今年放送60周年を迎え、4月からはセットが一新された料理番組『きょうの料理』(Eテレ 毎週(月)~(木)後9・00)の囲み取材が行われ、料理研究家の土井義晴のほか、後藤繁榮アナウンサー、大野敏明プロデューサーが登壇した。
昭和32(1957)年11月にスタートした同番組は、時代に合わせてレシピや材料も変化。昨今では、手作りの楽しさや、伝統的和食の知恵などを積極的に紹介してきた。今年度は、1分間の料理動画を配信したり、木曜日の生放送、そして「土井義晴の味こよみ」「新 家庭料理の定番60」「程一彦&白井操の楽しいごはんの時間」といった人気講師によるコーナーを新設したりと、新たな取り組みも。
父である土井勝から親子2代にわたって同番組に出演する土井は、「実は番組と同い年なんです。小学生のころは父にスタジオに連れて行ってもらって、片隅で収録風景をじっと見学していました。『きょうの料理』に育てられたようなものです」と述懐。
また、番組が伝える家庭料理の必要性を訴える土井は、「今までは、お父さんの食べたいものを作ったりする『食べる人が主役の料理』でしたが、そればかりだと健康にはならない。その人の健康や習慣、伝統を大切にするなら、料理を作る人が主役でなければならないと常々思っています。もっと料理をする人に光を当てて、その大切さを認めていかなければ家庭料理はなくなると思うんです。同時に、日本の文化的な土台を作っているのも料理だと思うので、そういう意味では『きょうの料理』は大変な役割を果たしていると思います」と力説した。
18年間番組に出演し、ダジャレでおなじみの後藤アナは、「勝負するところがダジャレしかないんです(笑)」と笑いつつ、その始まりについて「番組で初めてダジャレを披露したのは18年前。ばぁばこと鈴木登紀子さんの回でした。僕は料理が苦手でできることがなかったんですが(笑)、『こしょうなら振れる!』と、一生懸命振ったんです。でも、なかなか出ず『故障しているのかと思いました!』と言ったら、鈴木さんが『スタジオが和んだわね。きっとお茶の間も和んだことよ。後藤さんにもやることがあってよかったわね』とおっしゃって(笑)。それを励みに18年間ダジャレを言い続けています」と告白した。
番組裏話として、本番では生放送と同じように24分30秒で撮り切り、編集は一切していないと明かした大野プロデューサー。「番組放送開始当初は生放送だったので、それ以来そのスタイルを貫いてます。そのへんは裏方にいる料理女子があうんの呼吸で…」とスタッフに敬意を表し、土井も「リハーサルをきちっとして、本番はぴしゃっと終わる。後藤さんに時計が入っているみたいな…」と続け、すかさず後藤が「ホットケー(キ)!」と得意のダジャレを披露。番組で培われた抜群のコンビネーションで会場を沸かせていた。
『きょうの料理』は、Eテレにて毎週(月)~(木)後9・00放送。