田辺誠一「穴山は“裏切りではなく、領民の命を守るために主君とは別の道を歩む決意をした男”」『どうする家康』

ドラマ
2023年07月30日
『どうする家康』©NHK

松本潤が主演を務める大河ドラマ『どうする家康』(NHK総合ほか 毎週日曜 午後8時ほか)で、穴山梅雪役を演じる田辺誠一からコメントが到着した。

大河ドラマ第62作は、誰もが知る歴史上の有名人・徳川家康の生涯を脚本家・古沢良太が新たな視点で描く『どうする家康』。ひとりの弱き少年が、乱世を終わらせた奇跡と希望の物語だ。

田辺演じる穴山梅雪は武田氏の一門・穴山家の当主。信玄からの信頼厚く、抜群の知略を生かし、外交戦略のエキスパートとして活躍。武田軍の駿河侵攻においては、先兵として今川家の切り崩しを行い、のちに徳川家や織田家と対峙することになる。

田辺誠一 コメント

『どうする家康』©NHK

◆最期まで演じきられた今、あらためて穴山梅雪をどのような人物と解釈されていますでしょうか。演じられる上で意識されたことがございましたら、あわせて教えてください。

穴山は歴史上「裏切り者」とも言われていますが、現実には人間は記号のようにひと言では表せないと思っています。一方から見れば正義でも反対から見ればそうではなく、どちらにも曲げられない正義があると思いますので、穴山なりの正義、熱を表現したいと思いました。そういった意味ではたとえ「裏切り者」と思われても、守りたい正義があったのではないかと思います。そしてこの役を演じさせてもらう以上、そこに誤解がある場合、少しでも晴らしたいと思って演じました。あえて言うならば「裏切りではなく、領民の命を守るために主君とは別の道を歩む決意をした男」。

◆穴山は信玄亡き後も、勝頼をそばで支えてきましたが、最終的には第26回で勝頼のもとを離れる選択をしました。穴山の武田家、そして勝頼への思いはどのようなものだったと思われますか。また、武田家を離れた理由、逆に家康側についた理由やきっかけ をどのように解釈して演じられましたか。

銃の登場で戦の仕方が180度変わりました。信長軍の圧倒的な銃の装備を目の当たりにした穴山は、つらいけれども現実を見て、負けを受け入れることができる強さを持っていると思いました。義理を欠いていると思われても、負けることで武田家と領民の命を守る。そういった意味ではとてもクレバーで気持ちの強い人だと思いました。
そして穴山は信玄公、そして勝頼を心から尊敬していたと思います。ですので、勝頼に対する「裏切り」ではなく「別の道を選んだ」と解釈しています。現況を冷静に判断して負けを受け入れ、武田家と領民の活路を守りたい穴山。劇中では勝頼はそんな穴山の気持ちを理解してくれていて、穴山も最後まで諦めたくない勝頼の気持ちを理解していました。勝頼は本来は武田家を順当に継ぐ立場にはありませんでしたが、甲斐の外の諏訪から来て家督を継ぎ、その重圧の中で存在を証明するために戦い続けるしかなかったのだと思います。ですので「勝頼と別の道を選んだ」シーン(第26回)の「諏訪大社のご加護を」というせりふは、嫌味ではなく、本心で言いました。

◆穴山は、本能寺の変の後、堺から国へ逃げ戻る中で最期を迎えます。家康に従ってから討たれるまで、短い時間ではありましたが、穴山梅雪という人物の生涯を、田辺さんはどのようにご覧になりましたか。

最後は…無念だったと思います。しかしその後、家康が自分の息子に武田を名乗らせて武田家を存続させようとしたことを考えると、家康も穴山の決断、気持ちを分かってくれたのかと思いますので、そうだとしたらうれしいです。
また個人的には伊賀越えで、瀬名が夢見た泰平の世を作れるであろう家康を守るため、「自分が家康だ」と言って討ち取られたと思いたいです。

◆『どうする家康』の全撮影を通して、印象に残っているシーンを教えてください。

第26回、勝頼と袂を分かち家康側についた直後、勝頼の訃報を聞きます。本編では短くなっていましたが、そこで家康と共に仏像に手を合わせるシーンが印象に残っています。そういった演技プランではなかったのですが、自然と体が震え涙が止まりませんでした。穴山自身が選んだ道なので後悔してはいけませんが、信玄公の遺志、勝頼への思い、勝頼の無念、さまざまなことが頭をよぎり気持ちが揺さぶられ感情があふれました。本来は従順を誓った家康の前でそのような感情を出すわけにはいかないのですが、そんな穴山の人間としての感情を、家康も受け入れてくれていると感じました。

『どうする家康』©NHK

番組情報

大河ドラマ『どうする家康』
毎週日曜
NHK総合 午後8時~
BSプレミアム/BS4K 午後6時~

WEB

番組公式HP:https://www.nhk.or.jp/ieyasu/
番組公式Twitter:https://twitter.com/nhk_ieyasu

©NHK

下記の「CTAボタン」を設定することで、ユーザーがスマートフォンで記事詳細ページを開いた際に「続きを読む」の下に「CTAボタン」を2つ追加できます。上段「CTAボタン」に設定したものは上に表示、下段「CTAボタン」に設定したものは下に表示されます。
2025冬ドラマ最新情報まとめ2024→2025 年末年始・お正月特番一覧