11月8日(日)にBSスカパー!でスタートする『どっぷり副音声~ボタンひとつでステージ裏へ~』 の初回収録が行われ、歌舞伎俳優の尾上松也、中村隼人が感想を語った。
第1回の放送では、松也と隼人が出演した『浅草歌舞伎「菅原伝授手習鑑 寺子屋」』を送る。2020年1月の浅草親俊歌舞伎で上演されたこの作品では、主役の松王丸を松也が演じ、かつて松也も演じたことのある源蔵を隼人が演じた。
収録を終え、松也は「自分の演じている映像を見るというのは、決して得意なわけではなくて、どうしても自分の映像というのはよくは見えない。特に歌舞伎においては、反省点とか感じることっていうのがたくさん見えてくるので、見たいか見たくないかと言うと、実はあんまり見たくないんです(苦笑)。(副音声は)実際にやってみて、とてもやりづらかったです(笑)。どうしても見入ってしまう。好きな話をして構わないと言っていただいたんですが、『寺子屋』という演目が非常に重厚なものですから、自分たちも集中して見ちゃう」と語った。
隼人は「普段、僕らは舞台稽古を客席から映像を撮って、それを見ながらお稽古していただく。ダメ出しをもらったり、自分で見て『あ、ここは言われるようにできてないから変えなきゃ』という、材料として使うことが多い」と説明。
今回、自身が出演している映像を見て「やはり、反省点だったり、『ここはこうした方が良かったな』と思うことがあった。新鮮だったのは、自分が舞台に出てると別の方を向いていたりして相手の表情が分からないので、役の表情が見られたのは面白かった。『寺子屋』は歌舞伎の中でも非常に重い、大事にされてる演目。フランクにはできなかったが、その中でちょっとした役の苦労話とか裏話はできたんじゃないかなと思います」と笑顔を見せた。
この『寺子屋』で演じた松王丸について問われた松也は「『寺子屋』という作品が好き。副音声の中でもお話させていただいていますが、浅草歌舞伎でやりたかったという思いが強かったんです。立役が目標とする役の一つでもある。率直にうれしかったですし、自分が源蔵をやっていてた時に、松王丸に感じていた感情とか、印象がどう変わるのかなというのが楽しみだった」と。
また、自身が29歳で初めて演じた源蔵役を、26歳の隼人が演じたことについて松也は「僕自身は感情が爆発して抑えが利かなくなってしまうところが欠点だと思うけど、隼人君は落ち着くところは落ち着いて、表情も大人っぽかった」と弟分の成長ぶりを語った。
隼人は「『寺子屋』をやらせていただけるとは思っていなくて、できても30代に入ってからだろうなと思っていた。まずはどなたに教えていただこうかとすごく悩んで、片岡仁左衛門さんに教えていただきました。兄さん(松也)が器の大きい松王丸だったので、こちらは感情をぶつけていけば良かった。とても楽しかった」と振り返りつつ、仁左衛門からは「ぐっと涙をこらえて、せりふを言わないといけない」と注意されたことを念頭に、感極まってしまったことを反省していた。
最後に、松也は「今後、また『どっぷり副音声』が続いていくのであれば、演目によって副音声の解説スタイルが変わっても面白いのかなと思った。『寺子屋』とは別ジャンルの、もっとフランクに話せるようなお芝居でも参加したい」と意欲を見せた。
番組情報
BSスカパー!×衛星劇場『どっぷり副音声~ボタンひとつでステージ裏へ~』
BSスカパー!
2020年11月8日(日)後10・00~(予定)
毎月第2日曜日 後10・00~ レギュラー放送