映画『ビブリア古書堂の事件手帖』の完成披露舞台あいさつが行われ、W主演となる黒木華、野村周平をはじめ、成田凌、夏帆、東出昌大、三島有紀子監督が登壇した。
本作は、三上延によるシリーズ累計640万部突破のミステリーを主演・黒木華×野村周平×監督・三島有紀子で完全映画化。50年前に隠された夏目漱石「それから」のサイン本と、現代で狙われる太宰治「晩年」の希少本。この2冊を中心に、栞子(黒木)と大輔(野村)がビブリア古書堂を舞台に謎を解き明かしていく『現代のパート』、そして大輔の祖母・絹子(夏帆)と嘉雄(東出昌大)の“知られてはいけない恋”を描く『過去のパート』が交差し、ある真実が明らかになっていく―。
ビブリア古書堂の店主、篠川栞子を演じた黒木は「栞子さんの人見知りな部分にも共感できましたし、三島監督とまたご一緒することができて、幸せでした」とあいさつ。ビブリア古書堂で働くことになる青年、五浦大輔を演じた野村も「大輔という役を頂けて、自分も本をあまり読むようなタイプではないので、ピッタリだと思いました。偉大な三島監督ともご一緒にできてうれしかったです」と。漫画専門のネット販売を行う稲垣を演じた成田は「正直、本を読んだ時に自分次第で変わってしまうような役柄と感じ、プレッシャーがありましたが、現場では楽しんで演じることができました」と振り返った。
そして、過去パートで、大輔の祖母、五浦絹子を演じた夏帆は「皆様もこれからご覧になられるということで、監督が作り上げたビブリアの世界観をじっくり堪能していただければと思います」と。太宰治に憧れ、小説家を目指している田中嘉雄を演じた東出は「三島監督とは、いつかご一緒したいとずっと思っていましたし、自分にはない非常にピュアな恋愛ができたので、とても素敵な撮影の日々でした」と語った。
それぞれが演じなかったパートについての感想と、演じる際にこだわった点を聞かれると、黒木は「過去パートは、本当に素敵で、純文学のような、まるで小説を見ているようで、それらの思いや流れがつながった所に自分たちがいるんだなと思いながら演じました。そして、栞子さんの癖などは、監督と相談して作り上げていきました」と語った。
続いて、野村は「過去パートが素晴らしすぎて、実はそっちがメインなのではないか?と錯覚してしまうくらい見入ってしまいました。そして何より“昭和が似合う2人でした”」、成田は「音がなくなるワンカットのシーンが大好きで、それだけでも劇場で観る価値がある作品だと思います。役柄については“ジャミロクワイ”のようにと言われ、イメージができたので演じやすかったです」と。
過去パートを演じた夏帆は「撮影中は、(現代パートと)まったく接点がなかったので、出来上がった作品を見て新鮮でした。それぞれが、すごく難しい役を演じていて、楽しく拝見することができました。役については、嘉雄さんとの関係性をきちんと築くことを大事にしながら、演じました」と語り、東出は「元々原作が好きで読んでいたのですが、出来上がった作品を見て、栞子さんと大輔が本当にいる!と思いました。また、太宰治が愛用していた万年筆を実際に劇中の小道具で用意していただくなど、細部までこだわっていただけたので演じやすかったです」と語った。
本作ならではの本の扱い方など、気をつけた点を聞かれた三島監督は「栞子さんがどこを切り取っても本にも囲まれているように撮れるように意識し、さらに本棚の背中をなくして、本を通して人と人の目線を合わせるようにと演出しました」とこだわりを紹介。2つの時代を描く上で心がけたことについても「過去パートの2人の思いがしっかりと描かれていなければ、現代パートに届かないと思い、2つの細い川が一本の大きな川になるように心がけました」と語った。
イベントでは、劇中の謎解き要素に絡めた文字の並び替えゲームも実施。キャスト陣は和気あいあいとした雰囲気でゲームをこなし、制限時間いっぱいで完成した文字「だざいおさむ」を見事に的中させた黒木は「焦りすぎて、“ざ”という文字が書けなくて、東出さんに教えてもらいました(笑)」とコメントし、会場の笑いを誘った。
最後に野村は「こんなに心温まる作品は他にないと思います。しっかりとしたミステリーになっています。ぜひ2回、3回と見て皆さんで謎解きしていただけたらと思います」、黒木は「本というものは素晴らしいと思っています。そして、古書はそれを過去に持っていた人の時代を超えた思いを感じることができるとともに、本作ではそんな思いを解き明かしていけると感じられる作品です。鎌倉の風を感じながら、楽しんでください!」と語った。
映画「ビブリア古書堂の事件手帖」
11月1日(木)全国ロードショー
原作:三上延「ビブリア古書堂の事件手帖」(メディアワークス文庫/KADOKAWA 刊)
出演:黒木華 野村周平/成田凌/夏帆 東出昌大
監督:三島有紀子
脚本:渡部亮平、松井香奈
配給:20世紀フォックス映画、KADOKAWA
©2018「ビブリア古書堂の事件手帖」製作委員会