脚本家・演出家の鈴木勝秀と佐藤アツヒロが6回目のタッグを組む新作会話劇「YARNS」の公開ゲネプロ&取材会が浅草九劇で行われた。
脚本家・演出家の鈴木は2014年に「ハナガタミ」(花筐)という能楽を現代的によみがえらせる試みをして以来、「能楽と現代劇の融合」を模索し続け、“スズカツ能楽集”としてシリーズ化を目標としてきた。今回の「YARNS」はその“スズカツ能楽集”のスタートとなる作品で、カウンセリングに来た精神的に少し疲れた現代人と、彼の話を聞くカウンセラーによる静かな会話劇となっている。
新型コロナウイルス感染予防対策として、入場時の検温や消毒などはもちろんのこと、「アクティングエリアと客席の距離と取る」「舞台と客席間を透明素材で区切る」「お客様同士の間隔を確保する」「役者は地声ではなくマイクを通す」などの対策を実施。
主演の佐藤は、透明素材で囲まれた舞台について「この劇場に入った時に驚きました。すごいなって。感染対策も含めてのこのセットになっているので、影響はかなりあったがその制限がある中でスズカツ(鈴木)さんがどう演出していくか」と話し、鈴木は「コロナがなかったらこういうことはしなかった。対策をすることによって必然的に出てくる事を使って何かできないのかなと、僕は前向きに。徹底的にやるとこうなってくるぞっていうのがやってみたら非常に面白かったです」と語った。
さらに「中はアクリル板で囲まれていて、そこから(演者は)出てきませんから普通の芝居じゃない。でも、それでもこういう演劇の在り方があるのかと知れたので、僕にとっては収穫の大きな芝居になりました。自分としてやりごたえがあった」と鈴木が自信を見せると、佐藤は「やってる役者陣は大変です(笑)。汗はかかないけど、心の汗がやばい」と告白。照明によって透明素材が鏡のようになり、演者から客席が見えない上に、共演者と向かいあって話すこともないそうで「自信を持ってやりたいけど、不安になってしょうがない」と明かした。
2人がタッグを組むのは今回で6回目。佐藤は「スズカツさんの独特の世界にいつも身を置いて表現したいと思う自分自身がいるので、そこにどっぷり浸かって頑張っていこうという気持ちです。なので、こんなことになっちゃいましたけど(笑)。コロナ禍の現状がある中、それを逆にこんな風に演劇の可能性を広げたスズカツさんの世界観はすごいなって思いますし、その中に自分がいれることが幸せです」と笑顔を見せた。
「YARNS(ヤーンズ)」
【東京公演】浅草九劇 2020年10月7日(水)~11月8日(日)
【大阪公演】梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ 2020年11月21日(土)~11月23日(月・祝)
脚本・演出:鈴木勝秀
出演:佐藤アツヒロ/鈴木裕樹、前田隆太朗・大山将司(Wキャスト)/中村まこと・加納幸和(Wキャスト)
公式サイト:http://g-atlas.jp/yarns/