2016年にA.B.C-Zの橋本良亮、河合郁人主演で上演された音楽劇「コインロッカー・ベイビーズ」が再演されることが決定した。
本作は、1980年に発表された村上龍の傑作小説「コインロッカー・ベイビーズ」を原作に、2016年に初舞台化。再演では、主人公のハシとキクを演じる橋本良亮と河合郁人が、公演日によって互いの役を入れ替わって演じるダブルキャストに挑戦。初演当時から「お互いの役に挑んでみたい」という2人の強い想いが実現した。
共演者には、初演に続き、ハシのパートナーとなるニヴァ役のシルビア・グラブ、ハシを歌手として育てる猥雑なプロデューサーD役のROLLYらが出演。キクに大きな影響を与えるワニを飼う不思議な少女アネモネ役で山下リオが新たに加わる。
<コメント>
■橋本良亮(A.B.C-Z)
◇2016年初演時の思い出は?
初演をご覧頂いた方からは「(原作に登場する)ハシは橋本君だったんだね」と、「それほどハシ役に入り込んでたね」と言って頂き、自分の中でも手ごたえがありました。公演初日から「この役は他の人にやってほしくない」と思っていましたし、「ハシができるのは僕だ」と自信を持っていました。それこそ、後輩がやっているのなんて絶対に観たくないです(笑)。
初演で演じたハシは、すごくネガティブで常に落ち込んでいる役だったので、ハッピーなシーンがなくて演じていても本当につらく、いい意味で楽しかったシーンはなかったです。稽古場でも、演出の木村信司さんを筆頭に皆さん熱い方ばかりだったので、ケンカしたり意見がぶつかったりしながらも、刺激をいっぱい受けて、最終的にいい作品に仕上がったと思います。
◇再演が決定した時の感想は?
最初に再演の話を聞いた時は、生意気かもしれませんが「やっぱりそうだよな。再演もするし、演じるのはこの二人だよな」と思いました。それほど自信がありましたが、一方で「またできるんだ」とホッとしました。
今回はハシだけでなく、キクも出来るのが本当に楽しみです。キクはハシとは全く逆のキャラクターなので気持ちの入れ替えが大変だと思います。セリフも歌のハモリも二人分覚えないといけないので怖い部分もありますが、お客様に「橋本はキクも出来るんだぞ!」とアピールできるように頑張ります。
◇本作への意気込み
今回は、ハシだけでなくキクも演じるので、「(河合君から)絶対にキク役を奪うぞ!」という気持ちで挑みます。
前回を越えるような芝居とパワーアップした歌で皆様に届けたいと思います。
■河合郁人(A.B.C-Z)
◇2016年初演時の思い出は?
『コインロッカー・ベイビーズ』は、初めて「お芝居って面白いな」と思えた作品で、観に来て下さった方からも「今まで見たことのない河合君だったね」と言って頂きました。ファンの方たちもキクのような役の河合郁人が好きなようで、以降、色んな役を演じていてもキクと比べられるほどに影響力がありました。
劇中、ハシが刑務所に入って頭がおかしくなったのを見たキク自身の感情を歌うシーンは、歌に感情を乗せるのが凄く難しく大変でしたが、キクが答えを見つける瞬間の歌で、とても大事な歌だったで、去年のA.B.C-Zのライブでも歌いたいと思うくらいに大好きな曲になりました。
演出の木村信司さんはかなり熱い方で、本読みの段階から軍隊のような熱い稽古でした(笑)。一緒に悩んでくれる方で、ご自身で先に演じてみて危険がないかを確認してから演出してくださるので、余計に頑張らないといけない気持ちになりました。
◇今回、再演が決定した時の感想は?
あの「コインロッカー・ベイビーズ」の世界にまた入れると聞いた時は、緊張よりワクワクの方が強かったです。
初演の時は20代だったのですが、今は30代になりました。最初は10代の役をやるのは大丈夫かなと思いましたが、まだまだ若いので大丈夫だと思います。前回の大成功以上のものを見せないと、というプレッシャーもありますが、自信を持って再演ができるなという思いが強いです。
さらに、今回はハシもキクも演じます。一つの作品で二つの役を入れ替わって演じるのは初めての経験ですが、それによってお芝居の幅が広がったらいいなと思います。何よりも話題性がありますし、真逆なキャラをそれぞれ違うバージョンで見られるので、原作ファンの方にも楽しんで頂けるのではと思います。
◇本作への意気込み
再演ということで、前回よりもパワーアップした『コインロッカー・ベイビーズ』を見せつつ、「河合郁人とはこんなにも色んな事ができるんだ」という発見も見られるような作品にしていきたいと思いますので、チーム一丸となって頑張ります。
『コインロッカー・ベイビーズ』
東京公演:7月11日(水)~29日(日)
会場:TBS赤坂ACTシアター
主催:TBS PARCO TSP
企画協力:新音楽協会
問い合わせ:パルコ 03-3477-5858
一般発売:4月中旬予定
<地方公演>
大阪公演:8月11日(土)、12日(日)豊中市立文化芸術センター・大ホール
富山公演:8月18日(土)、19日(日)オーバード・ホール
<スタッフ>
原作:村上龍
脚本・演出:木村信司
音楽:長谷川雅大、衣裳:有村淳、照明:勝柴次朗、振付:麻咲梨乃 KAZUMI-BOY、音響:鈴木宏
ヘアメイク:川端富生、舞台監督:南部丈
<キャスト>
ハシ/キク…橋本良亮(A.B.C-Z)
キク/ハシ…河合郁人(A.B.C-Z)
アネモネ…山下リオ
ニヴァ…シルビア・グラブ
D…ROLLY
他
<原作あらすじ>
コインロッカーに捨てられた子供、その中でかろうじて生き残った二人の赤ちゃん。キクとハシは施設で育てられた後、双子の兄弟として九州の離島に住む夫婦のもとで暮らすことになる。
感受性が強く優しいハシは、頭よりも身体を先に動かすキクの影に隠れる大人しい少年。しかし、ある時を境に彼は世界中のあらゆる音を聞こうとテレビなど様々な音源に耳を傾けるようになり、その他のことへの関心を失ってしまう。なぜ、彼がそこまで音にこだわるようになったのか?彼ら二人は、物心つく以前、暴力性を制御できない問題児だった。そこである精神科の研究者が心臓の鼓動をもとにしたリズム音によって治療を行い、それを抑えることに成功。そのおかげで彼らは社会に適応できるようになっていた。しかし、ハシはかつて聞いたその音の記憶がとあるきっかけで呼び戻されてしまう。それが自分の母親と結びついていると考え、母親を探しに東京へと旅立って行く。その後、東京でハシは様々な体験をした後、Dと出会い、歌手としてデビュー。その独特の歌唱法によりカリスマ的な人気を獲得していく。
キクはその内在するエネルギーを「飛ぶこと」で解消していた。陸上の棒高跳びで活躍していたキクは、家出したハシを追って東京へ育ての母の和代とともに出発。東京で突然の和代が亡くなってしまい、彼はひとりぼっちになるが、巨大なワニのガリバーと暮らす不思議な少女アネモネと出会う。彼女とふたりで世界を破壊するため、謎の物質「ダチュラ」を探す約束をする。そんな中、歌手としての話題つくりのために仕組まれた実の母親との対面からハシを救い出そうと、キクが銃を持って会場に乱入。しかしその女性がハシではなくキクの母親だったことが明らかになり、混乱の中、キクは自分の母親を殺してしまう。
逮捕され刑務所に入ったキクは、「ダチュラ」を探すため、海へと向かう計画を立てていた…。