

髙石あかりがヒロインを務める2025年後期連続テレビ小説『ばけばけ』(NHK総合ほか)の番組ロゴが決定した。
連続テレビ小説第113作となる本作は、松江の没落士族の娘・小泉セツがモデルの物語。外国人の夫・ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)と共に、「怪談」を愛し、急速に西洋化が進む明治の日本の中で埋もれてきた名もなき人々の心の物語に光をあて、代弁者として語り紡いだ夫婦の物語を描く。脚本はふじきみつ彦。実在の人物である小泉セツ(1868-1932)がヒロインのモデルとなるが、大胆に再構成し、登場人物名や団体名などは一部改称してフィクションとして描かれる。
このたび、番組ロゴが決定。デザインは、タイポグラフィを用いたグラフィックデザインやロゴデザインを得意とし、広告、ファッション、音楽業界など幅広い分野で活動する西澤和樹が手掛けた。
西澤和樹 コメント
◆デザインにあたって
二人のヘンテコで愛おしい日常、その“空気感”を感じてもらえるロゴを目指しました。モチーフに選んだのは人が無意識に書く「くせ字」。自分にとってはごく普通の文字が、他者の目には少しおかしく、だからこそ面白く映る—そんな視点のずれが二人の生活をのぞくこの物語とどこか重なり合うように思いました。揺らぐリズムと整いきらないフォルムがぬくもりを帯び、そっと物語の輪郭を浮かび上がらせてくれることを願っています。
◆タイトルに込めた思い
このドラマは「化ける」物語です。急速に近代化が進む明治の日本は、人々の暮らしや価値観がどんどん「化けて」いきます。その中で取り残された人々の思いは、時に怪談という物語に形を変え語り継がれてきました。それと同じように、うらめしかったトキの世界も、いつしか、かけがえのないすばらしいものに「化けて」いくのです。
<プロフィール>
1993年長野県生まれ。2017年京都市立芸術大学卒業。広告制作会社を経たのち、都内のブランディングエージェンシーにて媒体や業種を問わずアートディレクションを担当。複数のブランド立ち上げに参画する。タイポグラフィを用いたグラフィックデザインやロゴデザインを得意とし、広告、ファッション、音楽業界など幅広い分野で活動。2021年より作字ユニット「日刊タイポ」の日曜担当としても活動中。
制作統括・橋爪國臣 コメント
西澤さんのデザインはどこかで見たことがあるようでよく見ると見たことがない、そして
何度も見返すと、その度に発見があります。そんな西澤さんにロゴを作っていただければ、この物語にぴったりなのではないかと思ってオファーしました。わかりやすいモチーフではなく、二人の生活の雰囲気をロゴにしてほしいとお願いしたので、とても難しい依頼だったと思います。
完成したロゴを見て、『ばけばけ』の世界観にマッチした素晴らしいロゴだと思いました。
フォントのようでフォントでなく、ゴシックでも明朝でもない、とてもオリジナルな『ばけばけ』の文字。トキとヘブンの日常の物語が描き出す、二人の当たり前なことを何度もかみしめるかのようなロゴです。
毎日の放送でこのロゴを目にするたびに、ドラマと一体となってその味わいを深めていただけると思っています。
『ばけばけ』あらすじ
明治時代の松江。松野トキは、怪談話が好きな、ちょっと変わった女の子。松野家は上級士族の家系だが、武士の時代が終わり、父が事業に乗り出すものの失敗。
とても貧しい暮らしをすることになってしまう。世の中が目まぐるしく変わっていく中で、トキは時代に取り残されてしまった人々に囲まれて育ち、この生きにくい世の中をうらめしく思って過ごす。
極貧の生活が続き、どうしようもなくなったトキの元に、ある仕事の話が舞い込んでくる。それは、松江に新しくやってきた外国人英語教師の家の住み込み女中の仕事。外国人が珍しい時代、世間からの偏見を受けることも覚悟の上で、トキは女中になることを決意する。
その外国人教師はギリシャ出身のアイルランド人。小さい頃に両親から見放されて育ち、親戚をたらい回しにされたあげく、アメリカに追いやられ、居場所を探し続けて日本に流れ着いたのだった。
トキは、初めは言葉が通じない苦労や文化の違いにも悩まされる。ところが、お互いの境遇が似ていることに気が付き、だんだんと心が通じるようになっていく。しかも、二人とも怪談話が好きだった。
へんてこな人々に囲まれ、へんてこな二人が夜な夜な怪談話を語り合う、へんてこな暮らしが始まる。
番組情報
2025年度後期連続テレビ小説『ばけばけ』
2025年秋から放送
作:ふじきみつ彦
出演:髙石あかり、トミー・バストウ
制作統括:橋爪國臣
プロデューサー:田島彰洋、鈴木航、田中陽児、川野秀昭
演出:村橋直樹、泉並敬眞、松岡一史
©NHK