黒木瞳「ホラーが苦手な人こそ見てほしい」『恐怖新聞』第3話9・12放送

ドラマ
2020年09月10日

『恐怖新聞』

白石聖主演のオトナの土ドラ『恐怖新聞』(東海テレビ・フジテレビ系)に出演する黒木瞳が、今作への思いやホラー作品への向き合い方を語った。

1970年代に空前のオカルトブームを巻き起こした、つのだじろうによる戦慄のコミック「恐怖新聞」をジャパニーズホラーのレジェンド・中田秀夫が現代にリブート。未来に起こる災厄を予言し、読むたびに寿命が100日縮むという恐怖新聞が届くようになった女子大生・詩弦(白石)の、死と隣り合わせの悪夢を描くルール系ホラー。

黒木が演じるのは、詩弦の母として恐怖新聞の存在を知り、独自の思惑で動きだす小野田歌子。陽気で前向きだが正義感が強く、不条理なことが許せない歌子は、そのストレスを特徴的なクセで晴らしており、第2話(9月5日放送)では夫の死で精神が崩壊。娘をののしり、遺骨を食べるという驚きのシーンが話題を呼んだ。

黒木瞳コメント

『恐怖新聞』

◆これまで演じられてきた母役の中でも、歌子はかなりぶっとんだキャラなのでは?

感情の起伏が激しい点は台本に忠実に、演じるうえではいかに怖がり不思議がっていただくかということに気をつけています。ホラーは何でもありですから、そこがすごく楽しいところ。今回は理性で役を理解するというより、感覚で演じることのできる楽しさがありましたね。歌子は常軌を逸した言動をしますが、それはボタンの掛け違いみたいに、物事がうまく回っていかないことで、どんどんズレて行ってしまったようなもの。根本的には“人を大切に思う気持ち”が流れている役だと思っています。

◆歌子の風水傾倒や特徴的なクセは黒木さんの発案だとか?

中田監督から宿題で「(歌子のクセを)何か考えて」と言われ、いくつか考えた中のひとつが、ボールペンをカチカチやるクセ。あの音って、どちらかというと不快に聞こえがちで私自身も苦手だったので、それを提案したら中田監督が「いいんじゃないか」と賛成してくれて。加えて「なんか黒く塗りつぶした感じになるといいね」とおっしゃったので、私が子供の頃、嫌なことがあるとその内容を書いてストレスを解消していた話をしたんです。1か所に書き続けると、文字が重なって、他の人には何を書いているか分からないんです、みたいな話をしたら「それ採用」となりました。

◆では、娘役・白石聖さんの印象はいかがですか?

女同士って意外とスキンシップをするもので、お母さんって何かと娘を触りたくなるんですよ。だから、やたらと触っていました(笑)。そうしていく中で少しずつ距離が縮まっていったと思います。彼女は大変感受性が強く、想像力が豊か。とても新鮮で、可能性をたくさんお持ちの方。詩弦役もとてもはまっていて、見ている方も感情移入がしやすいと思いますよ。

◆中田秀夫監督作品の出演は今回が4作目ですが、中田監督の現場での雰囲気や特徴はありますか?

中田監督は怖い作品を撮っているのに演出しながらニタニタ笑ったりするんです。多分ご本人はいろいろ想像していらっしゃるんだと思うのですが、現場の張り詰めた緊張感のなかに、監督の人柄の良さみたいな、おちゃめな部分が多々見えるので、つい楽しくなるんですよね。それで周りもそういう楽しい雰囲気に交わっていく感じですね。

◆黒木さんにとってホラー作品の面白さとは何ですか?

何でもありなところですね。ホラーはフィクションの中でも究極のフィクションですから。ハリウッドではホラーはレベルが低いと言われた時代もあったようですが、今はちゃんとひとつのカテゴリーとして成立していると思います。技術の進歩や優秀なスタッフの尽力のたまものなんでしょう。
私、ホラーを見ると笑うんですよね。以前、フランスで韓国映画のホラーを観たのですが、外国の方ってホラーでものすごく笑っていて、つられて私もすごい笑ったんです。でも、一緒に行った日本人だけが「うわ~、怖い」なんて言うから「怖がったら余計怖いから、笑うのよ」と伝えて。私の場合、笑いながら見ると楽しみが倍になるんです。きっと恐怖と笑いって表裏一体なのではと思っています。笑いながら怖がる。怖がりながら笑う。そうやって、非現実の世界に迷い込んでいく楽しみが、ホラーにはあります。私は現場でもなるべく笑うようにしています。
佐藤(大樹)君が「ホラーだから、ものすごく“しーん”とした暗い現場かもしれないと思っていました」なんて言うから「違うのよ、ホラーの現場は笑うのよ」って伝えました。聖ちゃんは最初、「ギャーッ!」って叫ぶ演技や「ハッ!」って息を飲む演技が続くと、呼吸がうまくできなくなることがあるみたいで。だから「笑うと“吸って吐いて”が自然にできるから、撮影の合間はなるべく笑っていようね」とアドバイスしました。
私なんか中田監督のフェイスシールドがズレただけで、おかしくってしょうがない!監督はハチマキして、フェイスシールドして、マスクにマウスシールドもして、耳(撮影現場で音声を聞くためのヘッドホン)までやって、それで演出の説明しながら、ズレたそれらを直したりするのがおかしくて、かわいくて(笑)。そうやって現場で面白いことを探して、いっぱい笑うようにして、本番はキュッと緊張するっていうのがホラー作品に臨むうえでは大事なんです。

◆視聴者へのメッセージをお願いします。

作品のテーマが「3K(恐怖、ケレン味、共感)」なのですが、実は「ケレン味、ケレン味、ケレン味、恐怖、共感」みたいな感じ(笑)。本当に楽しめる作品なので、ホラーが苦手な人こそ見てほしいですね。めちゃくちゃおかしいし、ツッコミどころ満載ですから、見てツッコみまくってほしいです。夜中にドラマで、SNSで、盛り上がってください。

番組情報

オトナの土ドラ『恐怖新聞』
東海テレビ・フジテレビ系全国ネット
毎週土曜 後11時40分~深0時35分

出演:白石聖、佐藤大樹、駿河太郎、横田栄司、片山友希、坂口涼太郎、猪野学/黒木瞳

<第3話(9月12日(土)放送)あらすじ>
自らの行動で、死ぬはずではなかった子供を死なせ、桃香(片山友希)も傷つけてしまったことに激しく落ち込む詩弦(白石聖)。そんな詩弦を救おうと、勇介(佐藤大樹)は歌子(黒木瞳)に会いに行き、詩弦と向き合うべきだと訴える。恐怖新聞の存在を受け入れた歌子は、予告された児童虐待事件を阻止すべく動きだす。果たして運命は変えられるのか。手助けをしてくれた篠崎(駿河太郎)の本当の目的とは…。

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