11月1日(金)公開の映画「閉鎖病棟-それぞれの朝-」舞台あいさつが行われ、笑福亭鶴瓶、小松菜奈、片岡礼子、小林聡美、平山秀幸監督が登壇した。
本作で10年ぶりの主演を務めた鶴瓶は「やり切ったな」と自信をのぞかせ「綾野剛が脇役ですからね(笑)」と会場の笑いを誘った。
DVを受ける女子高生・由紀を演じた小松は「皆さんにどんな影響を与えられるのか、感想を聞くのが楽しみです」と心境を明かした。由紀の母親役の片岡は「家族って、会社や学校などいろいろな団体の中の最初の単位なんだなと思いました」と。精神科病棟の看護師長・井波役の小林聡美は、撮影場所の長野県・上田を振り返りながら「大変な現場でしたけど和気あいあいとした雰囲気で、そんなみんなの力を映した作品」とアピールした。
平山監督は。構想から11年を経て、ついに公開まで1か月を切ったことに対して「楽しみ半分、不安半分です」と語った。
試写会などで本作を鑑賞した人たちからの反響について鶴瓶は、片岡鶴太郎や本作で主題歌を務めたKの義父でもある関根勤など、芸能界の著名人からの感想が届いたというエピソードを披露。また、完成披露試写会で鑑賞した観客について「ほんまにむせび泣いとった」と自身の目で見た反応について語った。
本作で俳優として鶴瓶と初共演を果たした小松は、プロモーションを一緒にしていく中での鶴瓶の印象を問われると「多忙のなかでもいつでもパワフルで、鶴瓶さんがいるだけで場が明るくなって」「尊敬します」と語った。
本作の家族の描き方について、片岡は「出来事だけを捉えて演じてしまったら、監督が温めてきたものが崩れてしまうと思った」と語り、「必ず由紀が生まれきて、大人になるまでに、こういった親子関係ではあるとはいえ、いいことも思い出にあったはず、と考えながら演じました」と。すると、鶴瓶は片岡が出番が終わっても現場に残って撮影を見届けていたという、作品愛を感じさせるエピソードを披露した。
小林は、看護師長という直接さまざまな患者と触れ合う役だったことに触れながら「患者さん役の方が、役作りをされていて臨場感がある現場だった」と個性あふれる患者役のキャストとの共演を振り返った。その現場のリアルな空気について平山監督は「みんな真似ではなく表現をしようとする役者だった」と語り、小林には「親切すぎず優しすぎず」という演技のオーダーをしたことを明かした。
本作の根底のテーマとなっている“優しさ”について、小松は「本当の優しさは相手を思いやる気持ち。人と人とが人を育てると思うし、少しでも声をかけてあげる、聞いてもらうだけでも、聞いてあげるだけでも、こんなに心が潤う」と。小林は「テーマ自体は重いにもかかわらず、こんなにも温かい気持ちになるのは、監督の人を想うまなざしや優しさが一人ひとりを吸い上げてくれているから。その想いが作品から伝わってくる」と語った。
続いて鶴瓶は寒空の中の撮影を振り返り、カットがかかるたびにスタッフが帽子をかぶせてくれたという“優しさ”を感じる出来事を紹介。さらそのスタッフに「ほとんど裸なんだもん」と言われたと、しっかりオチもつけて会場の笑いを誘った。
ここで、女性陣から鶴瓶・平山監督に優しさのプレゼントとして、小松からニット帽、片岡から孫の手、小林からは腹巻のプレゼントというサプライズが。鶴瓶と平山監督は照れ笑いしながら、感激の表情を浮かべた。
最後に平山監督は「登場人物のそれぞれが、何かに向かって少し顔を上げたというところが、映画を見た後に見えてくれればいいなと思います」と本作へ込めた想いを語った。
「閉鎖病棟-それぞれの朝-」
11月1日(金)公開
※PG-12
<ストーリー>
長野県のとある精神科病院。それぞれの過去を背負った患者たちがいる。母親や嫁を殺めた罪で死刑となりながら、死刑執行が失敗し生き永らえた梶木秀丸(笑福亭鶴瓶)。サラリーマンだったが幻聴が聴こえ暴れ出すようになり、妹夫婦から疎んじられているチュウさん(綾野剛)。不登校が原因で通院してくる女子高生、由紀(小松菜奈)。彼らは家族や世間から遠ざけられても、明るく生きようとしていた。そんな日常を一変させる殺人事件が院内で起こった。加害者は秀丸。彼を犯行に駆り立てた理由とは――。
<キャスト>
笑福亭鶴瓶、綾野剛、小松菜奈
坂東龍汰、平岩紙、綾田俊樹、森下能幸、水澤紳吾、駒木根隆介、大窪人衛、北村早樹子
大方斐紗子、村木仁/片岡礼子、山中崇、根岸季衣、ベンガル
高橋和也、木野花、渋川清彦、小林聡美
<スタッフ>
原作:帚木蓬生『閉鎖病棟』(新潮文庫刊)
監督・脚本:平山秀幸
配給:東映
©2019「閉鎖病棟」製作委員会