11月9日(金)より上演される舞台「The Silver Tassie 銀杯」の制作発表会が行われ、主演の中山優馬と、矢田悠祐、横田栄司、浦浜アリサ、安田聖愛、三田和代、演出家の森新太郎が登壇した。
1928年にアイルランドの劇作家ショーン・オケイシーが書いた歌あり、笑いあり、涙ありのにぎやかな反戦悲喜劇。将来を嘱望されたフットボール選手の人生が戦争により一変。犠牲を容認する社会を鋭く描き、本邦初演で上演される。
主演を務める中山は「戦争に行って負傷して帰ってきて、車いす生活を強いられる青年の役。若さがあふれていて、エネルギーがあって、大役を頂いたと日々実感しております。戦争というものにぶつかり、だんだんと性格や心がネガティブな方へ行っちゃうんですが、その中でもしゃれのきいた皮肉だったり、ネガティブな発言やポジティブな発言も口が達者だなっていうのが僕が演じるハリー・ヒーガンの魅力の一つだなと思っております」と役について語った。
さらに「稽古が始まってまだ5日間なんですけど、稽古場にすごい緊張感があふれています。背筋がピンと伸びるような、そんな感覚で稽古をさせていただいております。でも、その緊張感が作品の中にもずっとある緊張感だと思いますので、そういうところを楽しみながら、しっかりとこの役をやっていきたいと思います」と意気込みも語った。
キャスティング理由を尋ねられた演出家の森は、中山について「中山君の出演していた『北斗‐ある殺人者の回心‐』を見て、ピュアな感じも持っているし、同時に荒んだ心も演技していて、それがまさに彼が演じるハリー・ヒーガンと同じ。これは何かの縁だと思って即決しました」と。
中山演じるハリーの戦友のバーニー・バグナル役を務める矢田悠祐については「ミュージカルで歌い手として名前が知られていますけど、僕としては矢田君をそろそろ違う畑に引っ張り込みたいなっていう気持ちがあって。喉から血を吐くような芝居を味わわせたいなと思って。彼は真面目で可能性を十分に持っているので、今まで矢田君がやったことのない役なんじゃないのかなと思いつつも、面白いんじゃないかなと思ったので」と明かした。
これに対し矢田は「すごい覚悟を持って稽古場に行ったんですけど、森さんがすごく言葉を大事にして、1つひとつ丁寧にやってくださる方で。どの方に言っていることでも勉強になるので、全部勉強して盗んでいこうと思って稽古場にいます。血反吐を吐くくらいのお芝居をとおっしゃっていただいたので、もう身を委ねて、めちゃくちゃにしていただきたいと思います」とコメントした。
最後に舞台の意気込みを聞かれた中山は「重みのある、厚みのある作品。この作品でこの役どころをやらせていただく以上はしっかりと勉強して、稽古をして、何回傷ついても立ち上がっていきたいなと思います。目の前で自分たちが生きている姿を目撃してほしいなと思いますので、劇場でお待ちしております」と語った。
舞台「The Silver Tassie 銀杯」は、11月9日(金)~25日(日)に東京・世田谷パブリックシアターにて上演される。
<あらすじ>
第一次世界大戦中のアイルランド、ダブリン。軍からの短い休暇をもらって帰郷していたフットボール選手のハリー・ヒーガンは、銀杯(優勝カップ)を抱え、歓喜に沸く人々の輪の中にいた。だが戦地へ戻る船の出航時間は刻一刻と迫っていた。家族や友人たちに見送られ、ハリーは、仲間のバーニーや同じ共同住宅に住むテディらと再び出征する。ハリーの母親は神に3人の無事を祈るのだが…。