NHKスペシャル・シリーズ“宗教2世”『神の子はつぶやく』(NHK総合 11月3日(金・祝)午後10時~11時30分)の取材会が行われ、キャストの河合優実、田中麗奈、根本真陽、脚本・演出の柴田岳志が登壇した。
親が信じる宗教の信仰を強いられ、信仰の名の下に「人生の選択の自由を奪われ」「人権を侵された」と訴える“宗教2世”たち。旧統一教会をめぐって国が解散命令請求へと動く中、長年社会から見過ごされてきた問題が浮き彫りになる一方、複雑な胸中を吐露する人もいる。NHKスペシャルでは、自らを“宗教2世”と呼び、さまざまな形で声を上げ始めた人たちを、長期取材によるドキュメンタリーと当事者の実体験に基づくドラマの2回シリーズで描く。
取材会には、ドラマ『神の子はつぶやく』の主人公・木下遥役の河合優実らキャスト陣と、脚本・演出の柴田岳志が登壇。
貧困と子育ての中で“誰にも話せない”孤独を抱えるようになり、ある宗教を熱心に信じ始めていく木下愛子役の田中麗奈は「宗教や政治についてあまり人と話をしてはいけないと言われてきましたが、私たちもこのドラマをきっかけに話すことができ、意見を言いあったり共感しあったりすることができました。ドラマを見てくださった方にもそういうことが行われたらいいですし、個人を尊重しながらも、孤立したり一人で苦しんだりしない、そういう世の中になればいいなと思っています」とコメント。
遥の妹で、生まれた時から“神の子”として育つ木下祈役の根本真陽は「台本を読ませていただいたあと、この作品のテーマや、“祈”という役の重さ、大きさにプレッシャーを抱えながら撮影に挑みました。現場では本当に皆さんが支えてくださって、“祈”として作品の中での役割を果たすことができていたらいいなと思っています。チーム一丸となって全員で作り上げてきた作品なので、多くの人に届いてほしいです」とアピールした。
柴田は「『もし自分がこのような家庭環境だったら』ということを大切にしていくため、可能な範囲で時系列に沿い、どんな感情が底に芽生えるかということを普段以上に大切にしながら撮っていきました。出演者の方々に助けられながら、作品や役に血を通わせることができたということが、皆さんにうまく伝わればいいと思っています」と撮影を振り返った。
そして長年、母の信じる神様を信じて生きてきたが、ある出来事で“信じる気持ち”に亀裂が生じる主人公・遥という自身の役柄について、河合は「自分で信じるものを選ぶことができなかった彼女の境遇を、心を尽くして丁寧に演じました」と。
続けて「ドラマという創作物だからこそ、宗教や“宗教2世”ということを肯定するのか、否定するのか、批判するのかといった一面的な見方ではない形で伝えることができるのではないかと思っています。登場人物のような人生があるのだということが、出来るだけ広く届けばいいなと思っています」と語った。
番組情報
NHKスペシャル シリーズ“宗教2世”
『ドキュメント“宗教2世”を生きる』
NHK総合
2023年10月29日(日)午後9時~9時49分
『神の子はつぶやく』
NHK総合
2023年11月3日(金・祝)午後10時~11時30分
©NHK