「『楽園』まもなく公開!スペシャルイベントin新宿」が紀伊国屋新宿本店で開催され、主演の綾野剛、佐藤浩市、瀬々敬久監督、原作者の吉田修一が登壇した。
MCから本作のタイトル絡めて、東京の楽園“新宿”のど真ん中でのイベント開催の気持ちを聞かれた綾野は「とてもうれしいですね、映画と書店が連動して作品を盛り上げるのは良いことですよね。でも新宿が“楽園”ですか?『新宿スワン』の撮影中に一般の人に髪の毛をつかまれた思い出もあり、激しい街ですよ(笑)」と。
佐藤は「私も書店でのイベントは初めてですけど、日本映画界も一時期は危ない時代がありましたけど、今は書籍の方も大変な時期を迎えている中で、お互いが手を取って、何かひとつでも身になればいいなと思います。新宿に関しては夜の歌舞伎町の撮影は本当に大変なんですよ。ここでは話せないエピソードもたくさんあって、そっちのほうが印象深いですね」と話し、会場を笑わせた。
本作への手応えを聞かれた綾野は「釜山国際映画祭ではレッドカーペットも歩かせていただいて、お客さんのパワーに圧倒されました。あらためて映画は国境を越えるなって実感しました。現地では自分たちのことを知らない人も全力で拍手を送って歓迎してくれている姿に感動しました」と語った。
映画祭に参加していた瀬々監督は「今は日韓が政治的に大変な時期ですが、釜山のお客さんは温かく迎えてくれました。そうした意味では映画は国境を越えると思いましたし、映画で手と手を取り合えると確信しました。映画の力というのは本当に素晴らしいなとも思いましたね」と想いを明かした。
映画を見た感想を聞かれた原作者の吉田は「一言で言うと圧倒されました。映画を見終わった後に人間の感情が全て奪い取られるような、今まで感じたことのない気持ちになりました。本当に作品を作ってくれた監督やキャスト、スタッフに感謝しています」と。
それに対して綾野は「めちゃくちゃうれしいです。吉田さん原作の作品に出演するのは『楽園』で3本目になるんですけど、まだまだ吉田ワールドの中で生きたいなと思いますし、もっともっと頑張ろうと思います」と語った。
そして「この作品に出ている人物は誰一人として心が乏しい人はいないと思っています。そのような人は周りの環境によって生まれてしまうのだと思いますし、会場にいる人たちの近くにもそうした人はいて、私たちはそれに気づかなければいけないし、抱きしめてあげなければいけない。だからこの作品を皆さんに託したいです」と熱い想いを語った。
続いて佐藤は「瀬々監督の作品で『楽園』というタイトルを見てファンタジーを期待する人はいないと思いますけど、人によって楽園の受け止め方は違うと思いますので、いろいろなことを考えながら見てもらえますし、見終わってからいい意味での後味の悪さを感じることができます」と語った。
本作の原作である〈犯罪小説集〉の続編となる〈逃亡小説集〉の話になると、吉田は「元々三部作で考えていまして、第一弾が〈犯罪小説集〉で、その次に何かから逃げる人たちを描いている〈逃亡小説集〉があります」と説明。綾野が「〈逃亡小説集〉瀬々さん一緒にやりましょうよ!何かから逃げたいです!」と続編の映画化を瀬々監督にオファーし、会場は大盛り上がり。
最後に、佐藤は「人間はどこにいようが、等しいです。人間がどうやってボタンを掛け違っていくのか、考えながら本作を見ていただきたいです」と。
綾野は「地方に対して中央も、もっと見つめ直さなければいけないことがたくさんあると思います。私たちは政治的観念で伝えることができないので、映像化して想いを届けたいと思っています。本作は“今何を見つめ直さなければいけないのか”を描いています。ぜひ劇場でお楽しみください」とメッセージを送った。
映画「楽園」
10月18日(金)公開
<出演>
綾野剛/杉咲花
村上虹郎 片岡礼子 黒沢あすか 石橋静河 根岸季衣 柄本明
佐藤浩市
主題歌:上白石萌音「一縷」(ユニバーサルJ)
作詞・作曲・プロデュース:野田洋次郎
原作:吉田修一「犯罪小説集」(角川文庫刊)
監督・脚本:瀬々敬久
配給:KADOKAWA
制作プロダクション:角川大映スタジオ
公式サイト:rakuen-movie.jp
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