堀田真由が主演、萩原利久が共演するドラマ『たとえあなたを忘れても』(ABCテレビ・テレビ朝日系全国ネット 毎週日曜 午後10時~10時54分)の第4話が、11月12日(日)に放送された。
ドラマ『たとえあなたを忘れても』は、夢を失った女性と記憶を失った男性が気持ちを通じ合わせる、切なくも美しいヒューマンラブストーリー。『神様、もう少しだけ』、『ラスト・フレンズ』などで知られる浅野妙子が執筆する、オリジナル作品となっている。
主人公は、音大を中退しピアニストになる夢を叶えられなかった河野美璃(堀田真由)。キッチンカーの店主・青木空(萩原利久)に恋心を寄せている美璃は、彼からキスをされるが、うれしさと同時に記憶障害を抱えている彼にまた忘れられてしまうのではという恐れを抱いてしまう。
いとこの心療内科医・遠山保(風間俊介)の病院で開くコンサートの練習のため、ピアノを弾きに行った美璃は、保の患者である茜(畑芽育)とばったり会う。「好きな人、おるん?」と茜に聞かれ、その明るさに導かれるように美璃は空のことを打ち明ける。美璃は、「一番つらいのはやっぱり本人だよね」と言うが、茜は「どっちがつらいんやろね。忘れる方と、忘れられる方と。勝手やけど、そういう時、何があっても自分のことをずーっと好きでいてくれる人がおってくれたら、めっちゃ心強いんちゃうかな」と美璃にやさしくアドバイスするのだ。
これまで美璃をはじめ、空の幼なじみの藤川沙菜(岡田結実)や母・理佐子(檀れい)側の“忘れられる”視点で物語は進んできた。しかし、茜や空のように“忘れてしまう”サイドから見れば、自分の存在を覚えていてくれる存在がいることが励みになるのかもしれない。記憶をなくした過去から知ってくれている・思ってくれている事実は、自分が生きていていいという自己肯定にもつながり、心に温かさももたらす。
その後、空は美璃の勧めもあり心療内科へと踏み出す。「自分で自分のことが分からへんのは、ほんまにやっかいや。でも、それで人を傷つけてしまうんは、もっとつらいから」と本音を沙菜に漏らし、過去と向き合う決意をする。病院で催眠療法を試すも、一朝一夕にうまくはいかない。空は「もしかしたら家族なんかおらんのかもしれへん。いたとしても俺に興味ないんかもな」と弱気な発言をする。茜の言う「心強い」存在のはずの家族に見捨てられたと誤解する空に、美璃は理佐子が母だと思わず明かす展開に。
理佐子の家に空を連れて行く美璃。「無理にお母さんと呼ばなくていい」と空を気遣い距離を取ろうとする理佐子だが、空の好物の唐揚げを揚げたり、アルバムを見せたりとかいがいしい。食事中、空がこぼしてしまったとき着替えを持ってこようとする理佐子の腕を、空がとっさにつかむ。以前、記憶をなくした空と理佐子が一緒に住んでいたとき、空はどこかよそよそしいままだった。
しかし、この日の空はその当時よりも壁がない態度を理佐子に取っていたと見える。人生や物事のタイミングとは、微妙なタッチの差で変わってくるものだ。空に理佐子のことを告げるタイミングが早ければ、彼は他人行儀のままだったろうし、家族について案じる今の空だからこそ、理佐子の気持ちと態度に寄り添えたのだろうから。空と美璃が帰った後、一人残された理佐子がうれしさと切なさをないまぜにした表情で過去を振り返る…その心情が痛いほど伝わり、もらい泣きしてしまう。
そして、ラストに事件は起こる。理佐子の家から二人が帰るとき、風が吹き空き缶が外階段の下まで転がり落ちたことがきっかけで、空は断片的に過去の記憶を思い出す。その内容とは、理佐子に暴力をふるった父が階段を転げ落ち頭から血を流しているという衝撃のフラッシュバックだった。アルバムで優しい父の面影を見ていたため現実を受け入れられない空はパニックになり、その場を走って立ち去る。保は「心の底にあるつらくて悲しい現実に、向き合う勇気が出来た時、もしかしたら、忘れたことを思い出せるかもしれない」と言っていたが、悲しすぎる過去を思い出してしまった空は、受け入れて進むことができるのだろうか。次回、空の記憶はさらにひもとかれていくのだろうが、どうか救われてほしいと願わずにいられない。
●text/赤山恭子
番組情報
『たとえあなたを忘れても』
ABCテレビ・テレビ朝日系全国ネット
毎週日曜 午後10時~10時54分
番組公式HP:https://www.asahi.co.jp/anawasu/
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