シリーズ累計150万部のベストセラーをドラマ化した『ケーキの切れない非行少年たち』（BS1 午後8時～9時39分）が、6月20日（火）に放送。出演の小林桃子、平岡祐太、工藤夕貴、原作者の宮口幸治、脚本の山口智之からコメントが到着した。
児童精神科医として精神科病院や医療少年院に勤務してきた宮口幸治が自身の経験を基に描いた「ケーキの切れない非行少年たち」を、少年院のドキュメンタリー取材なども交え初めてドラマ化した本作。 “できない”、“空気を読めない”には理由があるのかも。そんな、いま社会が向き合うべき“見えない問題”を描いたドキュメンタリードラマとなっている。
17歳の小林恵は、都内の公立高校に通う普通の女の子。しかし、恵はどんなに頑張っても勉強ができず、「やる気がない」と言われてしまう。実は、恵のIQは76。知的障害（IQ70未満）ではないものの、平均値には及ばない“境界知能”に該当していた。境界知能を持つ人たちは、統計的に全人口の14％いるとされ、35人のクラスに5人はいる計算となる。
恵はその事実を誰からも気づかれず、平均的な知能の人たちと同じ土俵で勝負させられ、社会から取り残されてきた。そして、ある過ちから子どもを身ごもり、生まれてきた赤子を捨ててしまう。
女子少年院に勤務する精神科医が、「ケーキを3等分できない」という少女の特徴を発見する。認知のゆがみが引き起こす悲しみの連鎖。衝撃の事件から1年、少年院を出た彼女は小さな命と向き合おうと決意する。
小林桃子が主人公の小平恵役を演じ、平岡祐太が精神科医の六麦克彦役、工藤夕貴が恵の母・里美を演じる。小林、平岡、工藤、原作者・宮口幸治と脚本・山口智之の詳しい役柄やコメントは下記に掲載。
役柄＆コメント
小林桃子（小平恵役）
〈役柄〉
東京で暮らす高校2年生。小学校から勉強が苦手で、友達もあまりいない。高校では友達に認められようと万引きを繰り返してしまうことに…。
〈コメント〉
初めまして。小平恵を演じました小林桃子と申します。今回初主演ということで、最初はすごくうれしい気持ちでしたが、だんだんと不安や緊張で胸がいっぱいになりました。しかし撮影が始まると、監督やスタッフの方々、共演者の方々の温かさに触れ、何度も助けていただき、恵として最後まで頑張ることができました。
ある日、監督から「分からない所はなんでも相談してね」と声を掛けてくださり、そのお言葉にとても救われたことを覚えています。私にとっては、想像した以上に大変で、ジェットコースターのように目まぐるしい日々でしたが、どんな時も「楽しくてしょうがない！」という気持ちであふれていました。このチームの皆さんと一緒にこのドラマをやり遂げることができて心から幸せに思います。また、皆さんとご一緒できるように精進して参りますので、よろしくお願い致します。周りの人たちからの愛とともに成長していく恵をぜひご覧いただけたらうれしいです！
平岡祐太（六麦克彦役）
〈役柄〉
女子少年院に務める精神科医。以前は大学の総合病院で精神科医を務めていたが、悲しみを抱える非行少年を最前線で救いたいと少年院で働くことになった。
〈コメント〉
このたびは、精神科医の六麦克彦を演じさせていただきます。このドラマのお話を頂戴したときに、書店で見かけて気になっていた原作本を読ませていただきました。児童精神科医である著者が、非行少年たちの特徴や非行をしてしまう原因について解説してくれていました。
それがドラマではストーリー仕立てで、一人の少女が少年院に入るところから始まります。その中で「境界知能」という言葉を僕は初めて目にしました。境界知能は知的障害というわけではないけれど、知的障害者と同じくしんどさを感じていて、支援を必要としている人です。医療少年院には境界知能の少年も少なからずいて、ただ単に「反省」を促しても、その意味するところもよく理解できていないなど、自分の知らない事実がたくさん描かれていました。
僕が演じる六麦先生は、知的ハンディを持つ少年たちを何とか支えたいという熱い心の持ち主であり、「子供を愛するがあまりに、間違ったとらえ方をしてしまう親」にはときにビシッと厳しいことを言う一面もあります。相手に寄り添い、理解し合うことの大切に気づかせてくれる作品になったと思います。
工藤夕貴（小平里美役）
〈役柄〉
恵の母。恵が幼少期に家庭内暴力が原因で夫と離婚。大手商社の経理担当を務め、バリバリ働きながら恵を育ててきた。教育熱心で少し過保護なところもあるが、すべては恵を愛するが故。
〈コメント〉
境界知能。このドラマに出会わなかったらきっと知らなかったかもしれません。知らずにいることで、一体世の中のどれだけの人が生きづらさを感じているのでしょうか？
このドラマは親子の再生の物語です。たった一つの歯車がかみ合わなくて思いがすれ違う母と娘が、無償の愛の糸で紡がれていきます。言葉でなく、切り離すことのできない魂の絆が、痛々しくも生きて行くことの大切さを教えてくれます。
子どものいない私にとって、里美として生きることはとても難題でした。そのためたくさんの母になった友人たちに質問をして、役の思いを深く掘り下げてみました。答えはどれも「これが母性なのだなぁ」と感動するものでした。だからこそたくさんの人に、どんなことにも向き合う親子の真摯な姿を知っていただけたらと思います。このドラマから届く大切なメッセージはたくさんあるけれど、私は改めて命懸けで自分を育ててくれた母に、心からお礼の言葉を伝えたくなりました。
原作者・宮口幸治
今から14年前、目の前の非行少年たちが切ったケーキの形のいびつさに驚がくした体験が、時を経て書籍となり、コミックとなりそしてこのたびドラマになりました。家庭や学校で見過ごされてきた、困っている子どもたち・少年たちの存在。少年院で勤務し始めてから彼らへの危機感をずっと持ってきましたが、これだけ多くの方々に共感していただけましたことは、それが大きく間違っていなかったことを再認識させていただきました。ドラマを通して、こういった少年たちが実在すること、犯罪に至った人たちに対して憎しみ以外の観点でも見る必要があること、今なお学校で気づかれていない、困っている子どもたちがいること。これらを感じていただければうれしく思います。
脚本・山口智之
本作に携わる中で、境界知能を持つ人について「自分の周りにはいなかったと思う」という反応に少なからず出会った。しかし人口の約14%という数字を見れば、それはあり得ないと分かる。当事者が抱えるハンディを別の言葉で言い換え、見過ごしたり、時には虐げたりしてきたはずだ。「みんなちがってみんないい」のは素晴らしい世界だが、今はまだ遠い。「違い」のすべてを肯定しうるのは親くらいのものではないか。それが現実だと思う。だから今回、親と子が手を取り合ってできた小さな輪を少しだけ広げるような話を書いた。輪に入ろうとする側にも、手を解いて招き入れる側にも、とても勇気がいる。その勇気を持ちたい、持ってほしいと思ったからだ。その先に、まだ見ぬ素晴らしい世界があると信じて。
番組情報
ドキュメンタリードラマ 『ケーキの切れない非行少年たち』
BS1
2023年6月20日（火）午後8時～9時39分
出演：小林桃子、工藤夕貴、平岡祐太、菊池日菜子 ほか
原作：宮口幸治 (漫画) 鈴木マサカズ
脚本：山口智之
演出：四宮秀二（パオネットワーク）
制作統括：樋口俊一（NHK）、関英祐（NHKエンタープライズ）、山根幸太郎（パオネットワーク）
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