フロリアン・ゼレールによる傑作「Le Fils 息子」が、日本で初上演されることが決定。岡本圭人が単独初主演を果たし、その父親役で岡本健一が出演することも発表された。
2018年にフロリアン・ゼレール作、ラディスラス・ショラー演出でパリのシャンゼリゼ劇場にて初演された「Le Fils 息子」。本作は、フランス最高位の演劇賞であるモリエール賞にて最優秀新人賞を受賞するなど高い評価を受け、ロンドンのウエストエンドなど世界13ヵ国で上演された。
脚本を手掛けたフロリアン・ゼレールは、「現代において、もっとも心躍る劇作家」と呼ばれ、世界中から注目されているフランスの若手劇作家。「La Mère 母」「Le Père 父」に続く「家族三部作」の締めくくりに当たるのが本作「Le Fils 息子」だ。
ゼレールの最も悲劇的で普遍的な作品と言われる本作は、思春期の絶望と不安に苛まれながら必死にもがく息子と、愛によって息子を救おうとする父親を描く、家族の物語。そんなゼレールの傑作を、同世代で最も若く才能のある演出家の1人であるラディスラス・ショラーが演出を手掛ける東京芸術劇場の企画第2弾として、日本で初めて上演する。
息子ニコラ役を務めるのは、岡本圭人。9歳でイギリス留学した経験もある英語力を生かし、18年よりアメリカ最古の名門演劇学校であるアメリカン・アカデミー・オブ・ドラマティック・アーツに学んできた。
その鋭い感受性と華やかさを感じさせる居ずまいで、10代特有の繊細さと荒々しさを瑞々しく表現してくれることだろう。なお、岡本は本作がストレートプレイ初舞台にして、単独初主演となる。
ニコラの実母アンヌ役には、若村麻由美。息子に対する豊かな愛情と、それ故の激情やニコラの父である前夫ピエールへの複雑な感情と、さまざまな情感があふれる役どころを演じる。ピエールの再婚相手ソフィア役に伊勢佳世、医師役に浜田信也、看護師役には木山廉彬が出演。
そして、父親ピエール役は、舞台を中心に活躍を続け、第26回読売演劇大賞 最優秀男優賞、第45回菊田一夫演劇賞 演劇賞、第55回紀伊國屋演劇賞 個人賞、第71回芸術選奨文部科学大臣賞と数々の演劇賞を総なめにし、高い実力が評価されている岡本健一。
愛によって息子を救おうとし、愛だけでは不十分であることを知る彼。大きく懐深い存在でありながら、ときに“他者”である息子の理解不能な存在に苦悩する……。言葉の背後にある、言葉にできない表現で、観客の心に問いかけていく。岡本圭人と岡本健一からのコメントは、次ページに掲載。
岡本圭人 コメント
初めて、『Le Fils 息子』の台本を読ませて頂いた時に、
僕は劇作家フロリアン・ゼレールの描く物語に強い感銘を受け、
この作品に巡り合えたことに運命を感じました。
僕がこれまで歩んできた人生と、主人公ニコラの人生とが重なり、彼の心情や言葉がまるで自分のことのように痛いほど理解することができました。
そして、台本を読めば読むほど、僕の中で「ニコラのことを救いたい…」
という気持ちが膨らんでいきました。
「どうすれば彼のことを救えるのか…」と考えたときに、ゼレールが描いた
この物語を1人でも多くの方々に知っていただくことで、
もしかしたら世界中にいるニコラのような子、そしてその家族を救うことが
できるかもしれないと思いました。
演出家のラディスラス・ショラーさん、大先輩でもある父・岡本健一や
若村麻由美さんを始めとするキャストの皆様、そして素晴らしいスタッフの
皆様と共に、「Le Fils 息子」の物語に生命を吹き込めるように、
全力を尽くします。
是非、劇場まで足を運んでいただき、この物語を皆様と共有できることを
心から望んでいます。
よろしくお願い致します。
岡本健一 コメント
誰もが考えてしまうであろう家族の物語です。
子供たち、親たちが抱えている問題。
お互いがどんなに理解しようとしても、その思いが伝わらない問題。
自分の思いと相手の思い。
どうすれば解決できて、どうすれば救えて、どうすれば助けてもらえるのか。
あの時にこうすれば、ああすれば良かった。
こんな思いにならなければ、こんな思いをさせなければ良かった。
いずれにせよ、すべてが過ぎ去っています。
これからが大切だと生きていくしかないのですが、この思いを抱えて、
これからを生きていくしかないのです。
「Le Fils 息子」この物語の登場人物たちは、
それぞれがどんな思いで、どんな出来事があったのでしょうか。
私は、この作品を読む度に心が打ち砕かれて、ページが進まなくなり、思考回路が止まってしまうような場面がいくつかありますが、稽古に入る頃には克服しているでしょう。
私たちはさまざまな状況の中で生活していますが、これからを生きていく世代のためにも、できるかぎりたくさんの方々に、この作品を伝えなければならないと思っています。
劇場では感染対策を万全にしていますので、どうかお身体を大切に健康でいて、
血の繋がった父と息子が織りなす、ある家族の物語の生活を、劇場にて公然と覗き見て下さい。
作品情報
「Le Fils(ル・フィス) 息子」
【東京公演】2021年8月30日(月)〜9月12日(日)東京芸術劇場 プレイハウス
【北九州公演】2021年9月17日(金)〜19日(日)北九州芸術劇場 中劇場
【高知公演】2021年9月22日(水)〜23日(木・祝)高知市文化プラザ かるぽーと 大ホール
【能登公演】2021年9月26日(日)能登演劇堂
【新潟公演】2021年9月29日(水)〜30日(木)りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 劇場
【宮崎公演】2021年10月3日(日)メディキット県民文化センター(宮崎県立芸術劇場) 演劇ホール
【松本公演】2021年10月9日(土)〜10日(日)まつもと市民芸術館 主ホール
【兵庫公演】2021年10月14日(木)〜10月17日(日)兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
作:フロリアン・ゼレール
翻訳:齋藤敦子
演出:ラディスラス・ショラー
出演:岡本圭人、若村麻由美、伊勢佳世、浜田信也、木山廉彬、岡本健一
公式サイト:https://lefils-theatre.jp