SDGsがテーマのレギュラー番組『Style2030 賢者が映す未来』(BS-TBS)の12月ゲストとして、いま最も注目される経済思想家・斎藤幸平の出演が決定した。
『Style2030 賢者が映す未来』は今年4月にスタートした月1回放送の対談番組。これまでに、ヤマザキマリ(漫画家)、福岡伸一(生物学者)ら各界の第一人者を“賢者”として迎え、SDGsの達成期限である「2030年」に向けて、暮らしや考え方のアップデートを提案してきた。
2021年の締めくくりとなる12月19日(日)に迎えるゲストは、「新書大賞2021」受賞、40万部超のベストセラー『人新世の「資本論」』の著者で、いま最も注目される経済思想家・斎藤幸平。番組ホストの龍崎孝(ジャーナリスト/流通経済大学副学長・教授)が、気候変動の問題や資本主義の限界、斎藤が提唱する「脱成長コミュニズム」について聞く。
世界各地で相次ぐ気候変動による自然災害や環境汚染、そして広がる一方の格差社会。どれもこれも一向に改善されないのは一体なぜか。持続可能な社会の実現に必要となる考え方や、それを具体化する政策について、じっくりと考える。
著書『人新世の「資本論」』内で「SDGsは『大衆のアヘン』」と著す斎藤と番組ホスト・龍崎によるSDGsをめぐる対談に注目だ。
斎藤幸平(さいとう・こうへい)プロフィール
1987年生まれ。大阪市立大学大学院経済学研究科准教授。ベルリン・フンボルト大学哲学科博士課程修了。博士(哲学)。専門は経済思想、社会思想。Karl Marx’s Ecosocialism:Capital, Nature, and the Unfinished Critique of Political Economy(邦訳『大洪水の前に』・堀之内出版)によって権威ある「ドイッチャー記念賞」を日本人初、歴代最年少で受賞。日本国内では、晩期マルクスをめぐる先駆的な研究によって「学術振興会賞」受賞。40万部を超えるベストセラー『人新世の「資本論」』(集英社新書)で「新書大賞2021」を受賞。
番組ホスト・龍崎孝 コメント
資本主義が当たり前の社会で暮らす中で、新型コロナウイルスの感染拡大は、「格差」「分断」をいっそう広げました。しかしこの資本主義が続く限り、そうした溝は埋まることはないと斎藤さんは説きます。とはいえ、私たちは資本主義に代わる社会システムを容易に思い描くことができません。図らずも岸田文雄首相は政権発足にあたって「新しい資本主義」という言葉を掲げました。しかし「資本主義が新しくなる」とはどうことなのか、これも全く見えてきません。
地球の未来、私たち日本の未来を想像する力が問われています。未来への想像力は過去を想像することで養われます。私の住む北東北は縄文文化の宝庫です。そこはかつて暮らしの中での「分かち合い」が当たり前の社会だったと考えられています。ここにヒントがあるような気がしています。「成長と分配」では、富の集中とその後の分配方法が課題とされます。とはいえ、そのやり方では今までと大きく変わる社会は生まれないでしょう。そのシステムに代わる社会はどうすれば生まれるのか。そもそも「成長」とはどう捉えるものなのか。斎藤さんと「ヒリヒリする」ような議論ができればと思います。
番組プロデューサー コメント(BS-TBS 片山賢太郎)
「気候変動」「資本主義」「脱成長」…どれも壮大なテーマながら、身の周りで起きていることにつながると気づかされます。コロナ禍であらためて問われる「幸せな暮らし」とは? 今回の対談を見終わったとき、その答えがきっと浮かんでくると思います。
『Style2030 賢者が映す未来』
BS-TBS
2021年12月19日(日)前11・00~正午 ※毎月第3日曜
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©五十嵐和博