10月25日(金)公開の映画「108~海場五郎の復讐と冒険~」完成披露試写会が行われ、松尾スズキ、中山美穂、秋山菜津子、岩井秀人、坂井真紀、大東駿介、土居志央梨が登壇した。
監督・脚本・主演を務めた松尾は、映画を見終わったばかりの観客を前に「本日は私の、私による、私のための映画を、赤の他人である皆さまに見せてしまい、本当にすみませんでした」といきなり謝罪。大東によると、舞台袖で「(客席の)中から音が聞こえないよ。大丈夫かな?」「静まり返ってたらどうしよう?」と不安がっていたという松尾は、観客の温かい拍手にホッとした様子を見せた。
R-18指定のかなり攻めた内容となっている本作だが、物語の着想について松尾は「5年くらい前にあらすじを考えたんですが、ちょうど2回目の結婚をする時期で、それにあたって『結婚とは何だろう?』としみじみ考えていたらフッと降りてきたという夫婦の謎の物語です」と説明。「特に後半、脱ぐシーンが多いんで、演じる時は素っ裸で、素っ裸の自分を監督モニタ―で確認するんですけど、どうせまたすぐ脱ぐのに、どうしても一枚羽織りたい気持ちがあって…。そういうことの繰り返しが体力をむしばんでいきました…」と明かし、会場は笑いに包まれた。
松尾演じる海馬五郎の妻を演じた中山は、最初に脚本を読んだ際の印象について「正直、とっても面白いと思いました!」と。激しい内容に対して出演を躊躇する気持ちはなかったのか?との質問には「実際に演じるときには多少ありましたが、内容が勝ってしまい、面白い!やりたい!となりました」と笑顔。松尾との共演については「芝居を始めると、パッションが熱い感じで出てきて、日に日にかわいいと思うようになりました」と明かした。
高級風俗嬢のあずさを演じた土居も、松尾について「本当にかわいらしい方だなと思いました。カワイイおじさんです」と女優陣は口々に松尾について“かわいい”を連発。「私は大学の時、松尾さんの戯曲を上演したりしてて、そんな人を『ジジイ』とか『もじゃもじゃおじさん』とか呼んで、いいのかな…? と(笑)」と感慨深げに語った。
松尾とは30年来の付き合いである秋山は、現場での松尾について「裸のシーンが多かったけど、ちゃんとガウンを着て(監督として)カメラの前にいて、エネルギッシュで『これはいい作品になる』と確信しました」と。
岩井は「こんなに前貼りをするために行列が出来ている現場は今までなかった(笑)」と振り返った。さらに、撮影初日の松尾の雄姿について言及し「現場に行ったらすぐに一番ハードな自分で歌って、自分で踊って、カウンターから飛び降りて…というシーンをやって、これはとんでもない覚悟の表れだなと思ったけど、その後、ガス欠で具合悪そうにしてて(笑)、それも含めてさすがだなと思いました」と語った。
五郎の妹役を演じた坂井は「眉毛を松尾さんに似せて、毎日書いてました」と明かし「私の役は、とにかく気持ちで一生懸命やらなきゃと思って、本当にお兄ちゃんを心配する気持ちでした。松尾さんは監督と主演でとても大変なので、そこでも『お兄ちゃん、頑張れ!』という気持ちでいました」と語った。
ホスト役を演じた大東は、劇中で被っているかつらが、松尾の指示で実は2段重ねになっていることを明かし「以前、松尾さんと舞台でご一緒して、楽屋で『実はこういう話をやろうと思ってる』と聞いて、僕は『何でもやります!』と言ったんですが、松尾さんがそれを覚えていてくださって『何でもやるんだったら、かつら2個くらい乗っけられるだろう』ということで(笑)、こういう役を頂きました」と満面の笑みで語った。
ここで、海馬五郎の無茶な復讐劇にちなんで、登壇陣がそれぞれ“無茶をした経験”を明かすことに。
中山は「私は無茶だらけの人生だったので(苦笑)、皆さんにお話しできるようなことは何もないんですが…」と会場を沸かせ「昨日、カレーを作っててやけどしちゃいました」と告白。これに松尾が「かわいい」と反応、岩井も「それは無茶ですよ!(笑)」と続き、会場は笑いに包まれた。中山は「この映画に出たことも無茶のひとつですかね…?(笑)」とまとめ、松尾は「すいませんでした」と苦笑した。
最後に松尾は「5年間の構想ののちにやっと今日、日の目を見ました。5年考えて、10日で打ち切りとかなったら、死んでも死に切れないので…」と自虐的に語り「SNSが功を奏するような感想をぜひ、つぶやくなり、映えるなりして頑張ってください!」と呼びかけた。
映画「108~海馬五郎の復讐と冒険~」
10月25日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
<出演者>
松尾スズキ
中山美穂
大東駿介 土居志央梨 栗原類 LiLiCo 福本清三 乾直樹 宍戸美和公 堀田真由
村杉蝉之介 オクイシュージ/岩井秀人/酒井若菜 坂井真紀 秋山菜津子
監督・脚本:松尾スズキ
主題歌:星野源「夜のボート」(Speedstar Records)
制作プロダクション:パイプライン
配給・宣伝:ファントム・フィルム
製作:「108~海馬五郎の復讐と冒険~」製作委員会(バップ/ファントム・フィルム/大人計画/パイプライン)
映倫区分:R18
<ストーリー>
ある日、脚本家・海馬五郎は、愛する妻・綾子がSNSに若いコンテンポラリーダンサーへの恋心を綴っているのを知ってしまう。しかもその投稿についた「いいね!」はなんと108。あまりのショックに離婚を考えるが、いま離婚した場合は財産分与で資産2000万円のうち半分の1000万円を綾子に支払わなければならないことを知り大激怒。納得がいかない海馬は、意地でも資産を使い果たすことを決意。ついには投稿についた「いいね!」の数だけ女を抱いて復讐するというとんでもない計画を思いつく。タイムリミットはたった1か月。人智の及ぶあらゆる手を使って財産を減らしていくが、108人への道のりは果てしなく長い。追い込まれた海馬は、やがて想像をはるかに超える「ある方法」で目標をクリアしようとするのだが…。
公式サイト:108-movie.com
公式Twitter:@eiga108
©2019「108~海馬五郎の復讐と冒険~」製作委員会