『橋田壽賀子ドラマ 渡る世間は鬼ばかり 3時間スペシャル2019』(TBS系)の9月16日(月・祝)放送に先立ち、脚本の橋田壽賀子と石井ふく子プロデューサーが囲み取材に応じ、ドラマの見どころを語った。
平成2年にスタートした『渡る世間は鬼ばかり』は30年目を迎え、今作で通算511回を迎える。
石井は「『渡る世間は鬼ばかり』はおかげさまで30年目を迎えさせていただきました。橋田さんとは、けんかもしながら60年のお付き合いです。このすてきな方との出会いで『渡る世間は鬼ばかり』をはじめ、さまざまなドラマを皆さまにお届けすることができています」とあいさつ。
橋田も「こんなに長い間、一番良い時代にテレビのお仕事をさせていただいて、本当に感謝しています。今年も『渡る世間は鬼ばかり』のおかげで作品を一つ書くことができました。いつもその時代その時代に社会の問題があるのですが、私はテレビドラマにメッセージを込めて皆さまにお届けできることが一番幸せだと思っています。30年前から書いてきましたが、同じ人物が年を取り、年齢と同時に社会の問題が変わっていく。周りも変わっていく。そういうものを全部吐き出してきたのが『渡る世間は鬼ばかり』です。書かせていただけることに心から感謝しています」と。
なぜ家族ドラマをやるのかという問いに、石井は「昨今、家族のドラマが少なくなりましたが、私たちは家族のドラマをずっと作り続けてきました。世の中にはサスペンスドラマなどもありますが、私は家族の中にこそサスペンスがあると思っていて、それを橋田さんが一生懸命お書きになってくださっています。今回も3時間スペシャルは家族の問題です。私が考えるに、今は機械など文明が発達し過ぎて、文化がどんどん後ずさりしているのではないかと。皆さんに日本の文化をもう少しご覧に入れたいなと思いながらドラマを作り続けています」と語った。
また、今回「おかくら」を営む日向子(大谷玲凪)に常連客の藤川昇がプロポーズするひと幕も。この藤川役に劇団EXILEの小野塚勇人を起用した理由として、石井は「放送30年の間にさまざまな若者が登場して、子供だった日向子ちゃんも22歳になりました。その相手役をと考えていて、橋田さんがお書きになった人物像に近い役者さんを探していたんですね。そんな時にEXILEのHIROさんにお会いして、『実はこういう役を探しているんです』とお話しをしたら、『候補が何人かいますから、良ければ会ってみませんか?』って。それでお会いした中で、小野塚さんはとても清潔感がありましたし、踊りだけでなく舞台経験もあったので決めました。先週、撮影をしましたが、一生懸命お芝居されていて、とても良い青年という印象です」と明かした。
さらに、五月(泉ピン子)がスマートフォンで料理の動画配信を始めるなど、時代を反映したことについて、橋田は「私はスマホのことはよく分からないんです。でも世の中を見ていると、スマホで人がつながったり、人間関係が壊れたりしていますよね。私も誰かとつながるんだったら、歩いてゆくのは面倒くさいから、インターネットで自分をアピールできたら便利だなあと思ったんです。それで今回、動画配信のことなどをすごく勉強しました。五月は子育ても終わり、周りからは『もう店に出なくていい』と言われます。スマホの動画配信なら遊ぶお金がかからないし、交通費すらかからない。料理の作り方を動画で紹介するだけでなく、実際にお料理の会を企画することもできます。そんなことをいろいろ考えました」と語った。
『橋田壽賀子ドラマ 渡る世間は鬼ばかり 3時間スペシャル2019』
TBS系
9月16日(月・祝)後8・00~10・57