映画『ビブリア古書堂の事件手帖』の初日舞台あいさつが行われ、W主演の黒木華、野村周平をはじめ、成田凌、夏帆、東出昌大、三島有紀子監督が登壇した。
黒木は「初日を迎えられてうれしいです」と公開の喜びを語り、野村も「どういう感想が来るのかとても楽しみです」とあいさつした。成田は自身の役柄に絡めて「上映後ということで心なしか冷ややかな視線を感じます(笑)」と話し、会場の笑いを誘った。三島監督は「企画が始まったのが4年くらい前で、やっと産み落とすことができ、とても幸せです」と笑顔で語った。
演じた感想を聞かれた黒木は「本の知識と推理力がすごいという役だったので、本の読み聞かせをするシーンでも本の知識がある前提ですらすら話さなければいけないのが大変でした。後は原作のイラストのイメージとどう合わせるかというのは監督と相談しましたね」と。
野村が「比較的自分に近い役でしたね。監督から“太陽みたいにしていてください”と言われたので、現場で太陽みたいにしていたら“うるさい”と怒られました(笑)」と答えると、三島監督が「あったかいイメージでと伝えたつもりだったのですが、ギラギラの太陽でした(笑)」とツッコみ、会場を沸かせた。
続いて成田が「役には見た目から入っていきましたね。今日の衣装も少し稲垣に寄せました」と答えると、今度は野村が「サウナとか岩盤浴で着るやつでしょ(笑)」とツッコんだ。
夏帆は「過去から現在へ思いが伝わるというテーマだったので、現代へきちんとバトンを渡せるように心がけました」と、東出は「劇中で人に太宰治をお勧めする役だったので、役のために必要なんだと言いながら文学作品をたくさん読めたのは役得でしたね」と読書家の東出らしい回答をみせた。
登場人物が本や人との出会いから人生が変わるほど影響を受ける本作。これにちなんで、今までで自分の人生を変えた人や物はありますか?という質問を受けた黒木は、野田秀樹の名前を挙げ「野田さんとの出会いですかね。自分の人生の始まりなので。環境が変わっていくきっかけと、お芝居が好きなんだな、仕事としてやっていけるのかなと思ったきっかけですね」と語った。
成田は名優・津川雅彦を挙げ「津川さんですかね。“僕の目を見てて”って言われただけなんですけど」と津川とのエピソードを紹介。三島監督は「父が三島由紀夫を好きだったので私の名前を“有紀子”とつけたんですが、その結果、文学好きになって今日ここに立っているので、そういう意味では父ですかね。その父親から解放されたのは坂口安吾の『堕落論』でして。“人間は生きてるだけで堕ちていくものだ”という文章を読んで生きていこうと思えたので、そういう意味では坂口安吾かもしれません」と語った。
続いて、本が過去と今をつなぎ、人の思いが受け継がれていく本作とは逆に、今と未来をつなぐべく、キャストと三島監督がそれぞれ“10年後の自分へ向けてメッセージ”を書いたフリップを披露。三島監督が『生きてる?撮ってる?』、夏帆が『健康第一』、成田が『体調管理しっかりな。』と健康に関する真面目な回答を披露したのに対し、東出は1人だけ『最大何cmの岩魚釣った?』と趣味の回答を披露し、会場の笑いを誘った。
そして、野村が“10年後も落ち着いていたくない”という逆説的な意味を込めて『落ち着いていますか?』と回答したのに対し、黒木は『好きな人たちと好きなことを。』と書いたフリップを披露して「10年後は無理していたくない…」と真逆の回答。
劇中の栞子と大輔のような掛け合いに会場からは笑いが起こり、すかさず野村が「栞子と大輔を演じるということはこういうことです(笑)」とコメントし、さらなる笑いが会場を包んだ。
最後にまだ観ていない観客へのメッセージを求められた野村は「セットや光のこだわりが素晴らしいので、そうした所も楽しんでほしいです」と。黒木は「本が人と人をつないでいく姿に私自身も感動しています。ぜひ周りの方にもお勧めしてほしいです」と語った。
三島監督は「人の想いが届くって本当に奇跡的な事だと思っています。皆さんの“想い”が届いた瞬間を思い出して帰っていただけたらと思います」と語りかけた。
映画「ビブリア古書堂の事件手帖」
11月1日(木)全国ロードショー
原作:三上延「ビブリア古書堂の事件手帖」(メディアワークス文庫/KADOKAWA 刊)
出演:黒木華 野村周平/成田凌/夏帆 東出昌大
監督:三島有紀子
脚本:渡部亮平、松井香奈
配給:20世紀フォックス映画、KADOKAWA
©2018「ビブリア古書堂の事件手帖」製作委員会