漫画家タナカカツキの同名作を映画化した『逆光の頃』が、7月8日(土)に公開される。公開を前に完成披露上映会が行われ、高杉真宙、葵わかな、清水尋也、小林啓一監督が登壇した。
全12編から構成されている原作から、「僕は歪んだ瓦の上で」「銀河系星電気」「金の糸」の3編とオリジナル部分を映像化した本作。京都生まれ京都育ちの青年が、友情、恋愛などさまざまなことに不安を抱えつつも一歩踏み出そうとする物語だ。監督、脚本、撮影を手掛けたのは、『ももいろそらを』『ぼんとリンちゃん』でそれぞれ賞を受賞するなど、注目が集まる小林監督。主人公・孝豊には、ブレイク目前の若手実力派俳優、高杉が抜擢された。
京都での撮影について高杉は「最初は周りから“京都に観光をしに来た男の子”と言われていたけど、撮影が進んでいくうちに“現地の子になった”と言われたのが嬉しかった。自分の学生時代とすり替わるくらい青春をさせてもらいました」と撮影当時を振り返った。
また、孝豊の幼なじみ・みことを演じた葵は「皆さんと仲良く同級生のように撮影して、京言葉も撮影の終わりの前日まで稽古をしました。それだけ刷り込んだので京都の子らしさが出ていれば」とセリフ回しひとつにもかなりの努力があったと告白した。
孝豊のクラスメートでバンドマン・公平を演じた清水は、高杉と映画『渇き。』以来の共演。久しぶりの共演に清水は「真宙との共演は懐かしくて、自分の役者の原点に帰るような気持ちになった」とうれしそうな様子。一方の高杉も「撮影以外は2人で洋服を見に行ったり、撮影も楽しかったけれどカメラがないところでも京都を楽しんだ」と2人の関係性がよく分かる裏話を披露した。
また、高杉と小林監督も以前、映画『ぼんとリンちゃん』で共演している。高杉は小林監督について「何度も『もう一回!』と言われて、うれしいけれど、監督の現場では毎回心が折れて一回帰るというのがある。そんな現場は多くないので、僕を壁に当てさせてくれる厳しい監督。俳優からしたらうれしい作品の撮り方をしてくれる」と小林監督の作品愛と俳優愛を絶賛。すると葵も「いい意味でしつこい監督。監督の中に役へのイメージがしっかりとあって、そこから指1本でも出たらアウト。その中でいかに演じるかを課題にしていました」と小林監督の厳しい演出を明かした。
最後に、高杉は「映画を観て思ったのは“悔しい!”ということ。それは、なぜ京都で生まれなかったのか?なぜ京都で学生生活を送らなかったのか?ということを強く思ったからです。皆さんにもそう思ってもらえたら嬉しいし、僕らが演じた役柄がどこかで生きていると思ってもらえれば。リラックスできる映画なので何度も僕たちに会いに来てほしい」と観客に呼びかけ、完成披露上映会は幕を閉じた。
『逆光の頃』
7月8日(土)より、新宿シネマカリテほか全国順次公開
脚本・監督:小林啓一
原作:タナカカツキ
出演:高杉真宙、葵わかな、清水尋也、金子大地、田中壮太郎
配給:SPOTTED PRODUCTIONS
©タナカカツキ/講談社・2017 東映ビデオ/マイケルギオン