2問目は綾野に向けて、「現在役者を志し日々、レッスンを受けているのですが、その中で脚本読解を課題に挙げて取り組んでいます。綾野さんが台本を受け取って読解に入る中で最も重視している点はどこですか? また、今作において綾野剛さんが演じた村上真一という役の最も大切しなきゃいけないなと感じた部分はどこでしょうか?」と、俳優の卵だという観客からの質問。
これに対し綾野は「好きなふうに読んだほうがいいと思います。脚本は数学のように答えがあるものではないので、今日まで生きてきて体感してきたことだけで読んでいいと思います。自分自身を否定する必要はなく“僕はこう思った”という部分がより大事だと思いますし、それを僕は受け止めたいと思います」と。
続けて「本作は村上から何かが伝わっていくのではなく、村上を通して松田や亮の眼差しから最終的に感じ取ってもらうような感情を線に繋いでいたので、僕から何かを発信していくというよりかは最終的には未来を生きる若者でもある亮に行きつくにはどうしたらいいかと考えて役を生きていました」と具体的な例を挙げながら、後輩の疑問を解決した。
藤井監督へは「漠然と映画やドラマなどの映像作品に携わる仕事をしてみたいと思うのですが、明確な職業が決まっているわけではありません。どういった視点からこの業界を調べたり、考えたりしたら自分のやりたい職業が見つかるのでしょうか?」という、進路に悩む学生からの質問が。
これに対し藤井監督は「僕は元々脚本家になりたくてこの業界に入ったのですが、脚本が全然上手くならなかったのでとりあえず大学の映画サークルに入りました。そこでの映画作りがすごく楽しくて、録音も撮影も助監督もやって…気づいたら映画監督になっていた、という感じです」と。
そういった経緯も踏まえ、「今でも監督が向いているとは思わなくて、夢は脚本家だったりするのですが、映画は楽しいので、飛び込んでみて学んでみてください」と手探りながらも前に進む行動の大切さを語った。
また、自身の20歳の頃の話に及ぶと、米倉は「時は戻せないからやりたいなとちょっとでも思ってることはすぐにやってみたほうがスッキリする。若いうちにやりたいと思ったことは続けてほしいし、間違ってたと思うことは辞めたらいいし。いいことも悪いことも何か始めないと何も進まないから、一歩出る勇気を持てたらいいなと思う」と大人目線で新成人にエール。
いっぽう、綾野は「いっぱいご飯食べて! 食べるパワーは生きるパワーに直結していると僕は思ってて。仕事がない時もとにかく食べるということはしてました。あと仲間を見つける。仲間に教えてもらったことが自分の夢になったっていい。僕だって自分が俳優になるなんて思ってなかった。大好きな仕事を見つけてくれた人がいたので、それが大事だと思います。まずは食べよう!」と“食”と“仲間”の大切さを伝えた。
20歳がたったの5年前だという横浜は「まだ言える立場じゃないですけど、今この瞬間を大事にしてほしいなと思います。どんどん時間は過ぎていくし何が起きるか分からないので、今を全力で楽しんでくれたらうれしいなって思います」と今の正直な思いを述べる。
最後に藤井監督も「大学生の時に出会った仲間と会社を立ち上げて仕事をやっているので、青春がずっと続いています。若い時の何者でもない自分と一緒にいてくれた人たちと楽しいことができていて、今横にいる人を大事にすることで10年後20年後に楽しかったねと言えるんじゃないかと思います」と具体的なアドバイスで新成人たちの背中を押した。