日本映画界期待の俊英・坂下雄一郎監督の最新作「ピンカートンに会いにいく」の公開初日舞台あいさつが1月20日(土)に行われ、内田慈、松本若菜、山田真歩、水野小論、岩野未知、そして坂下雄一郎監督が登場した。
誰もが一度は感じたことがあるであろう「こんなはずじゃなかった」という思い。目を背けたいみっともない自分。過去のわだかまり…。本作では、“こじらせ系アラフォー女子”たちが、20年のときを経てアイドルグループの再結成を目指す姿が描かれる。不完全燃焼のまま過ぎていった日々からの返り咲きに挑む、“イタいけど愛すべき、”崖っぷちアラフォー女子たちの大勝負を描いた新感覚エンターテインメント・ヒューマン・コメディが誕生した。
監督を務めるのは、「東京ウィンドオーケストラ」「エキストランド」、本作「ピンカートンに会いにいく」と、わずか1年余りの間に全てが監督自身によるオリジナル脚本となる3本の新作が立て続けに公開され、その才能に高い評価と注目が集まる坂下雄一郎。本作でもその実力を遺憾なく発揮し、一見ただの“イタい人”になってしまうアクの強い登場人物を、オフビートでちょっとブラックな笑いと、緻密な人間描写で、どこか憎めない愛おしい存在に描き出し、心のトゲをじんわり溶かすような爽やかで不思議な感動が作品全体を包み込んでいる。
主演は、舞台やテレビドラマ「ハロー!ハリネズミ」でも個性的な存在感を披露している実力派・内田慈。本作が映画初主演となる内田が、元アイドルのプライドにすがりながら口を開けば悪態をつく“こじらせ女子”を怪演する。共演には、「コウノドリ」などに出演した松本若菜が再結成のカギを握る葵役で出演するほか、NHK連続テレビ小説「花子とアン」や映画「アズミ・ハルコは行方不明」など話題作の続く山田真歩、「東京ウィンドオーケストラ」の水野小論、「恋人たち」の岩野未知がピンカートンの元メンバーを好演。さらに、再結成のキッカケを作る愛すべきキャラクター・松本役を田村健太郎、ピンカートンの現役時代を小川あん、岡本夏美、柴田杏花、芋生悠、鈴木まはなが演じるなど、今注目の若手俳優・女優が集結した。
公開初日に行われた舞台挨拶には、坂下監督と、伝説の5人組アイドル「ピンカートン」の再結成時を演じた内田、松本、山田、水野、岩野が登場。実年齢に近い設定で、“20年のときを経て再結成に挑む元アイドル”という役柄を演じた5人が、それぞれの役柄に対する思いや撮影時のエピソードなどを熱く語り、会場を大いに沸かせた。
内田は、「今日は5人、ワクワクした気持ちで、こうやってオシャレをして劇場に向かいました!私たち、まるで、ドラマの“Sex and the City”みたいだなと(笑)」と初日を迎えた感想を。続けて「5人が集まると、まるで部活のようなノリで、今日ここでもう一度劇中のLIVEをやってもいいかなと、そんな気持ちです!」と語ると、場内からは拍手が起きた。松本は「こうやって5人がそろうとまるで女子学生のようでワクワクし、そして脳内がセンチメンタルになります(笑)。5人でいるとこんなにすばらしい気持ちになれるのかと」と、山田は「撮影の最初のころから、高校も中学も違うのにまるで同窓会のようでした。今日はそんなみんなと公開初日を迎えられてよかったです!」とコメントし、5人の仲のよさを感じさせた。
続いて、それぞれ個性的なキャラクターを演じる5人に役作りについて聞かれると、内田は「素の自分は、演じた優子のような毒づく言葉を思いつかないので、まずせりふを考えた監督はすごいなと(笑)。膨大なせりふを完ぺきに入れる(覚える)ことから、今回の役作りをスタートしました」と振り返り、続けて「実は元アイドル役がすごく多いんです、こう見えて(笑)。ちょっと旬を過ぎた感じがそのキャスティング理由かと(笑)」と考察した。
岩野は「実の私は怒るとどんどん冷静になり、最後はいなくなるというタイプなので(笑)、演じたキャラクターのようにあんなに激しくは怒りませんね。だから自分としてはかなりの怒りの演技ができたと思ったのに、監督から『もっと怒ってください』とサラッと言われたときは焦りました(笑)」と撮影時を振り返った。それに対して山田は「でも、(岩野)未知さんは怒れば怒るほど、面白くなるんですよ(笑)。なぜ怒りの演技をあそこまで面白くできるんだろうと、みんなで話してました(笑)」と暴露した。
松本は「私が演じた葵というキャラクターの、プライドの高さは面白いなと思います。ただ、私は再結成のパズルの最後のピース的キャラクターでみんなと再会するのは作品後半部分なので、出来上がった作品を見て、ほかの4人が共演してるシーンは、本当に楽しそうだなと、羨ましかったです(笑)」とコメント。さらに役との共通点について「普段の5人も、映画の中の5人のようにキャラクターはバラバラなんです。でも、化学変化のように共演して実際にも仲良くなった、そこは作品中と被ると思います」と語った。
続いて、20年のときを経てアイドルグループを再結成するというストーリーにちなみ、「20年前の自分に今の自分から掛けたい言葉は?」という質問が。内田は「『もっとバカでいいから』と言いたい。それと、人生で一番モテた時期で、たくさん告白されて調子に乗っていたので(笑)、『モテたのはそのときだけだぞ!』とも言いたい」とコメント。水野は「20年後の自分に言われたい言葉を考えた」として、「『そのままでいいから』と(言いたい)。そのままでいい、自分が全部回収してあげるから、と。自分にだけは、自分を応援してほしい」と語った。そして坂下監督は、「(20年前は)12歳ですね。20年後の自分はそんなに悪くないよとコメントして、会場を笑わせた。
映画「ピンカートンに会いにいく」は、新宿武蔵野館ほか全国順次公開。
<作品情報>
映画「ピンカートンに会いにいく」
■ストーリー
かつて、ブレイク寸前で突然解散してしまった伝説の5人組アイドル「ピンカートン」。20年が過ぎ、リーダーだった優子は今も売れない女優を続けていた。ある日、優子の元にレコード会社の松本と名乗る男からかかってきた電話。それは「ピンカートン再結成」の誘いだったのだ。所属事務所もクビになり、気づけば人生も半ば。崖っぷちに追い込まれた優子は、再起をかけ松本と一緒に元メンバーに会いに行くが、メンバーのうち3人はすでに芸能界を去り、返事はつれない。さらに一番人気だった葵の行方がわからず、彼女を知る人たちを訪ねて回るのだが…。プライドだけが肥大した“こじらせ女子”まっしぐらの優子は、過去と向き合い、20年分のわだかまりを乗り越え、「ピンカートン」を再結成させることができるのか!?
■スタッフ&キャスト
監督・脚本:坂下雄一郎
音楽:池永正二(あらかじめ決められた恋人たちへ)
出演:内田 慈、松本若菜、山田真歩、水野小論、岩野未知、田村健太郎 小川あん、岡本夏美、柴田杏花、芋生 悠、鈴木まはな
■公式ホームページ
www.pinkerton-movie.com