映画「ダブツミンツ」の完成披露試写会が行われ、W主演の淵上泰史と田中俊介(BOYS AND MEN)、須賀健太、川籠石駿平、小木茂光、内田英治監督が登壇した。(登壇予定だった冨手麻妙は体調不良のため欠席)
本作は、2016年にアニメが劇場されて話題となった『同級生』の作家として、少女マンガ、ボーイズラブ(BL)など、多くのファンを得ている中村明日美子原作の実写化。映像化が不可能と言われてきた、犯罪と暴力の中で男たちの愛憎入り混じる衝撃的な作品。高校時代に強者と弱者の主従関係となっていた、同じ音の名前を持つ2人の“いちかわみつお”が、時を経て衝撃的な再会をしたことで、その関係は次第に新しい形に変わっていき、やがて取り返しのつかない犯罪の世界へと落ちていく姿を描いている。
本作のオファーが来た際に壱河光夫(白みつお)を演じた淵上は、「最初は(田中が演じる)“黒みつお”という話だったんですけど、監督と話したり衣装合わせをしていたら『これって白みつおの方じゃない!?』って(笑)」と勘違いしていたよう。「その後、田中君とあいさつした時に、(田中の)顔が原作に似てたので『これはおかしい』と思った(笑)」とエピソードを明かした。さらに「あえて何も芝居をしないというか、余計なことをしないように意識しました。ただ、毎回撮影が終わるたびに『大丈夫かな?』って思う時もあった」と撮影中の苦悩を。
市川光央(黒みつお)を演じた田中は、撮影に入る1年前に内田監督からオファーを受けたそうで「その時に監督から『今までお前が経験したことを引っ張り出す作業と、その引っ張り出したものと黒みつおが感じていることや考えていることをすり寄せていることを意識しなさい』と言われたので、そこを意識して挑みました」と。また役作りについて聞かれると「初めて1年間という長期間かけてみつおに向き合いました。はたからみたら『ツライ』と思われるようなこともいろいろやりましたが、僕にとっては幸せでした。それぐらい本気で向き合えて、愛すことができる役に巡り合えてよかった」と語った。
高校時代の黒みつおを演じた須賀は、今までの役とは違うダークな役を演じているが、「実は、自分の役を聞かずに台本を見ていたときに『自分が演じるのは白みつおだ』って思ってました(笑)」と淵上に続いて勘違いを告白。「でも、僕自身のイメージとかをぬぐえるキャラクターを演じられるのは楽しいし、自分の中でも新しい挑戦だったので、黒みつおを演じられてうれしかった」とコメントした。
すると、高校時代の白みつおを演じた川籠石も「僕も初め台本を読んだときは『自分は黒みつおだ』と思ってた」と淵上、須賀に続けて告白すると、田中から「そこまで続くと本当かよ!(笑)」とツッコむ事態に。そんな川籠石は「本当に“やりたい”と思える作品で、原作を読んだときに“目”が印象的だったし、淵上さんもすごく色気のある目をされているので、“目”を意識して演じました。あと、現場で健太君をずっと見ていたら、僕も(劇中のみつおと同じような)気持ちが生まれてきて、終わった時は寂しかった」と明かした。
市川光央の所属している佐伯組の組長・佐伯を演じた小木も今までのイメージとは違うダークの役を演じている。「(黒みつと白みつにかけて)僕はあんみつだったんで…」とコメントすると「ちょっと、おやじギャグ!(笑)」とキャストからツッコまれる場面も。続けて、「監督から『そのままの小木さんでやってください』って言われて、撮影前はどうしようか考えてたんですが、あまり力を入れない方がいいかなと思って、さらっと演じました。あとは、いかにして黒みつ(田中)をイジめるかというところを楽しみにしていただければ(笑)」と見どころを語った。
またW主演の淵上と田中の印象を聞かれると小木は「(あいさつ時のあんみつを引きずって)すごい甘いものが食べたくなりました(笑)」とまたもやお茶目にボケる。続けて「田中君は、僕の中では“キュートな小悪魔”で、淵上くんが“ミステリアスな堕天使”。その2人が絡み合うのはすごい世界だった」と。
本作の脚本と監督を手がけた内田は、3年前にたまたま手に取って読んだ時に「やってみたいな」と思い、自分で出版社に連絡を取ったという経緯が。さらに撮影中の印象的だったエピソードとして、「淵上君はクールで、田中君は普段は結構大人しくて。そんな対照的な2人のギクシャクした雰囲気を楽しんでました(笑)。あと、田中君は僕にも話したいし、共演している相手(淵上)にも話したいけど、淵上君の寄せ付けないオーラがあるから、僕に『監督、(淵上に)話しかけてもいいんでしょうか?』って聞いてきたのが面白かった(笑)」と明かした。
最後に淵上から「本当にキャストとスタッフ一丸となってこの日のために一生懸命頑張ってきました。今はネット社会なので、SNS等で『ダブルミンツよかった』と呟いていただけると、僕の仕事もいい方向に向かうと思うので、ぜひ広めていただければ」とあいさつすると、その後あいさつする全員が「ぜひ、SNSで『#(ハッシュタグ)ダブツミンツ』をつけて感想を書いてくれたら、僕のお仕事がいい方向へ…(笑)」と口を揃えてあいさつをし、会場を笑いに包んだ。
あらためて「この作品は本当に面白いですし、ラストシーンを迎えた後に光が強く見えるのか、闇が強く見えるのかと捉え方もそれぞれ違うと思います。皆さんがどういう反応をするのか楽しみです」(田中)、「初めて完成した本作を見た時に『日本映画でこういう作品が見たかった!』と素直に思えましたし、主役の2人が本当に素晴らしいです!」(川籠石)、「決して万人受けするわけではないですが、こういう作品もあっていいと思うぐらいディープな映画です。このディープな世界観をやりたいと僕と役者さんが繋がったので、皆さんが見てどう思うのか楽しみでしょうがないです」(内田監督)とメッセージを送りました。
<ストーリー>
「女を殺した」ある日突然、壱河光夫(淵上泰史)の携帯電話にかかってきた高圧的な声の主は、高校時代の同級生で今はチンピラになっている市川光央(田中俊介)だった。同じ、イチカワミツオの音の名前を持つ二人。高校生だった当時、冷酷で高飛車な光央(須賀健太)にいつしか光夫(川籠石駿平)は下僕となり逆らえない主従関係となっていた。数年を経て、衝撃的な再会をした2人だったが、かつて隠微な記憶が忘れられない光夫は逆らうことなく共犯者となった。だがそれは、高校の頃の主従関係ではない、新しい形の関係へと姿を変えていく…。
映画「ダブツミンツ」
6月3日(土)より全国ロードショー
出演:淵上泰史/田中俊介/須賀健太/川籠石駿平/冨手麻妙/高橋和也/小木茂光 ほか
脚本・監督:内田英治
原作:中村明日美子「ダブルミンツ」(茜新社刊)
公式サイト:http://www.d-mints.jp/