黒沢清監督最新作のタイトルが「旅のおわり、世界のはじまり」に決定し、主演を前田敦子が務めることが発表された。
本作は、日本とウズベキスタンの国交樹立25周年、ナボイ劇場完成70周年記念の国際共同製作作品。日本とウズベキスタンが、1992年1月26日に正式に国交を樹立してから25年が経ち、日本人が建設に関わったナボイ劇場が、1947年10月の完成から70周年を迎えたことを記念した両国の共同製作企画となる。
ウズベキスタンでの撮影は今年4月30日からスタートし、5月29日にクランクアップ。駐日ウズベキスタン大使館、ウズベキスタン政府国家観光発展委員会、国営映画会社ウズベクキノなどの全面協力により、ウズベキスタンでのオールロケーションで撮影を敢行。黒沢監督によるオリジナル脚本で、日本のテレビバラエティ番組のクルーと共に取材のためにウズベキスタンを訪れた女性レポーター・葉子が、現地のコーディネーターや異文化の人々との交流によって新しい世界を開き、成長していく姿を描く。
前田敦子が映画作品の主演を務めるのは、黒沢清監督の「Seventh Code」(2014)以来。黒沢監督は、昨年公開の「散歩する侵略者」(17)でも、長澤まさみ演じる主人公の妹役として前田を起用しており、今作の起用に関して「この作品は撮影がウズベキスタンということで、最初から何としても前田敦子さんに出演していただきたいと思っていました。かつて『Seventh Code』でミュージック・ビデオの監督の依頼を受けた際に、秋元康さんが“前田敦子を東アジアでもなく欧米でもなく、その間あたりの日本から近いようで遠い文化に置くと、彼女の個性がとりわけ際立つのではないでしょうか”とおっしゃっていて、実際この撮影時、ウラジオストクでの前田さんの存在感は強烈でした。そういう経緯から今作は前田さん以外あり得ませんでしたし、私にとっては『一九〇五』からの念願でもありました。前田さんは、役柄を一瞬で直感的につかんでその役のセリフなり、しぐさなりを全く自然に表現できるのです。これは彼女の生まれ持った才能でしょう。つまり天才ですね。一方、若いころからの訓練の成果なのか、仕事の現場では何ひとつ物怖じせず、躊躇もしません。そしてカメラに映ると、他の何物にも似ていない強烈な個性を発揮します。いやはや日本にも、ものすごい女優が出現しました」とコメント。
長編映画として初めてオール海外ロケ撮影に挑戦し、約1か月間の長期に渡る撮影を乗り越えた前田は「『一九〇五』のお話を頂いてから6年経ち、黒沢監督の作品で主演を務めるのは、私にとっても一番の夢でした。お話をいただいた際、黒沢監督から“ウズベキスタンといえば、前田敦子だと思いました”と言われた時は、どうしてかなと思ったんですけど(笑)、黒沢監督のこれまでの作品と異なる色になる作品に関わることができてうれしいです。ウズベキスタン現地へ行く前は、すごく構えてしまっていたのですが、驚くほど良い所だと思いました。街の人たちも、本当にいい人で、言葉が通じなくても、この国なら生きていけると、異国で初めて思いました。AKBとして7年、AKBを卒業して今年で6年。ちょうど半分くらいのところにきて、今回、女優としてすごく良い経験をさせてもらい、幸せだと思えるところまでたどり着いたと思っています」とコメントしている。
映画「旅のおわり、世界のはじまり」は、2019年公開。
日本・ウズベキスタン国交樹立25周年・ナボイ劇場完成70周年記念 国際共同製作作品
「旅のおわり、世界のはじまり」
監督・脚本:黒沢清
主演:前田敦子
製作:キングレコード、ローデッドフィルムズ、東京テアトル、朝日新聞社、TBSラジオ、博報堂/UZBEKKINO
特別協力:ウズベキスタン国家観光発展委員会
配給・宣伝:東京テアトル
©2019「旅のおわり、世界のはじまり」製作委員会/UZBEKKINO