9月30日(月)放送の『ドラマスペシャル「あの家に暮らす四人の女」』(テレビ東京系)の試写会&トークイベントが行われ、主演の中谷美紀と原作者の三浦しをんが登壇した。
本作は、三浦しをんの同名小説をドラマ化。東京・杉並の古い洋館に住む4人の女性たちの奇妙で不思議でかしましくも和やかな日々の物語を描く。刺繍作家の牧田佐知(中谷美紀)と気ままな母・鶴代(宮本信子)、佐知の友人で毒舌な田山雪乃(永作博美)と雪乃の後輩でダメ男に甘い上野多恵美(吉岡里帆)のほか、同じ敷地内に長年住み続ける謎の老人・山田一郎(田中泯)も交わり、笑いと珍事に事欠かない牧田家の日々。そこに多恵美の元カレでストーカー化している本条宗一(中村蒼)の影が迫り…。さらには、佐知に恋の訪れが。そして、洋館にある“開かずの間”を開けたことをきっかけに、平穏な日常がにわかに変化していく。
中谷は「しをんさんの作品は、とってもほのぼのと温かく、それでいて人間の本質をついた、ピリッと山椒がきいた作品。私自身も原作を読ませていただき、また佐知を楽しんで演じさせていただきました」と。
本作のオファーを受けたときの心境を聞かれると「今、“人生100年時代”と言われていますが、私自身も一人で死んでいく覚悟をしていた時にお話を頂いた作品で。一緒に友人と暮らしてもいいかな?と思った折でしたので、宮本信子さんたちとのシェアハウスと楽しく演じさせていただきました」と明かした。
自身の小説が映像化されることについて三浦は「当たり前ですが、皆さんの演技によってキャラクターに魂が入るというか、この人たちはこういうふうに生活しているんだなっていうのが目に見えるのが楽しいです」と。
また、本作で一番衝撃だったのは河童のミイラ“川太郎”だったといい「執筆していたときは、小さくて愛嬌がある河童だったんですが、映像で見たらだいぶ大きくて気持ち悪くて…」と笑いながらも「でも、出演者の皆さんの演技を見て、映像と一緒に生活するという体験を経てだんだんかわいく見えて、親しみの存在になってきて。これが映像ならではといいますか、映像作品の良さなんだと感じました」と語った。
印象的だったシーンについて、中谷は「ストーカーの宗ちゃんに追われる多恵美を助けるべく、雪乃と佐知が喫茶店に集合するシーンで、恫喝する永作さんのお芝居が素晴らしくて好きです。多恵美を説教するんですが、なぜか雪乃自身のことを語り始めるのが面白おかしくて。あと、最後に多恵美に電車賃を請求するのが本当に最低だなと笑いました」と。
三浦も「小説には、あのせりふはないんですが、電車賃までせびるのを加えることによって、よりリアリティのあるダメ男ぶりになっていました」と笑った。
また長ぜりふをワンカットで撮影するシーンもあったそうで、中谷は「テストで何回か繰り返した後に、監督から『あと30秒縮めてください』って言われまして、せりふを早口でまくし立てるっていう。深川(栄洋)監督ってとても穏やかな方なんですが、意外に残酷だなと思いましたし、そのシーンは永作さんと神経をすり減らしながら撮った記憶があります」と振り返った。
作品にちなみ「同居する際の譲れないルール」について聞かれると、三浦は「水回りの掃除は、気づいた人がやってほしいですね。ほかは汚くても、水回りだけは気になっちゃうので…。あと、女性同士だと気にならないかもですが、便座を下ろさないのは許さない」と。
中谷は「激しく同感します!」と話し「私も“便座を下ろす”というのは、結婚する男性への条件でもあるんです。あわよくば蓋も閉めてほしい」と熱弁。その他の譲れないこととして「一人でいる時間が必要なタイプなので、空想タイムは欲しいです。もともと一人の方が気楽な人間なので、そっとしておいてほしい」と明かした。
最後に中谷が「宮本信子さんをはじめ、永作さん、吉岡里帆ちゃんと、素晴らしい方とご一緒できてすごく楽しい撮影でした。また皆さんの演技が秀逸で、佐知を通して物語と同じ時間を生きたような感覚になりました。共演者の方のお芝居もともに、温かい物語を楽しんでいただければ」とメッセージを送った。
ドラマスペシャル
『あの家に暮らす四人の女』
テレビ東京系
9月30日(月)後9・00
出演:中谷美紀、吉岡里帆、中村蒼、橋本さとし、金井浩人、前原滉、永作博美、要潤、田中泯、宮本信子ほか
原作:三浦しをん
脚本:吉田紀子
監督:深川栄洋