「第31回東京国際映画祭」(TIFF)コンペティション部門に出品された映画「半世界」の記者会見と舞台あいさつに、主演の稲垣吾郎と阪本順治監督が登壇した。
今作は稲垣演じる炭焼き職人・紘を主人公に、40歳を前にした3人の男性を通じて、家族や友人との絆を描く阪本監督の完全オリジナル作品。
司会者から「情けないダメ親父は新境地。ハマっていました」と感想を伝えられた稲垣は「ここ数年で環境の変化があって、仕事の仕方も変わっていろんな事があった中で、これが役者としては初めてのお仕事だったので、そういった意味では、自分でも見たことのない自分がスクリーンに現れる、この作品にめぐり合えた事は幸せなこと」としみじみ。
続けて「チェーンソーで木を伐採したり、頭にタオルを巻きながらみかんを食べていたり、ああいう日本の原風景の中で生活するっていう稲垣吾郎は見た事がなかったなと。すごく自画自賛みたいな事もあるんですけど、その役に成り切れてたのかな」と満足げに語った。
そんな稲垣のキャスティングについて阪本監督は「以前生で会った時に(稲垣の)“ごまかさない”“自分を前に出そうとしない”姿を見て、淡々と1つの仕事をしている、山の中で土にまみれて、というイメージが浮かんだ。稲垣君のイメージを変えてやるとかは全くなくて、ハマると思った」と裏話を明かした。
そして会見の最後には、男3人の友情と絆が主人公を動かす今作のストーリーにちなみ「男の友情」について問われた稲垣。「僕は個人的には古くからの友達とかはいないタイプ(笑)。皆さん聞き飽きたと思うんですけど、ちょっと年上のヒロくんっていうおじさんの友達はいるんですが(笑)。ずっと仕事は男のグループでやってきて、今も形は変わったけど新しい地図として、香取(慎吾)君、草彅(剛)君と、多くのファン方と共に地図を広げていく事に無我夢中なんです。友情と仕事での仲間はまたちょっと違いますけど、そういう絆みたいなものは僕らにもある。二人にも早く見てもらいたいです」と笑顔を見せた。
さらに2人は会見後に行われたワールドプレミア上映前舞台あいさつにも登場。稲垣が、紘の同級生を演じた長谷川博己、渋川清彦、妻を演じた池脇千鶴と共にレッドカーペットを歩いた事を振り返るひと幕も。
「僕もずっとファンだった俳優さんたち。三重県・伊勢志摩で1か月間、一つのお家を借りて合宿みたいな形で撮影していたんですが、本当にあれは現実だったのかな、夢だったのかなというような経験で。レッドカーペットでお会いした時に、その時の3人とは思えない感じがしたんです。長谷川さんは『まんぷく』のお兄さんにしか見えなかった(笑)。現場ではあまりしゃべれなかったけれど、レッドカーペットの後で監督がご飯に連れて行ってくださって、初めてみんなでご飯を食べてお酒を飲むことができて楽しかったです」とうれしそうに語った。
映画「半世界」は2019年2月全国公開。第31回東京国際映画祭は、11月3日(土)まで開催。