2018年1月クールに放送された『アンナチュラル』(TBS系)で主演を勤めた石原さとみが、「東京ドラマアウォード2018」で主演女優賞に輝いた。
『アンナチュラル』はTBSの連続ドラマで初主演を務めた石原と、脚本家・野木亜紀子がタッグを組んだ法医学ミステリー。不自然死究明研究所、通称UDIラボを舞台に、死因究明のスペシャリストたちが活躍する姿を描いたオリジナル作品。
本作は、石原の主演女優賞をはじめ、連続ドラマ部門優秀賞、脚本賞(野木)、演出賞(塚原あゆ子)、主題歌賞(米津玄師「Lemon」)、特別賞(制作チーム)と、6部門制覇という快挙を成し遂げた。
主演女優賞を受賞した石原は、授賞式の壇上で司会の石坂浩二からの「素晴らしい脚本を見事に演じましたね?」という質問に対して「良い意味でプレッシャーを感じず、伸び伸びといられる現場でした。脚本が面白くてそれを信じて頑張りました」と笑顔で語った。
<石原さとみ 囲み取材コメント>
◆東京ドラマアワードでは、『失恋ショコラティエ』(2014年)での助演女優賞に続き、2度目の受賞となりました。
『失恋ショコラティエ』のときに受賞させてもらってから、自分の気持ちや周りの環境、リアクションがすごく変わった気がして、スタートが切れた気がしたんです。そこからまた『アンナチュラル』という作品で、こうして主演という立場で受賞できたので、また新たなスタートが切れたらいいなと。自分にとっては特別な賞だと思います。
◆『アンナチュラル』は作品としてもとても大きな評価を得ましたが、演じるうえで気をつけていた点などはありましたか?
まず台本が面白かったので、この面白さをどうしたら霞ませずにできるんだろうと悩んだんですけど、塚原監督にすごく誘導していただいて。たくさんお話も相談もさせていただいて、キャスト同士でもすごく話し合って、自分自身が抱えている心のバロメーターみたいなものを40~60の間みたいなところで行ったり来たりするような人物にしようと。あんまり楽しすぎて笑顔が多いこともなく、だからといってネガティブすぎるわけでもなく。抱えているものはあるけれど、前向きにとらえながら、生きることに貪欲で生命力のある人にしたいと思って。それで、一番始めのシーンで丼をかきこむところは自分の意見も取り入れていただいたりして、丁寧に作っていった感じはしています。
◆とてもクールな役柄でしたが、工夫した点や苦労はありましたか?
テンションの部分の意識だけで、後はただそこに居るっていう感じでした。無理をしなきゃいけないポイントがあるか相談させてもらったら、“それはしなくていいよ、言わなくていいよ”って言ってもらい、無理をしない、お芝居をしないということをすごく徹底して塚原監督に指導していただきました。なので、振り返ってみるとドキュメンタリーの感覚で残っているのかもしれないです。
◆撮影で印象に残っているエピソードは?
第5話で真犯人の復讐を止められなかったシーンがあったんですが、その撮影の日から何度も夢に出てきて、トラウマになるくらい鮮明に記憶し、今でもその映像をしっかり覚えているくらいなんです。そういうことってなかなかないので、それくらい客観的なものではなく、主観的にその場の状況を見ていたんだなと自分でも驚きました。
あと、みんなで食事をしたときに所長役の松重豊さんに“こんなにいい意味で頑張らなくて、無理せず、主演のプレッシャーも全然感じずにいられる現場って初めてなんです”っていうお話をしたら、“それがうれしいんだよ。そのために僕らがいるんだ”って言ってくださって、泣きそうになるほど安心して、幸せを感じたんです。楽で伸び伸びしていて、幸せと安心を感じられる現場ってなかなかないので、こういう作品にまた出会いたいなと思いました。
◆あらためて、『アンナチュラル』は石原さんにとってどうような作品になりましたか?
他の作品ももちろんですけど、自信を持って“私はこの作品が心から好き”って。演じている私が好きなわけではなく、この作品が本当に面白いって心から言えて、自分がその作品に主演として参加できていることが本当に幸せなことだなと。つらいこともいっぱいあったんですけど、それすらも今は全部愛せてるという。この作品は光のような、かけがえのないものだなと思います。