映画『ベイビー・ドライバー』の初日舞台あいさつに、主人公ベイビーを演じたアンセル・エルゴートが登壇した。
2015年のEDMイベント「ULTRA JAPAN」に“DJアンソロ”名義で参加して以来約2年ぶりの来日となったアンセル。俳優として映画のプロモーションのために来日するのは今回が初めてとなる。
満席の会場を前にアンセルは、「作品を楽しんでくれたようでうれしいです!もう一度観てくれますか?」とあいさつ。
アメリカをはじめ世界的なヒットとなっていることについてアンセルは「こういう作品に関われたことを本当にうれしく思っているんです。元々、撮影現場でも、出来上がった作品を初めて観た時も本当に特別な映画だと思いましたし、それはやっぱりエドガー・ライトという監督が天才であり、素晴らしいヴィジョンを持っているからなんだと思うんです。そして、『ベイビー・ドライバー』のような作品が大ヒットしていてすごくうれしいなと思うことは、ハリウッドでは超大作のシリーズや原作ものを作ることが多いんですよね。しかし、この作品はエドガーが思い描いたオリジナルの脚本、オリジナルの映画になっています。この作品の成功を受けて、ハリウッドやスタジオがもっとオリジナルの作品を作るようになってくれればいいと思います。そして、皆さんがこうして劇場に駆け付けてくれること、席をいっぱいにしてくれることが、オリジナルの作品を観られるきっかけとなるので本当に感謝しています」と語った。
主人公・ベイビーを演じるにあたり一番大切にしたことを聞かれると「今回演じたベイビーのキャラクターは本当に大好きなんです。普通のアクションヒーローのタイプではなくて、若者らしさのあるキャラクターなんです。彼は犯罪的な行為をしてるかもしれないけれど、ほとんどアウェイな立場でもあります。最初の脚本を読んだ時からディテールを含めてすぐに気に入ったキャラクターでした。準備のために撮影前に1か月くらい期間を取り、いろいろなことを学びました。スタントドライビングなど運転絡みのテクニックも教えてもらいましたし、車を飛び越えるようなスタントもやらせてもらえたのですごく楽しかったです。そして、音楽に合わせて動くシーンも撮影前のリハーサルで1か月でみっちり特訓しました。というのも、撮影が始まってしまったらリハーサルする時間が全くなかったからなんです。何よりもこのキャラクターを生んでくれたエドガーに感謝しているし、僕も観客としてベイビーというキャラクターは本当に大好きで、愛すべきキャラクターだと思っています」と。
ミュージシャンとしても活躍しているアンセル。本作のバッツ役のジェイミー・フォックスもミュージシャンであり、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリーも出演、エドガー・ライト監督も大の音楽好きということで、音楽の話で盛り上がったか?との質問には「ジェイミーやフリー、そして実はケヴィン・スペイシーも歌がかなりうまいんです。全キャストがミュージシャンかひそかに音楽をたしなんでいる方だったんです。というのも、監督が音楽的素養を持っている方を選んだからなんだと思うんですね。実際に現場ではヘッドフォンで音楽を聴きながら演技をしていたんですが、実は自分だけではなく共演者もイヤーピースを入れて同じように楽曲が聴けるような態勢だったので、全員が同じビートに合わせて撮影することができました。自分も音楽をやっていて、作曲もするし、歌も歌うので、今回の撮影でフリーやジェイミーに自分の楽曲を聴いてもらえるようなチャンスがあればいいなと思っていたんですが、ジェイミーと会ったその日に『音楽をやっているだって?じゃあ、ちょっと聴きたいから後でうちへおいでよ』と言われて、ジェイミーの自宅に招待してもらって、バスケをしたりジャムセッションをしたり、自分の楽曲を弾いてもらえることができたんです。どれだけ、ジェイミーという人が温かい心の持ち主なのか、このエピソードから分かるかと思いますけど、劇中でのバッツとベイビーの関係とはだいぶ違ったんです」と裏話を披露した。
最後に、会場から選ばれたファンにアンセルと監督のサイン入りのサントラEPのプレゼントを渡し、「本当に『ベイビー・ドライバー』を観てくださってありがとうございます。ぜひ口コミの方もよろしくお願いします。またお会いしましょう!」と笑顔でメッセージを送った。
『ベイビー・ドライバー』
新宿バルト9ほか公開中
<ストーリー>
天才的なドライビング・センスを買われ、犯罪組織の“逃がし屋”として活躍する若きドライバー、通称「ベイビー」(アンセル・エルゴート)。彼の最高のテクニックを発揮するための小道具、それは完璧なプレイリストがそろっているiPod。子供のころの事故の後遺症で耳鳴りが激しい彼だが、音楽にノって外界から完璧に遮断されると、耳鳴りは消え、イカれたドライバーへと変貌する。ある日、運命の女の子デボラ(リリー・ジェームズ)と出会ってしまった彼は犯罪現場から足を洗うことを決意。しかし彼の才能を惜しむ組織のボス(ケヴィン・スペイシー)にデボラの存在を嗅ぎ付けられ、無謀な強盗に手を貸すことになり、彼の人生は脅かされ始める――。
監督・脚本:エドガー・ライト(『アントマン』)
製作:ニラ・バーク、ティム・ビーバン、エリック・フェルナー
出演:アンセル・エルゴート(『きっと、星のせいじゃない。』)、ケヴィン・スペイシー(『アメリカン・ビューティー』)、リリー・ジェームズ(『シンデレラ』)、エイザ・ゴンザレス(『フロム・ダスク・ティル・ドーンザ・シリーズ』)、ジョン・ハム(『MAD MEN マッドメン』シリーズ)、ジェイミー・フォックス(『ANNIE/アニー』)
配給:ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント