芥川賞作家・綿矢りさ原作の「勝手にふるえてろ」が、松岡茉優を主演に迎えて映画化されることが決定した。
原作は01年に「インストール」でデビュー、「蹴りたい背中」で第130回芥川賞を受賞した作家・綿矢りさによる同名小説で、微妙な年頃の女性の行き場のない感情をリアルに描き、高い評価を受けている。
映画で主演を務めるのは、本作が映画初主演となる松岡茉優。その役どころは、絶滅した動物が好き過ぎてアンモナイトの化石についてネットで調べていたらいつの間にか朝になっていたり、中学時代の初恋の相手との過去を思い出しては胸をときめかせたりする、ちょっと変わった“恋愛ド素人”のOLヨシカ。理想と現実を行き来しては正直で悪意に満ちた本音をとりとめもなく吐き出しながらも、どこか憎めない不器用すぎるヨシカを、松岡はリアルに、ときに痛々しく、ときにキュートに演じ切り、コメディエンヌとしての新たな才能を開花させた。
メガホンを取るのは、「恋するマドリ」「東京女子無印物語」「でーれーガールズ」などで現代女性をリアルかつ優しい視線で描いてきた大九明子。24歳まで恋愛経験ゼロの遅咲きの主人公・ヨシカの、悩み、傷つき、暴走する恋の行方を誰もが最後まで応援したくなる痛快コメディとして描いている。
◆主演:松岡茉優 コメント
原作を拝読したとき、ヨシカの気持ちが暴れ放題のモノローグがあまりにも気持ち良くて、映像になったらどうなるんだろうといろいろ想像しておりましたが、大九監督の脚本が上がってびっくり。大胆でファニーなアレンジにわくわくしました。たくさんの人の肩をたたけますように。たくさんの人が人をいとおしく見つめてくれますように。
◆原作:綿矢りさ コメント
気取った恋愛は書かないぞと決めて書き出した本作。情けなくも自分の信じるロマンに身も心も没頭する主人公が脚本にも受け継がれていてうれしかった。映画撮影にもお邪魔したが、リアリティーと遊び心が絶妙に混ざり合った作品作りの雰囲気が伝わってきた。
◆監督・脚本:大九明子 コメント
原作の切れ味のいい文体にひかれました。文体の魅力を映像にするのは非常に困難でしたが、自分の見たい映画を作ることができました。独りよがりなヨシカには親友がいてはならないと思ったので、ヨシカをどう孤独に描くかを、常に意識しながら撮りました。
松岡茉優さんは、彼女が18歳で出会ったときから完璧に「松岡茉優」でした。わたくしすっかり甘えております。松岡さんとは3本目。無茶な脚本を渡しても一緒に戦ってくれるという安心感もありました。ヨシカは自分だ、と、ある特定数の女性たちは思ってくれると信じています。40代の私の中にもいつも、遠慮がちにヨシカがいます。ヨシカ的な人たちにとって、大事な映画になってくれたらうれしいです。
<作品概要>
映画「勝手にふるえてろ」 2017年全国公開
私には彼氏が二人いる―中学時代からの片思いの相手“イチ”と、突然告白してきた暑苦しい同期の“ニ”。
「人生初告られた!」とテンションが上がるも、イマイチ、ニとの関係に乗り切れないヨシカ。いっぽうで、「一目でいいから、今のイチに会って前のめりに死んでいこうと思ったんです」という奇妙な動機から、中学時代から引きずっていた片思いの相手・イチに会ってみようと、ありえない嘘をついて同窓会を計画する。そしてついに再会の日が訪れるのだが…。
“脳内の片思い”と“リアルな恋愛”、同時進行で進む二つの恋の行方は?
原作:綿矢りさ「勝手にふるえてろ」
監督・脚本:大九明子
主演:松岡茉優