

第23回「テレビ朝日新人シナリオ大賞」の授賞式ならびに受賞発表会見が10月17日(火)に開催。選考委員の井上由美子、岡田惠和、両沢和幸をはじめ、大賞に輝いた松下沙彩さん、優秀賞を受賞した伊藤彰汰さん、寺岡恭兵さんが登壇した。
「テレビ朝日新人シナリオ大賞」は、23年におよぶ歴史の中で古沢良太(映画「ALWAYS 三丁目の夕日」「探偵はBARにいる」シリーズ、「レジェンド&バタフライ」、ドラマ『相棒』『ゴンゾウ』『リーガルハイ』)、坂口理子(スタジオジブリ作品「かぐや姫の物語」、連続テレビ小説『マッサン』、映画「チェリまほ THE MOVIE 30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」)、小峯裕之(『家政夫のミタゾノ』シリーズ、『ヒモメン』『時効警察はじめました』『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』)、伊藤洋子(『遺留捜査』『刑事7人』)など、多数の才能を見出してきた。
昨年、最年少22歳(※当時)で第22回大賞に輝いた若杉栞南は2023年夏クールの土曜ナイトドラマ『ハレーションラブ』で連続ドラマデビューを果たしており、今最も期待される新進シナリオライターのひとりだ。
今回は計1023篇の応募があり、第1次選考は日本脚本家連盟に所属する脚本家によって行われ、164篇が通過。第2次、第3次選考は、テレビ朝日のプロデューサー、ディレクターなどで構成された社内選考委員会によって審査が行なわれ、第3次選考で10篇に絞り込まれた。
そして、9月19日に選考委員の井上由美子、岡田惠和、両沢和幸による最終選考会が行なわれ、3篇の受賞作品が決定。松下沙彩さんの「スプリング!」が大賞に、伊藤彰汰さんの「雨のサンカヨウ」、 寺岡恭兵さんの「スマートフォンより愛をこめて」が優秀賞に輝いた。


10月17日(火)に開催された授賞式ならびに受賞発表会見には、上記の選考委員と受賞者が登壇。小論文を題材に据え、高校生のさわやかで瑞々しい物語を描いた松下さんは「大賞を受賞できるとは思わなかったので、すごくびっくりしています」と驚きをあらわに。
「この作品はシナリオ学校に通っている時に書いていた作品で、その時の先生方と、同期のクラスの皆さんにアドバイスや意見をいただいて、何度もプロットを修正してきました。作品の中で主人公が小論文を書くのですが、その中で“推敲”という言葉が出てきます。この作品も、たくさんの方に提出前に読んでいただき、推敲を重ね、主人公と同じように仕上げて提出した作品です」と語り、周囲への感謝を述べた。
表彰を終え、選考委員を務めた井上は「今年の傾向として、題材がラブストーリーでしたので、作品の登場人物も作者も、全体的に若い印象を受けました。それはとてもいいことなのですが、題材や人物の人間関係などが似通った作品が多く、もう少しバラエティに富んだものが読みたかったなというのが正直な感想です。次回はちょっと尖った作品を読んでみたいなと思っておりますが、そんな中でもお三方の作品は個性的で、筆力もずば抜けていたと思います」と3人を称賛。
岡田も「ラブストーリーというテーマの募集で、 どういうものが上がってくるのか楽しみにしていたのですが、激しい恋愛ものというのがほとんどなく、皆さんそういう激しさをラブストーリーに求めていないのかな、という感じが逆に新鮮で面白かったです。その中でも、個性豊かに愛を書いたお三方が勝ち抜かれてきたというふうに思っております」と。
両沢も「ラブストーリーというのは、日本語に訳すと愛の物語。愛の物語というのは非常にたくさんあり、究極的に言ってしまうと、芸術や文学で描くテーマというのは大体が愛と死、エロスとタナトスだと思うんです。なので、ラブストーリーという軽い響きで収まってしまうのではなく、愛は人を元気づける時もあれば破滅に追いやる時もある、そういった両面性や多様性、深く考察できる作品がもっと増えるといいなと思っております」と展望を語った。


なお、今回大賞を受賞した松下さんはライターとして活躍しており、脚本家を目指したのは「普段は誰かを取材しそれを記事にするのが仕事なのですが、人の話を聞くだけでなく、自分でも0から書いてみたいなと思ったのがきっかけ」とのこと。賞金500万円の使い道を問われると、「子供に何か買ってあげたいなと思います。あとは脚本に集中できるように貯金し、(現在の)仕事を少し減らせたら」と笑顔を浮かべた。
「テレビ朝日新人シナリオ大賞」公式HP:https://www.tv-asahi.co.jp/shinjin/backnumber/0004/