船越英一郎が主演を務めるドラマ『テイオーの長い休日』(東海テレビ/フジテレビ系 毎週土曜 午後11時40分~深夜0時35分)より、白石隼也のインタビューが到着した。
船越英一郎が“元・2時間ドラマの帝王・熱護大五郎” を演じる、土ドラ『テイオーの長い休日』。2サスで得た知識と「実は人情に厚い性格」の熱護が周囲の人間の問題を解決していくヒューマンコメディだが、ドラマ業界のリアルな裏事情にも切り込んでおり、タブーのないリアル業界モノとしての評価も高まってきている。
7月1日に放送された第5話では、昨今話題になることが多い“俳優の事務所移籍問題”を取り上げた。とかくトラブルめいたことが取り沙汰されるが、ドラマでは「移籍」の「善悪」については不問。あくまで本人にとって何が大事かを問うストーリーで、熱護は挑戦することに及び腰だった付き人・萩原匠(今井悠貴)をあえて挑発し、送り出した。
匠の移籍話に大きく関わったのが、駆け出し時代からの親友であり、トレランス看板俳優である伊集院大樹。今回は伊集院を演じる白石隼也に「俳優が俳優を演じること」の機微と今作の楽しみ方について聞いた。
白石隼也 インタビュー
◆大手事務所の看板俳優を演じるにあたり、どのような役作りを?
伊集院は俳優なんですが、僕も“たまたま”俳優をやっていまして(笑)。とても身近な人物だなとは思っているんですが、国民の誰もが知っている、というレベルの人気俳優・伊集院と比べると、僕はそこまでではないので、最初は「どうしようか…」と考えました。
幸いなことに、スターと呼ばれるポジションの方々とお仕事を一緒にさせてもらう機会が少なからずあり、そういった皆さんが背負っているものとか、現場での “在り方”や“しゃべり方”を見聞きすることがあるので、そこから学習させてもらうことにしました。
自分のパブリックイメージみたいなものを守られている方もいらっしゃいましたし、逆に、かなりイメージギャップがある方もいらっしゃいましたし(笑)。“お手本”になる方が、たくさん身近にいたので、皆さんのエッセンスを少しずつ吸収させていただいて、伊集院を演じています。
◆そうした「スター」のお一人として、船越さんがいらっしゃるんですよね。
船越さんが主演をされた『ホンボシ〜心理特捜事件簿〜』というドラマがありまして。船越さんが刑事役で、僕が鑑識係の役だったんです。19歳くらい、確か『仮面ライダー』に出演し始めるちょっと前の、ほんとに駆け出しの頃です。京都ロケだったんですが、船越さんにご飯に連れて行っていただいたり、かなりご一緒させていただいたんです。
船越さんは、僕のことをすごく励ましてくれましてね。当時、すごく生意気な若造だったと思うんですけど、ネガティブな“お叱り”みたいなことは一切言われたことがなくて。僕が演技のことなどで自信を失った時にも「いやぁ、お前は、もっとできるぞ」とずっと言葉をかけてくださったりしてたんですね。とにかくポジティブに勇気づけてくれるというか、背中を押してくれるというか。
演技についても、「あそこの俳優さんのこういう動きを見て、こんな感じでやっていけばいいんだよ」とかアドバイスをくださったり。本当にお世話になったんです。
『テイオー』の前半では、伊集院は“トレランス側の人間”として、オリプロの熱護である船越さんとご一緒するシーンは少なめだったのですが、5話以降からは熱護さんときっちり絡むシーンが多くなりました。そこでまた、船越さんの撮影現場における存在感とか、船越さんがいらっしゃるだけで現場の空気がぴしっとしていく感じを体験できたのが、とてもうれしかったですね!
◆伊集院にとって、駆け出しの時からの親友で俳優の匠。白石さんのリアルな役者人生の中でも、まさに同じような存在が居たとか…。
まさに、そういうことがあったんです。5話の中で、伊集院が匠に初めて尊敬の念を抱くようになったエピソードがありました。2人ともまだお互い売れていない時代、“その他大勢”の端っこで演技しているような時、伊集院はどうせ映らないだろうと手を抜いて流してやっていたけど、匠は一生懸命に準備をしていた、という逸話でした。
僕自身かなり若い時に学園モノで、メインキャラクターでもなんでもなくて。その他大勢の生徒の一人として出ていて、“その他大勢”の中に、仲良くしていた男性がいたんです。みんなで“何かに向かって叫ぶ”みたいなシーンがあって、一緒の出番だったんですね。そこで、僕はもうテキトーにやっていたんですけど、その子はほんとに一生懸命に「俺はここに居る~!!」と叫んでいて…カメラに映っているかどうかも分からないシーンでね。それを聞いて、「あ、こいつの覚悟はすごいな」と感じたんですよ。5話で伊集院が語っていた、かつての匠とまったく同じです。今回の台本を見て、僕はその友人のことをリアルに思い出しちゃいました。
◆6話に向けて、ドラマの見どころと視聴者へのメッセージをお願いします。
初回から伏線となっていた「なぜ、ゆかり(戸田菜穂)さんがトレランスを辞めたのか」とか、「ゆかりと伊集院の微妙な関係」とか「寿(前川泰之)との確執」みたいなものが明かされるのが、5話、6話となります。ひとつのエピソードの前編・後編みたいな感じですが、シリーズの中でも大きな盛り上がりのポイントだと思います。
僕は、このお話自体が、芸能界とゆかりさんの家庭のことを物語っていくものだと考えています。それは、とても普遍的なテーマを扱ったものだとも思えるんですね。世の中の少なからぬ人が、“会社組織での仕事”と“家族”という2つのコミュニティを行き来している…。この作品は、そこでのしがらみとか、仕事のやりがいや家族の在り方などに関わりながら、前向きに生きていく人生の捉え方を描いていると思います。
特に6話は、登場人物みんなの思いがぶつかる展開になっているので、すごく見どころが多いんです。伊集院について言えば、彼は華やかな芸能界で人気の俳優ということで、ものすごくキラキラしていて、すごくうらやましがれる、憧れの的ともいえる存在なんでしょう。だけど、僕・白石隼也としては、俳優の先輩方とか、売れている人たちを見ていて感じるのは、その実態はキラキラした世界なんかではまったくなくて。責任やプレッシャー、周りからの目だったり、いろいろなものに縛られて生きている。そういった“影の部分”というのは間違いなくあって、みんな一人の人間として葛藤しながら生きている…。だからこそ、魅力的に見える人が多いのではないか、と。
今回のこの『テイオー』の脚本で、そこまで直接的に描かれているかどうかは、視聴者の方のご判断にお任せしますが、僕自身が俳優をやっているうえで、俳優・伊集院の役をやるのであれば、そういった“リアルなディテール”は詰めていきたいと思っています。ドラマ用に脚色されたウソの芸能界ではなくて、芸能界の“リアル”を切り取って見せていきたい。それが、きっとお話を面白くさせていくことにもなるとも信じています。
物語自体は楽しんでいただくためのコメディなんで、ドロドロしたリアリティをお見せすることが目的ではないんですが、楽しんでいただくための一要素としての「業界のキズや影の部分」は、しっかりと演じていきたいと思ってやっていますので、そこのところをぜひお見逃しなく!
第6話(7月8日(土)放送)あらすじ
匠(今井悠貴)が去り、所属が熱護(船越英一郎)だけになったオリプロ。そんな中、ゆかり(戸田菜穂)は匠と人気俳優・伊集院(白石隼也)のW主演映画に、熱護を売り込んでいた。匠のバーター仕事など断るだろう熱護を何とか説得しようとするゆかりだったが、なぜか熱護は二つ返事で出演を了承。ゆかりの“絶対に降ろさせない”戦いが始まる!
翌日から寿(前川泰之)の陰湿な嫌がらせが始まる。いつ熱護が爆発するかとヒヤヒヤするゆかりだったが、なぜかおとなしい熱護で…。むしろ、同じトレランスの伊集院が寿への不満を爆発させてしまうことに。そんな中、寿が突然更迭されて…。「寿という男の謎は解けた」…全ての行動にはちゃんと理由がある。
登場人物の見え方がちょっとだけ変わる伏線回収ミステリー! 果たして、ゆかりと寿の因縁に決着はつくのか!?
番組情報
『テイオーの長い休日』
東海テレビ/フジテレビ系
毎週土曜 午後11時40分~深夜0時35分
※『FNS27時間テレビ』のため7月22日(土)は休止
出演:船越英一郎、戸田菜穂、今井悠貴、宮下結衣、石原颯也、平野絢規/白石隼也、久保田磨希、前川泰之、木場勝己
企画:市野直親(東海テレビ)
脚本:入江信吾、川﨑いづみ、諸橋隼人
音楽:仲西匡(カレント)
主題歌:「素顔」上野大樹(cutting edge)
OPテーマ:「Bumpy」Beverly(avex trax)
ナレーション:大和田伸也
演出:吉川鮎太(ホリプロ)、白川士
企画:市野直親(東海テレビ)
プロデューサー:松本圭右(東海テレビ)、井上竜太(ホリプロ)
制作協力:キャンター
制作:東海テレビ、ホリプロ
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