堀田真由が主演、萩原利久が共演するドラマ『たとえあなたを忘れても』(ABCテレビ・テレビ朝日系全国ネット 毎週日曜 午後10時~10時54分)の第8話が、12月10日(日)に放送された。
ドラマ『たとえあなたを忘れても』は、夢を失った女性と記憶を失った男性が気持ちを通じ合わせる、切なくも美しいヒューマンラブストーリー。『神様、もう少しだけ』、『ラスト・フレンズ』などで知られる浅野妙子が執筆する、オリジナル作品となっている。
主人公は、音大を中退しピアニストになる夢をかなえられなかった河野美璃(堀田真由)。美璃はキッチンカーの店主・青木空(萩原利久)と付き合い始めるが、ある日、空が何度目かの記憶障害になってしまい美璃とのことを一切忘れてしまう。少し前には過去も思い出し、空は二度と自分を忘れることはないと信じ切っていた美璃にとっては予想だにしなかった出来事で、重く苦しい現実が突然のしかかる。
ショックのあまり茫然自失となる美璃。そんな美璃に、心療内科の医師である遠山保(風間俊介)は、「相手の精神状態に波があってもグラグラしないこと、自分を保つこと。それができないなら離れたほうがいい」と言い、空の幼なじみ・藤川沙菜(岡田結実)も「こんだけ思い出があるんやったら、いい思い出だけ持ち帰って、美璃ちゃんは空のこと忘れて生きていってもええんちゃうかな」と、空から距離を置くように勧められる。
空に忘れられたということは、美璃にとっては振り出しで、イチからの出会い直しとなる。以前、空に忘れられたときは、美璃はそれでもと奮起し恋人にまでなったわけだが…。今もこの先もどうなるか分からないという逡巡だろう、美璃の気持ちは柳のように揺れる。それでも自分の中で確固たる空への愛を導き出した美璃は、保や沙菜の発言を受けても、「私は空のことを忘れるなんてできません。たとえ空が私のことを忘れても、私はそばにいたい」と宣言する。気弱で自信のなかった美璃が取ったきっぱりとした態度は、内なる静かな情熱が彼女を支えているように見えた。
しかしその後、物語はとんでもない方向へと舵を切る。ことの発端は、空の母・理佐子(檀れい)がキッチンカーにハンカチの忘れものをしたこと。手伝いに来た沙菜が「これ、誰の?」と空に聞き、空は「お客さん…?」とハテナ顔で返事をする。誰の落とし物か分からないはずの空が、その日の営業終了後、理佐子の家に行きハンカチをそっとポストインするのだ。理佐子が誰か、そしてどこに住んでいるかを知っているということは、彼は記憶をなくしてなどいなかった!
記憶をなくした“ふり”をしていた空。その心理とは、覚えていないふりをしてまで、自分から愛すべき人たちを退けたいという強い思いがあったのだろう。記憶がいつかまたなくなり、そのことに自分も周囲も耐えられなくなる、迷惑をかける、傷つき・傷つけることが耐えられない空が取った行動は、誰も攻められない。自分と周りのために取った不器用な選択は、美璃の哀しい顔、理佐子の驚いた顔を見るたびに空の心を重くする。果たして最善のことをしているのだろうかという逡巡が、萩原の演技から伝わるのだ。
最終的に空を動かしたのは、いくら突き放しても空の元へ戻ってくる美璃の存在だった。空は「怖いんや。自分が自分じゃなくなるんが、美璃を好きじゃなくなるんが。自分が怖い。こんな俺のこと何で好きになれるん?」と、吐露する。美璃は真っすぐな瞳で「好きだからだよ。大丈夫だよ。空が私を忘れても私はずっと空を忘れない。空が私を好きじゃなくなっても、私はずっと空を好きでいる。約束する。私はずっと空のそばにいるから」と心に決めた想いを伝える。思わず美璃を抱きしめる空。冷たく降りしきる冬の雨とうらはら、二人の想いは温かく固く一つになる。そして、いよいよ迎える最終回…ラストには意味深な家でのシーンもあったが、純粋な思いはどこへ帰結するのだろうか。
●text/赤山恭子
番組情報
『たとえあなたを忘れても』
ABCテレビ・テレビ朝日系全国ネット
毎週日曜 午後10時~10時54分
番組公式HP:https://www.asahi.co.jp/anawasu/
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