宮沢りえ主演の舞台「COCOON PRODUCTION 2021『泥人魚』」が、12月6日(月)より上演されることが決定した。
本作は、2003年4月「劇団 唐組」により初演され、第五十五回読売文学賞、戯曲・シナリオ賞、第三十八回紀伊國屋演劇賞(個人賞)、第七回鶴屋南北戯曲賞、および第十一回読売演劇大賞、優秀演出家賞を受賞。「独特の詩情と叙情とユーモア。すぐれた劇詩人で舞台の魔術師、唐十郎の集大成」と井上ひさしが絶賛した傑作戯曲。初演以来18年ぶりの上演となる。
演劇史に残る傑作の演出を務めるのは、唐十郎、蜷川幸雄を師とし、アンダーグラウンド演劇に真正面から取り組んできた劇団・新宿梁山泊主宰の金守珍。2016年シアターコクーン芸術監督・蜷川幸雄の遺志を継ぎ、森田剛、宮沢、荒川良々という布陣で上演された追悼公演「ビニールの城」、19年の「唐版 風の又三郎」に続き、シアターコクーン3作目となる演出に挑む。
主演は、「下谷万年町物語」(12)、「盲導犬」(13)、「ビニールの城」(16)に続き、本作が4作目の唐作品で、「死と乙女」(19)以来約2年ぶりの舞台出演となる宮沢りえ。共演は、NHK大河ドラマ『青天を衝け』の徳川家茂役も話題の磯村勇斗、宝塚歌劇団月組トップ娘役として人気を博し退団後は舞台を中心に活躍、本作で初のストレートプレイに挑む愛希れいかが、共に唐作品に初挑戦する。
「唐版 風の又三郎」で唐作品に初参加ながら、金演出に深い感銘を受け、テント芝居にも出演した風間杜夫が初演で唐が演じた役で出演。さらに、岡田義徳、大鶴美仁音、渡会久美子、広島光、島本和人、八代定治、宮原奨伍、板倉武志、奈良原大泰、キンタカオ、趙博、石井愃一、金守珍、六平直政が集結する。
公開されたビジュアルでは、本作のキーワードとなる桜貝を散らせた空間でなまめかしいポーズをとり、深淵な美しさを表現している。唐作品の幻想的な美しさが表現されたビジュアルからも作品への期待感が高まる。
宮沢りえ コメント
唐十郎さんの世界は、私自身が一番深く呼吸できる場所。唐さんの言葉たちが自分の中を通って、口からポンと生まれる瞬間は理屈抜きの心地よさがあり、掃き溜めの中でも生き生きと生きる術を持っている唐作品のヒロインを、再び演じることができることに大きな喜びを感じています。前回の「ビニールの城」は、蜷川幸雄さんを突然失った不安の中、演出の金守珍さんはじめみんなのパワーがすごかった。今回は前回とはまた違う状況なので、アクセルを一段と踏み込まないといけないと、ピリッとした感覚があります。磯村さんは何本か作品を拝見して、役に憑依する人という印象があります。唐さんの台詞を吐くというのは、頭の中のプランを壊していかなければならないので、同志として頼もしく感じる一方で、風間さんは壊すのが得意な方だと思うので安心しています。愛希さんとは初共演ですが、宝塚出身の方が入ることで、多彩な世界がより深みを増すのではと楽しみです。迷宮のような唐作品の世界を想像力を駆使して見てほしいですし、豊かな時間のためには、私たち全員がこの戯曲を心から溺愛して作り上げていくことが大事だと思っています。
磯村勇斗 コメント
出演が決まった時にはすごいところに足を踏み入れるなと思いました。唐十郎さんの作品で、演出は唐さんを知り尽くしている金守珍さん。この未知の世界に飛び込むのは嬉しさと同時に怖さもありますが、今の自分の力をどこまで出しきれるのか、俳優としてステップアップをするためにも挑まなければならない大事な作品だと思っています。物語は難解ですが、唐さん独特の世界観はすごく感覚的なもの。その中に諫早湾のギロチン堤防が織り込まれており、それら社会的問題をストレートに伝えるのではなく、唐さんのユーモアと比喩表現で裏側の背景もしっかりと描かれておられるので、その意図をくみ取りながら演じなければ、「泥人魚」の世界を生きられないと感じています。宮沢りえさん、愛希れいかさん、風間杜夫さんとがっつり舞台で共演するのは初めてなのでとても楽しみです。先輩方の背中を見ながらいろいろと吸収して、作品と向き合っていきたいと思います。
愛希れいか コメント
ストレートプレイには以前からとても興味がありました。唐十郎さんの「唐版 風の又三郎」を拝見した時には、理解しきれないけれど、興味深くて、この世界観を体験したいと思いました。今回、不安と緊張が大きいですが、とにかく学びたい知りたいという気持ちが強くあります。唐さんの戯曲は、複雑な思いが盛り込まれていて全てが未知のもの。金守珍さんの演出も初めてなので全てを委ねて、新しい自分に出会いたいです。そして、宮沢りえさん、磯村勇斗さん、風間杜夫さんなど共演者の皆さんは素晴らしい役者さんばかりなので、とにかく学ばせていただこうと思っています。この1年半、舞台は生でお客様が入ってくださってこそ完成すると実感させられました。生で観る舞台にエネルギーをもらえると思っていただけるように、精いっぱい努めて参ります。
風間杜夫 コメント
「唐版 風の又三郎」で唐さんの世界を体現して面白さを知り、金守珍さんの圧倒的な演出力に魅入られて、志願して新宿梁山泊のテント芝居「ベンガルの虎」に出演しました。なので、また金さんの演出で唐作品に出られることは率直にうれしいですね。今回は詩人の伊東静雄の詩がモチーフで、諫早の干拓問題などを含んでいますが、唐作品は理論じゃなくて詩ですから。金さんが入れ込んでいて、「ベンガルの虎」の稽古中に、オープニングのプランを実演してくれました。アイデアをたくさん持っている人なので、今度も期待しています。(宮沢)りえちゃんと久しぶりの共演だし、「唐版 風の又三郎」で一緒だった六平直政さんや石井愃一さんたちも出るので心強く、一緒にテントに出た人たちもいて、楽しみが多い舞台です。面白くなること、必須ですから。コロナ禍で大変な年の締めくくりとして、これを見て希望をもってもらえたらと思います。
「COCOON PRODUCTION 2021『泥人魚』」
Bunkamura シアターコクーン
2021年12月6日(月)~29日(水)全28回