わってこなかったんですけど…。
香取:僕の“難しい”は、結構一瞬のことなんで(笑)。一瞬ちょっと難しいけど、「こういうことなんだな」というのが分かったので楽しいです。
◆香取さんから、何か三谷さんに提案したことなどはありますか?
香取:僕は意見しないですね。
三谷:逆に僕がお願いしたことはまず「それはできない」とか「無理」とかおっしゃらない人なので、全てやってくれます。あんまり自分からこうしたいとか、ゼロなんですよ。
香取:ゼロですけど、言われたことは100で返します。さっき2回目のリハーサルで、セットに置いてあったプリンを僕、食べたんですけど、1回目は食べてなかったじゃないですか。あれ、2回目(演じている最中に)急に、舞台袖から三谷さんが指示を…。
三谷:香取さんの役はプリンが好きっていうキャラなんですよ。プリンを食べるシーンがほかの回にもあったので、今回取りあえず小道具としてプリンを用意してもらったんだけど食べるチャンスがなくて。1回目のリハーサル時食べてもらおうと思ったんだけど、言うのを忘れてしまったんですよ。普通舞台の場合、舞台上の俳優さんに何かをその場でお願いすることってあり得ないし、役に集中している方には指示しても伝わらない。“やらない”し“やれない”。でも香取さんとは付き合いが長いし、きっと彼なら分かってくれると思ってさっきは賭けに出たんですが、ちゃんと分かってくださった。ちなみにあのプリン、本当に食べられるかどうか実は分からなくて、腐っている可能性もありますので、そういう賭けでもありました(笑)。
◆香取さんが三谷さんの作品に出られる時に楽しみにしていることは?
香取:ご一緒できることは本当にうれしいし楽しいです。しかも自分もそうですし、三谷さんも初めて、ということに、僕で挑戦してもらえることが多い気がしていて。今回はAmazonでやるのは三谷さんも初めてで。
三谷:テレビ以外で、ドラマをやったことはないです。
香取:『新選組!』の時も初めてNHK大河ドラマをやるという。もう、全部楽しい!むちゃなこととか、よく分からないこととかに応えるのが楽しいです。
三谷:僕がこういうことをやってほしいとお願いした時に「それはどういうことですか?」「なぜそれをやらなきゃいけないんですか?」みたいなことが、この人には一切なくて、「こうやってもらえますか」「分かりました」となるというか。今回も短い時間の中で、僕が現場でせりふを足したり削ったりすることもあるんですが、香取さんは理解が早くて、「僕が思っているのと同じことを、彼は前から思っていたんじゃないか」と思うぐらい。僕はそれがすごくやりやすいんです。
香取:分かっちゃいますね。ほとんど台本読んでないですけど(笑)。
三谷:でも香取さん、今回ちょっと力が入っているんじゃないですか?だってリハーサルでもう、衣装着ているし。
香取:いや、毎回スタジオ入ったら渡されるんで。
三谷:びっくりしました。みんな私服でやっているのに、一人だけ衣装付けてメイクもして。「この人やる気になっているんだ!」って。
香取:僕は「なんで俺だけ着ているんだろう?」っていつも思ってますけど?
三谷:あと、せりふ覚えてないとおっしゃってますけど、今回覚えるの速いですもん。
香取:これはだって、昨日一日リハーサルして、今日もう本番じゃないですか。それは覚えないとやばいじゃないですか。
三谷:それでも覚えない人だったじゃないですか。
香取:『HR』という昔ご一緒させていただいたコメディの時でも一日リハで次は本番…。
三谷:あの時は、リハーサルの日は全くせりふ覚えていないし、やる気ない感じで入って来て、みんなを心配させて、みんなが帰った後に一人残ってしっかりやってたじゃないですか。でも今回は、リハーサルの頭から半分せりふ入ってる。
香取:入っていないですよ!
三谷:いやいや、なんでそんな、やる気になっていることが恥ずかしいんですか?恥ずかしくないよ、全然。
香取:違う違う、“恥ずかしい”んじゃないです。“やる気がない”んですよ(笑)。
三谷:僕が知っている昔の香取さんは、とにかく車の中で寝ていて、スタッフが起こしに行ってもなかなか来ないし、「もう寝入っちゃってます!」みたいな感じだったのに。今回は誰よりも早く来て動きとか確認しているじゃないですか。
香取:本当のこと言うと、今回僕の入り時間、ちょっとおかしいなと思ってますよ!なんか俺早くないか?って思ってますよ!なんでみんな来ていないんだろうと思いながらやってますよ!
三谷:そうなんだ。じゃあスタッフが見越して、(香取が)早く来るようにやっているのかな。
香取:(笑)。そうですね。
三谷:なんでそうなの?あなたは。「今回はやる気になっているんです!」って言えないんですか?
香取:やる気ない感じなのに、それなのにできちゃうっていう感じでやってきたんですよ。
三谷:(笑)。まぁそっちのほうが、カッコいいっちゃカッコいいもんね。やる気見せといてやれてもね。それは当たり前…ってことですかね。
香取:そうですね。
三谷:じゃ、やる気がないということで。
香取:…どういう記事になるんですか(笑)。
「TV LIFE」では、この日の収録レポートも掲載予定。引き続きチェックしてください!
Amazon Original新ドラマシリーズ『誰かが、見ている』
配信:2020年秋Amazon Prime Videoにて独占配信
主演:香取慎吾
脚本:三谷幸喜
<これまでの三谷幸喜&香取慎吾タッグ作品>
1999年:フジテレビ系『古畑任三郎VS SMAP』
1999年:フジテレビ系『合い言葉は勇気』
2002年~2003年:フジテレビ系『HR』★香取主演
2004年:NHK『新選組!』★香取主演
2006年:映画『THE有頂天ホテル』
2008年:映画『ザ・マジックアワー』
2009年、2010年:舞台『TALK LIKE SINGING』★香取主演
2009年:フジテレビ系『古畑任三郎 vs SMAP』
2015年:舞台『burst!~危険なふたり』★草彅剛、香取主演
2015年:映画『ギャラクシー街道』★香取主演
2018年:舞台『日本の歴史』★香取主演