映画「ソローキンの見た桜」の初日舞台あいさつが行われ、阿部純子、斎藤工、イッセー尾形、ロシア人キャストのロデオン・ガリュチェンコ、アレクサンドル・ドモガロフ、イワン・グロモフ、アンドレイ・デインチェフ、井上雅貴監督、井上イリーナプロデューサーが登壇した。
本作は、日露戦争時に愛媛県松山市に設置された国内初の捕虜収容所で出逢った日本人看護師とロシア将校を中心に、歴史に翻弄されていく人々を描いた日露合作の感動作。
桜色の着物姿で登壇した阿部は「やっと皆さんにお目にかかれて、本当にうれしいです」と喜びのコメント。日露合作、英語の芝居、一人二役など通常とは異なる要素の多い中での主演とあって「プレッシャーも感じていましたし、こんな大役が私に務まるのか?という気持ちと頑張ろうという強い責任感を感じていた」と明かしつつ、「現場でこの素敵なキャストの皆さんや監督、スタッフの皆さんに助けていただいて、ひとりで考えすぎずに頑張ろうと気持ちを切り替えられました」と感謝した。
相手役を務めたガリュチェンコは「日本も初めてでしたし、こうした国際的な大きなプロジェクトも初めてでしたが、日本の撮影チームは非常に優れていましたし、特に阿部さんとの共演は楽しく、印象的で、忘れられない経験になりました」とニッコリ。阿部も笑顔で「スパシーバ(ありがとう)」と返し、和やかな雰囲気に。
ドモガロフは、イッセーとの共演シーンがメインとなったが、この日もイッセーと隣同士で並ぶと「昔からの友人のようです」と笑顔を見せ「イッセーさんに深く感謝しています。役者の技術の伝統、メソッドなど(日本とロシアで)違う部分も多くありますが、イッセーさんの演技を見習った部分も多くあり、貴重な体験をさせてもらいました」と語った。
一方のイッセーも「彼(ドモガロフ)が来るだけで空間を支配するのが分かるし、彼がこの映画の屋台骨になるだろうということがすぐに分かりました。撮影をしていると、彼の眼に僕はどう映っているんだろうかと気になりましたが、それは楽しい興味であり、(2人の演技が)違えば違うほど、それは日本とロシアの違いという映画のテーマにもつながっていくと思い、違いを楽しみました」とロシアの名優との競演を振り返った。
斎藤は現代編への出演で、松山、そしてサンクトペテルブルクでの撮影に参加したが、初めて訪れたロシアに魅了されたようで、カメラ、そしてスマホで街並みを自ら撮影したことを明かし「素晴らしい魔法にかかったような景色を見させていただきました」と振り返った。
また、井上監督とその妻で現在、妊娠中であるイリーナプロデューサーの関係に触れ「日露の国際恋愛を描けるのは井上監督しかいないと心から思ったし、僕にとってはお二人こそが、この「ソローキンの見た桜」という映画のモデル。お二人だからこそ作れた映画だと思います」と称えた。
舞台あいさつの最後には、ロシア人キャストからのサプライズで、キャストの似顔絵が描かれたサイン入りの色紙がガリュチェンコから阿部に手渡された。阿部は「サプライズに慣れていないのでびっくりしました」と感激の面持ち。「思い入れの強い映画なので、こうしてまた日本人キャストとロシア人キャストの皆さんで集まって、作品をこうして観客の皆さんに届けることができてすごくうれしいです。桜が咲いていく時期ですが、桜と共にこの映画も全国に咲いてくれたらと思います」と呼びかけた。
<STORY>
2018年、駆け出しTVディレクターの桜子(阿部純子)は、ロシア兵墓地の取材を皮切りにロシアに行くことが決定していたが、興味を持てずにいた。しかし祖母(山本陽子)から自身のルーツがロシアにあることを知り、さらにロシア兵と日本人看護師の、二人の日記を紐解いていくうちに衝撃の事実を知ることに――。
日露戦争時代、傷ついたロシア兵将校ソローキン(ロデオン・ガリュチェンコ)の手当てをすることになったゆい(阿部純子、二役)。
日本はハーグ条約を遵守し、ロシア兵捕虜はアルコールの購入や外出などの自由が許されていた。兄弟を戦争で亡くしたゆいは、ソローキンを憎みながらもいつしか惹かれ、愛し合う。だがソローキンが捕虜になったのはある密命のためだった。ロシア革命に参加するため、収容所を脱走しロシアへ帰ることにしたソローキンは、ゆいも一緒に連れて帰ろうとするが…。
「ソローキンの見た桜」
角川シネマ有楽町ほか全国公開中
監督・脚本・編集:井上雅貴
出演:阿部純子 ロデオン・ガリュチェンコ
山本陽子(特別出演) アレクサンドル・ドモガロフ 六平直政
海老瀬はな 戒田節子 山本修夢 藤野詩音 宇田恵菜 井上奈々
杉作J太郎 斎藤工 イッセー尾形
配給:KADOKAWA
公式HP:https://sorokin-movie.com/
©2019「ソローキンの見た桜」製作委員会