「さよなら歌舞伎町」の廣木隆一監督の同名小説を映画化した「彼女の人生は間違いじゃない」が、7月15日(土)全国順次公開。これに先駆け、ポスターと予告映像が解禁された。
廣木の出身地・福島で生きる人々の人生を映し出した同名小説を原作とし、自らが監督を務める本作。平日は市役所事務で働き、週末は東京でデリヘルをしている主人公のみゆき(瀧内公美)、パチンコにあけくれるみゆきの父(光石研)、デリヘルの従業員・三浦(高良健吾)、みゆきの同僚で市役所勤務の新田(柄本時生)、みゆきの元恋人(篠原篤)、福島を訪れる写真家(蓮佛美沙子)らが、それぞれ行き止まりの思いを抱えながらも前に進んでいくさまが描かれる。
公開されたポスタービジュアルでは、何かに憤りを覚えているような力強い表情を浮かべるみゆき。いっぽう予告映像は、高速バスで福島から東京に向かう主人公のみゆきの憂いある横顔から始まる。ポスター下の印象的な鉄塔や、megが歌う主題歌「時の雨」の歌詞にも注目だ。
<ストーリー>
まだ薄暗い、早朝のいわき駅。東京行きの高速バスに乗り込む、金沢みゆき(瀧内公美)。まもなく太陽も昇りきり、田圃に一列に並んだ高圧電線の鉄塔が、車窓を流れてゆく。
東京駅のトイレで化粧を終えたみゆきは、渋谷へと向かう。スクランブル交差点を渡り、たどり着いたマンションの一室が、みゆきのアルバイト先の事務所だ。「YUKIちゃん、おはよう」と、ここでの彼女の名前で話しかける三浦(高良健吾)。彼が運転する車の後部座席に乗って、出勤したのはラブホテル。彼女の仕事はデリヘルだ。
その日は客とトラブルになったが、それを解決してくれるのも三浦の役目だ。「何年目だっけ?」と帰りの車の中で三浦に聞かれ、「来月でちょうど2年目です」と答えるみゆき。暗くなる前に、今度は鉄塔の表側を見ながら、福島へと帰る。仮設住宅に二人で暮らす父親の修(光石研)には、東京の英会話教室に通っていると嘘をついていた。
月曜日になると、市役所勤めの日常に戻るみゆき。だが、その日はちょっとしたハプニングがあった。昼休みに、昔付き合っていた山本(篠原篤)から会いたいというメールが入る。みゆきの母は震災で亡くなったのだが、そんな時に山本が放ったある一言が、二人の心の距離を広げたのだった。久しぶりに帰郷した山本はそのことを謝り、やり直したいと打ち明けるが、みゆきは「考えとく」と逃げるように立ち去る。
家では父が、酒を飲みながら母との思い出話ばかりを繰り返す。田圃は汚染され、農業はできず、生きる目的を見失った父は、保証金をパチンコにつぎ込む毎日を送っている。みゆきはそんな父をなじり、腹立ちまぎれに家を出て行くが、こんな時に気が晴れる場所などどこにもなかった。
もう一人、みゆきと同じようにもがく男がいる。市役所の同僚の勇人(柄本時生)だ。東京から来た女子大生に、被災地の今を卒論のテーマにするからと、あの日からのことを“取材”されるが、家族がバラバラになった勇人は、言葉に詰まってほとんど答えられない。
週末になると東京へと通うみゆきの日々に、変化が訪れる。三浦が突然、店を辞めたのだ。みゆきは三浦がいると聞いた、ある意外な場所を訪ねるのだが──。
「彼女の人生は間違いじゃない」
7月15日(土)ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほか 全国順次公開
監督:廣木隆一(「さよなら歌舞伎町」「ヴァイブレータ」
原作:廣木隆一(「彼女の人生は間違いじゃない」(河出書房新社))
出演:瀧内公美/光石研/高良健吾/柄本時生/篠原篤/蓮佛美沙子 ほか
主題歌:meg「時の雨」(Gambit Records)
提供:ギャンビット/ギャガ
配給:ギャガ
©2017『彼女の人生は間違いじゃない』製作委員会