5月9日(日)放送の『情熱大陸』(MBS/TBS系 後11・00~11・30)に、ファミリーホーム養育者の廣瀬タカ子が登場する。
千葉県内のとある一軒家に、70代の夫婦と幼い5人の子供たちが、ひとつ屋根の下で暮らしている。昭和の大家族のようなにぎやかな光景だが、そこにいるのは、さまざまな事情で生みの親と暮らせない要保護児童だ。そんな子供たちの親代わりを務める廣瀬タカ子は、これまでに、虐待を受けるなどさまざまな背景を持つ68人の子供たちと向き合ってきた。
取材に訪れたのは、春休みが始まった3月下旬。近所に住む廣瀬の娘や孫も加わって食卓を囲み、テレビを見ながら手遊び歌に興じる。けんかする子を叱ったかと思えば、勉強の進み具合に一喜一憂。子供たちが抱える複雑な事情を思わず忘れてしまうような温かい家族の一コマに、番組のカメラが立ち会う。
かつては子供が苦手だったという夫の正さんも、率先しておんぶやおむつ替えをする育ジジぶり。一人で靴下が履けるようになったり、フォークを使えるようになったり、子供たちの日々のささやかな成長が、2人の原動力になっているという。
ホームにいる子の誕生日会には、ここを巣立った子たちも集まってくる。保育士を目指して大学に通う者、結婚して母になった者、みな今も廣瀬を「お母さん」と慕う。ホームを出た後もたびたび廣瀬を訪ね、進路や子育ての悩みの相談したり、うれしいことを報告したり、人生の節目を共にしているのだという。互いを信頼し合う中で育まれた、血縁を超えたつながり。
「どんな事情があれ、生まれてきた子を守るために周りがどれだけサポートできるか。社会全体で子供を育てる世の中になってほしい」と廣瀬は言う。
コロナ禍で家族のあり方が問われる今だからこそ、どこにでもありそうで、たったひとつの廣瀬家の物語に迫る。
<ファミリーホーム養育者/廣瀬タカ子 プロフィール>
1947年、北海道生まれ。父も里親として子供を引き取っており、里子と共に幼少期を過ごす。中学生の頃には、養子として叔母の元で暮らしたことも。20歳で結婚、40代で里親登録し、2003年に千葉県で最初の里親型ファミリーグループホームを開設。家庭の中で子供を養育する必要性を訴え、地方自治体ごとの制度だったファミリーホームを全国に広める活動を始める。乳飲み子をおぶって厚生労働省に通い詰め、ファミリーホーム法定化への道筋をつけた。「子育てをしていないと死んでしまう、マグロみたい」と自分を評する、根っからの世話好き。
※「ファミリーホーム」とは、経験豊かな養育者が5~6人の子供たちを自宅に迎え入れ養育する制度で、いわば里親の拡大形態のこと。
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